田中義久 x 東京印書館「reading / windows」
東京印書館とチームを組んでデザインして頂いた田中義久さんに今回の本について聞こうと思って田中さんの事務所に話を聞きに来ました。
約束の時間から遅れること10分。
Print House Session事務局小林がようやく到着。
普通、クリエイター側が遅れることはあっても頼んでる側が遅れることなくない?
とは思ったんですが。
色々こちらにも事情があったんです。
道に迷ったり。
出発時間遅れたり。
で。
さらに少し遅れて。
当日30分前に急にお願いしたカメラマン黒川くん登場。
小林(以下 k):あ、ちゃんとカメラ持ってきてくれたんだ?
カメラマン黒川くん:家からだったんで。
田中義久さん(以下T): どういうこと?
K: あ、ウェブだからスマホでもいいから、急だけど今から写真撮りに来てって頼んだんですよ。
T: 雑じゃない?(笑)
K: そういうとこ雑なんですよね(俺)。。。
T: まあなんでもいいですけど(苦笑)
というわけで、田中さんに今回デザインしてもらった本について真面目にお話を伺いました。
隣にはアシスタントの山田悠太朗さん。
K: 今回は先に書影だけ頂いていて、どんなものが出来てるのか写真だけだと分かりづらい感じだったんで、ぜひ田中さんから少し、解説というか、ご説明頂ければなと思いまして。
T: そっか。でも小林さんなら大体わかるんじゃないですか?イメージとか。何がやりたいとか。
K: いやいやいやいや。書影だけだとわからないですよ。あと、僕以外の一般の人にももう少し意図とか紹介できたらなと。改めて教えて頂けたらなと。
T: 面倒臭がってるなあ。
K: いやいやいや。まあでも、お客さんに少しでも伝えたいっていうか。で。表紙かっこいいって普通に思いました。他のチームは写真を表紙に使ってたりって感じだったので、文字だけもかっこ良いなあと思ってました。文字は最初から入れる予定だったんですか?
T: いや、全然そんなこともなくて。そもそもこの「Windows」ってシリーズはむちゃくちゃ枚数が多いじゃないですか。
k: むっちゃ多いです。700枚くらい送りましたよね。
T: 選定も結構大変っちゃ大変だったんですけど。。(すでに)写真集が出てて、今回の企画は、別に何百枚っていう写真を使えるようなものでもない。
K:そうです。もともと今回のアートブックが50ページとか、それくらいのすごい少ないページ。
T: そう。限られた中で数百枚あるものを、そういう風に絞って写真集にするっていうのが、そもそももう考えれなくて、だからむしろ違う形でこのWindows のシリーズが見えてくるみたいなものができたら、いいのかなと思って。
で、このWindoswの写真自体が、いろんな下町とか路上とかでふと出会った窓辺の窓みたいなものから、そこに写ったものと、そこに住んでる人との関係とか、その地域とのイメージみたいなのが結びついていく、偶然性みたいなのが結構孕んでいたりするから、そういうのを感じれる何かを作りたいなと思って。
で、自分だったら今欲しいのはノートだなみたいな感じで。
K: あー、なるほど。
T: 感覚的にはノート。ノートっていうか日記とか、出会い、旅行先に持っていくとか、そういうものとしてあるといいのかなと思っていて。なので。
K: なるほど。じゃ、大きさもそれで持ち歩きやすいぐらいに?
T: そうそう、すごいちっちゃめに。ページ数はすごいあるけど、写真のページ自体はすごい絞ってて。
K: 5分の1ぐらいですか?もっと少ないですかね?
T: もっと少ないかな。32ページしか写真はないんです。それ以外は全部ブランクになっていて。
K: 印刷自体は普通に忠実にやってもらった感じですか?
T: うん。普通に。で、ブランクのページのところはすごいラフな、ざらっとした感じの紙を使っていて、プリントページはちゃんとコート紙にしてあるんです。
K: なるほど。
T: それがある一定のページ数の間に入ってくるみたいな。ある程度書き進めていったりすると、windowsの写真に出会えるみたいな感じの構造になっていて。なんか、ほんと扉ページじゃないけど、扉の感じでウィンドウが入ってくる。
K: なるほど。それを聞いたらよくわかりやすい感じです。そういうのが欲しかったです。
T: 笑。いや、もう、なんとなくわかるでしょ?
