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PHP新書『子どもが心配』誕生秘話

養老孟司先生の最新刊、『子どもが心配』(PHP新書)が好評発売中です。その発刊経緯を、担当編集者が語ります。

本書は『日本のリアル』『文系の壁』『AIの壁』に続く、養老孟司先生と四人の識者の方の対談集の第四弾になります。
PHPの月刊誌『Voice』で、慶應義塾大学の小児科医である高橋孝雄先生とご対談を行なっていただいたのですが、その際に養老先生から「子どものことはたいへん重要な問題だと思っていますので、よい企画をありがとうございました」とのお言葉をいただきました。「これは子育てと教育に関する対談集を企画しなければならない」と思い、養老先生にご相談したところ、ご快諾いただき、対談企画がスタートしました。

対談相手は、子どもと真摯に向き合っておられて、養老先生が信頼されている四人の識者に依頼しました。一人目は、ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』の著者で、子どもの認知能力の向上に努めていらっしゃる宮口幸治氏。二人目は前出の高橋孝雄氏。三人目は、日本における子どもの脳の研究の第一人者で、養老先生とは以前から懇意にされている小泉英明氏。四人目は、養老先生の「一般的な学校とは異なった教育を施している学校の方と話したい」という意向を受け、東京で幼稚園から大学までの一貫教育を行なっている自由学園の学園長、高橋和也氏にご登場いただきました。
自由学園の教育の基本は、「自分のことは自分でやる」というもの。小学生のうちから、自分たちで掃除して集めた落ち葉や昼食の残飯で堆肥をつくり、自分たちの畑や田んぼで収穫した食材を食べ、中学生になると自分の机や椅子も自作するという学校です。
さまざまな立場の方にご登場いただき、たいへん内容の濃い対談集になったのですが、四人の方が共通しておっしゃっていたことがあります。それは、他者を大切にすることの重要性。宮口幸治先生は他人の気持ちを理解することの大切さを述べ、高橋孝雄先生、小泉英明先生は、ともに他者に共感する力について言及されています。自由学園では共同作業が頻繁に行われています。教育においては、子どもの能力を伸ばすことはもちろん大事ですが、他者との協調性、共感を得る力を身につけることも、それと同じくらい大切なことなのだ、ということを学ばせていただきました。

第一事業制作局 ビジネス・教養出版部 PHP新書課 西村 健

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