マガジンのカバー画像

営業部長の読書日記

13
書店巡回歴・三十数年、PHP普及局きっての読書家である営業部長アキラ――。店頭で自分の眼で見て、触って、買った本の魅力を語ります。
運営しているクリエイター

#PHP研究所

■読書日記<第11回>ノンフィクションとフィクションとのあいだ

地政学的リスクの高い中央ヨーロッパで戦争が始まりました。これによって、政治、社会、経済など、いろいろと世界の構造が変わっていくようです。国際的には、米英の相対的な地位が下がり、ますます中露の存在感が高まることで世界の多極化が進み、種々の軋轢が進むのでしょうか。とにかく、ウクライナ侵攻がアフガニスタン情勢のように泥沼化しないことを祈ります。 呑気に読書を楽しんでいいのだろうかと、後ろめたい気もします。困ったものです。 ≪今月の購入リスト≫ 『感染症としての文学と哲学』福嶋亮大

<第7回>節操のなさに呆れながらも、「濫読」をやめられない日々

≪今月の購入リスト≫ 『稲盛と永守』名和高司著(日本経済新聞社) 『読む・打つ・書く』三中信弘著(東京大学出版会) ※ともに、大垣書店イオンモールKYOTO店で購入 『音楽の危機』岡田暁生著(中公新書) ※大垣書店京都ヨドバシ店で、天花寺さやか先生の一日店長イベントの手伝い時に購入 『塞王の楯』今村翔吾著(集英社) ※11月1日、きのしたブックセンターの新装オープン挨拶時に購入(書店オーナーであり著者の今村翔吾先生は、弊誌『歴史街道』で連作短篇を好評連載中!) 『謎解きサリン

<第6回>食べて寝て働いて、時折り本に齧りつく毎日

先月は弊社の期末決算(毎年9月)でしたが、さまざまな問題に翻弄されながらも、なんとか新しい事業期を迎えることができました。全国の書店の膨大な実売データ、怒涛のSNSでのパブ情報、進む商談や会議のオンライン化等々、ともすればデジタルの奔流に押し流されてしまいそうになります。とはいえ、難しい顔をしていても仕方がないので、ここはグッと堪えて「笑顔」でいきたいものですね。気がつくと、ほぼ一日の大半、しかも土日返上で仕事に勤しみながらも、なんとか本だけは手にしています。私にとっては精神

<第5回>未来への「希望」について、とめどなく考える日々

いったい、どのように収拾がつくのか見当もつかないコロナ禍のなかにあっても、人類の未来には「希望」を持ち続けたいものだと思います。希望の対象には、たくさんのものがあります。わたし個人としての希望? 親として、子供としての家族? あるいは、所属する組織? たまたま住んでいる地域共同体? 偶然に国籍を持つ国家? サピエンス種としての人類? 乗組員の一員としての宇宙船地球号? 太陽系惑星の所属する銀河系? もしかして、ダークマター? ……はてさて、茫洋としてしまいますが、私がもっとも