ルッキズム

 ルッキズムとは、外見至上主義のことである。容姿が良いことを最上のものとするこの思想は現代社会において最もくだらない思想の一つだ。私はこの視覚情報に過ぎないものに人生の大切な時期である10代、20代を費やす人々に哀れみの心を持たざるを得ない。

 設計家の寿命は10年。人生の最も創造的な瞬間は20代、30代に訪れる。人間の能力の本質、魂の本質を掴むにはこの10年間に全てを注ぎ込む必要がある。そこの時間を資本主義の奴隷と成り果てて、周りと意味のない比較をし、気分を沈ませるのは余りにも馬鹿らしくはないだろうか。
 就職活動において容姿は最も大切だ、と述べる人がいる。余りにも短絡的だ。衝動的かつ、前時代的である。見た目が良いから採用、そんなわけないではないか。考えてみてほしい。現在はそんなに余裕のある時代であろうか。もし、顔で採用が決まるのなら、大企業に勤める人々は華々しく、爽やかでなければならない。しかし、朝の通勤ラッシュの様子を見ればそうではない事がよくわかる。これらの点から考えるに、ルッキズムを肯定する人々の知能は高くないことが予想される。自身の人生が上手く行かないことを容姿と言った簡単な要因に結びつけ、自身の努力不足、視野の狭さを否定しているのだ。
 そもそも視覚情報でしかない容姿に人間の価値を見出そうと言うのがちゃんちゃらおかしなな話である。私は目でしか物を判断できないおバカさんであると自ずから述べているだけの事をルッキズムなどと言って流行りの思想かの様に語っているのだ。バカほどカタカナを使いたがるのは自明である。
 もっと本質を見ようとすべきだ。化粧で着飾ったって腐ったみかんは腐ったみかんだ。その白い粉を通り抜けて、きな臭さは漂ってくる。心を磨き、自分にしかできない事を見つけるべきだ。自分にしか到達できない場所に到達するのだ。するとそこは冷たい空気の漂う絶頂だ。最高の景色を見ようではないか。隣国のサイボーグを真似するのではなく、オンリーワン、ベストを尽くせ。
 

 

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