見出し画像

<第5回>誰もが持つ「単純さ」と「複雑さ」。信念があれば道は拓ける⁉

『チーズはどこへ消えた?』 
スペンサー・ジョンソン著(扶桑社)

➊イントロダクション~2016年に再ブームも到来

1998年に原作がアメリカで発売された本書は、2000年に翻訳版が日本で発売されて以降、国内では累計400万部、世界では2,800万部以上売れている大ベストセラーです。
IBMやアップル、メルツェデス・ベンツなど、世界のトップ企業の社員教育に採用されていることでも有名です。最近では、大リーガーの大谷翔平選手が日本ハム時代に愛読していたとテレビ番組でも紹介され、話題となりました。

なお、著者のスペンサーさんは、世界で1,500万部突破の『1分間マネジャー』の共著者としても知られている人物です。

ちなみに、ブランチャード博士の論文『1分間マネジャー』は、㈱星野リゾート代表取締役の星野佳路氏が1980年代に読んで衝撃を受けた一冊だそうです。

話を戻しますと、20年以上前の話ですが、刊行からわずか半年で300万部を超えるベストセラーになったので、ビジネスパーソンなら一度は「書名」を聞いたことがあるのではないでしょうか、
でも、そういう有名な本に限って、じつは読んだことがないという人も多いのでは……。
「いまさら読めないよ~」という、そんなシャイな方のためにこそ、動画はあるのです。本書も、人気YouTubeチャンネルが紹介していますよ。

今回も、本書の気になった部分を抜粋してみました。

"自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたがる"
"変わらなければ破滅することになる"
"つねにチーズの匂いをかいでみること、そうすれば古くなったことに気がつく"
"新しい方向に進めば新しいチーズがみつかる"
"恐怖を乗り越えれば楽な気持ちになる"

こんなことを思った人はいませんか?
「チーズは"報酬"とか"お金"のことでしょ?」
「変わらなければならない、なんて、会社でしょっちゅう言われてるけど……」

たしかに、本書の内容はさほど目新しいものでは、正直ありません。発売された20年以上前の当時も、同様に思った人がほとんどだったはずです。
しかし『チーズはどこへ消えた?』は、友人であるブランチャード博士から「このストーリーは素晴らしい。ぜひ本にまとめるべきだ」という熱心な勧めがあって出版が実現したというだけあって、いまなお読み継がれるに足る、普遍的な内容が書かれています。

では、準備はいいですか?
Are you ready?

➋実践してみたよ~変化を恐れるな、もっとも恐れるべきは現状維持だ

私の「グッと」きたところ、世界トップ企業の社員研修の「真意」

本書はベストセラーなだけに、あらすじ・解説や書評も、ネットにたくさん出ています。
当然ですが、読み方や解釈の仕方も、他の本の比ではありません。なかには批判的な意見も、もちろんあります。
なので、一度お読みいただくことをオススメします。ベストセラーなだけに、図書館でも借りられますよ(私はすぐに借りられました)。

より深く知りたい方は、コチラを。担当編集者が、サイドストーリーをいろいろと語っています。

さて、本書は世界のトップ企業が社員教育に使っているわけですが、外資系企業であれ日系企業であれ、真に社員に求められるものは、じつはさほど変わらないのでは……と、私は思っています。
アップル社を参考に、ちょっと考えを深めてみましょう。

アップルが1997年に出した広告キャンペーンは、"Think different"でした。

いきなりですが、もう企業メッセージがおわかりいただけたことでしょう(笑)!

現状に満足するな、変化を恐れるな

これは、自分たちに向けてのメッセージでもあるわけですが、社員研修にも落とし込んでいたのかもしれません。だとしたら、ほんとうに徹底的な意識づけだと思います。

これは、目からウロコですね!

私の「本当に使える!」実践テクニック、日ごろから「意識させる」ことの大切さ

元アップル社員のハクスレー・ダンサニィ氏は、2004年に就職したとき、社員証の裏に「成功のためのルール」が書かれていたと投稿しています。
ほんとうに、いまでも通用する言葉が並んでいます。

11のルールは以下のとおりです。

⑴古いものは手放し、未来を最大限に活かせ。
⑵つねに真実を語れ。悪い知らせほど早いほうがよい。
⑶最高の誠実さが求められる。疑問があれば、聞くこと。
⑷よいセールスパーソンではなく、よいビジネスパーソンになることを学べ。
⑸床は全員で拭く。
⑹スタイル、スピーチ、顧客をよく見ることにおいてプロであれ。
⑺カスタマーの言葉を聞け。そうすればおおむね理解してくれる。
⑻パートナーとWin-Winの関係をつくれ。
⑼お互いに気を配ろう。情報を共有することはよいことだ。
⑽難しく考えすぎない。
⑾楽しむこと。でなければ価値がない。

原文:Read the 11 'rules for success' a former Apple employee got on his first day(翻訳・一柳優心)

社員証の裏に、成功のルールが! トップ企業の社員証の裏は、注意書きではなかったのですね。(笑)

私にも経験がありますが、企業が研修をする際、形だけになってしまうことが多々あります。研修を活かした改革も、一部分だけにフォーカスして行なっていることが多々あります。しかし、ほんとうに変わりたい企業は、けっして手を抜きません。やるなら、徹底的にやる――。大切ですね。

★おまけ★最近読んでいる本

『新版 昭和16年夏の敗戦』猪瀬直樹著(中公文庫)

小泉純一郎元首相、堀江貴文氏をはじめ、各界の著名人が絶賛する「日本的組織の構造的欠陥に迫る、全国民必読の書」。「新版あとがき」と「巻末対談」も必読です。
戦後75年、私たちはほんとうに変わったのか。この夏、お勧めの一冊です。