K: いやいや、わかんないです。
T: 数十万冊見てきたflotsamなんだから。
K: いやいや、全然わかんない。見てるだけですから。右から左ですからね。いやいや、全然わかんない。笑
T: 笑
T: そういうことを考えた時に、ふとステートメントみたいなのを奥山くんが書いていて、それを読んだら、ウィンドウとの関連性みたいなものを本人もいろいろ書いていて、それすごくいいなと思って、それこそ、そういう意味合いを感じれるノートでありたいというか、本でありたいな、みたいな。
ちょっとした日記の中に、そういういろんな出会いとか、窓からの光とか感じれるものにしたいなというので、そのテキストをそのまま引用して入れたって感じですね。
K: なるほど。写真の選びっていうのは、決めたルールみたいなのがあったりするんですか?こういうのを選んだとか。逆にこういうのは選ばなかったとか。
T: 今言ってたような話の中で、なんかこう、すごい一枚一枚が主張してくるものっていうのは選んでない。
K: なるほど。
T: なんとなく、別にどれがいいとかはないと思ってるんですけど、だけど、旅先でとか、ちょっとした時に、何か書く時、あるいはページが進んで出会った時に、ちょっとこう確定したイメージではなくて、なんか、見た時の感情によってイメージの変化が生まれそうなものをある程度選んでたりとか。
一応4つ、扉というか山を作ってるんで、そこでちょっとイメージを散らしたりとか、ってことはしてますけど。
K: なるほど。えーっと。紙は写真の方はコート紙で。急に。ブランクページが。。
T: え?言ったこともう忘れてるんですか笑?
K: いやいや。あ、アイiPhoneが覚えてるから大丈夫なんですけど、ちょっと自分の中で、あれ?って思って。大丈夫です。
T: 長げーな。とか思ってるんでしょ?
K: いやいや大丈夫です。確認です確認です。
T: そういうのちゃんと書いてくださいよ(笑)?小林の発言のところに。
K: いやいや。書かないですよ。むっちゃ頭良い質問したような感じにしときますから笑
T:笑
T: ま、あとは、この装丁の部分で。もちろん当然その旅先とか、ちょっと持って歩くから、ある程度頑丈な、その装丁というか、傷んでも中が破れないみたいな感じの本にはしてるんですけど。
プラスアルファ、装丁からもう少し windowsの作品のイメージを、含めるっていうか、連想できるようなことがしたくて。それでひとつお願いしてるのが、これ自体も日焼けするってことで、これ自体を窓辺に置いとくっていう発想なんですけど、窓辺に置いておいて、実験でやってたのがこれで。
K: これでもできたの、先月とかですかね?
T: そう、いやこれね、実際数週間しか置いてないんだけど、これ実際窓辺に置いといたんですよ。
K: いい感じになってますね。
T: そう。っていうのは、実はすごい日焼けするのは、この紙の成分の中に入ってる、リグニンかな?
リグニンっていう古紙によく入ってる成分で茶色くなりやすい紙なんです。そういう茶色くなりやすい紙を選んでて。
K: あ、そうなんですね?
T: そうそう。
K: じゃあ結構短期間でも焼ける。
T: そう、で逆にコート紙の方は全く色褪せない紙を選んでるんですよ。だから、このテキストを書くところは、結構紙が焼けてるんですけど、コート紙の方は全然日焼けしないっていう風なデザインにして。初めからもう、ウィンドウでちょっと光を浴びた状態の本みたいなのを装丁で作ろうかなと思って、やってたんです。
K: どれくらい焼けるか楽しみですね。
T: 確かに。
K: いや、よくわかりました。全然今ので俺は適当に書きます。
そんなこんなで他にも話したりしましたが、田中さんに色々教えてもらいました。
田中さんありがとうございました。
田中さんも言っていたようにアートブックというよりは記憶と記録を主題にしたノートブックといった趣でした。装丁も頑丈にしていると仰ってましたが、シンプルにとても美しい。持ち歩きたくなるような本が出来上がっています。日焼けに関しましては、少し時間が足りなくて田中さんが想定してたほどはまだ焼けていないのですが、多分、購入した人が書いたり、持ち歩いたりしながら完成していくんじゃないかなと思います。ぜひ8日、9日に見にきてください。遠方の方に向けて通信販売もございます。
他のチームのアートブックも素晴らしいので、ご興味がございましたらインスタで紹介しておりますので、他の本も見てみてください。
https://www.instagram.com/printhousesession/
インタビュアー: 小林(flotsam books)
写真: Kota Kurokawa
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