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日本人の給料を上げるために必要なこと

なぜ給料が上がらないのか

テレビで「日本は先進国で唯一30年間で給料が上がっていない国」ということが言われているかと思います。

政治家はこの問題に対しては、

  • 経営に給料を上げるよう要求

  • 最低賃金を上げる提案

と、中学生の考えたようなことしか言わないですよね。
原因については具体的なことは何も言いません。自民党のせいにするだけです。

それは、なぜか。

それを言ったら選挙で票がとれないから言わないのです。

給料が上がらない理由は何か。

それは、企業に十分な利益が無いからです。
では、なぜ利益が十分ではないのか?

理由は2つ。

  • 日本人はデフレマインドが強すぎて企業に利益が残らない

  • 雇用を守りすぎており、 無能で無駄な人材に給料を払っている

になります。

これが本当の理由です。

こんな事を言ったら印象が悪くなるため、本質には触れないのが政治家や
TVのコメンテーターです。

解決策はあるのか?

この2つの理由は依存関係にあるのでどちらかを先に解決させる必要があります。

国民のマインドを変化させるには10年以上かかるため長期的な計画で脱デフレ文化を作っていく必要があります。

戦後に蔓延した「贅沢は敵」というマインドの逆マインドにする必要があるでしょう。

一方、後者の雇用については比較的即効性のある具体的な解決策はあります。

日本と同じように雇用の流動性の低い状況からデンマークやオランダは見事に脱出し、経済を活性化させました。

その政策とは「フレキシキュリティ」といいます。

このフレキシキュリティとは

(1)解雇しやすい柔軟な労働市場
(2)手厚い失業手当
(3)充実した職業訓練プログラム

のトライアングル関係で構成されています。
このトライアングル関係について簡単に説明します。

(1)解雇しやすい柔軟な労働市場

これは解りやすいと思いますが、企業側は従業員を解雇しやすくし、
利益を有能な人材を中心に還元し、成長 <-> 還元の高サイクルを生み出す規制緩和です。

(2)手厚い失業手当

解雇された人はどうするのか?
もちろん国がその人達を失業手当で救います。しかも生活するのに困らないレベルの手当を与えます。
それでは誰も働かなくあるため、手当を受けるには条件があります。
それが次の(3)になります。

(3)充実した職業訓練プログラム

手当を受け取るためには国が認めた職業訓練を受け、卒業することを義務付けます。形式的な訓練校ではなく、真剣に職業訓練を行う内容のものです。


いかがでしょうか?どのような感想を持ちましたでしょうか?

もうお気づきかと思いますが、
このトライアングル関係は、有能な人材を増やすことを目的とした政策になります。

石油やレアメタルなどの世界基準で価値のある資源が豊富にある国であれば国民はあまり働かなくても豊かな暮らしが出来ると思います。

しかし、そうではない国は、国民が知恵を絞り価値がある産業(商品やサービス)を生み出し販売する必要があります。

つまり、価値ある産業で活躍できるスキルを身に着けた人材が必要になるということです。

日本の産業を復活させ、賃金を他の先進国並にするにはこのような抜本的な改革を行う必要があります。

なぜやらないのか?

変化・改革より安定・保守を好む国民性と言えばそれまでですが、
改革側とは逆の視点から見れば現在の状況はある意味納得できます。

先進国の中で唯一30年間給料が上がらない日本はすでに先進国とは言い難いレベルになっていますが、先に述べたように雇用を堅く守っているため、 本来であれば失業していたり、収入がもっと低かったりする人を多く助けているという側面もあります。

この側面は立場によってはむしろ有り難い状況と捉える人もいます。

メディアですら権力者に迎合し情報操作されている日本は管理者主導の社会主義国化していますが、頑張っても頑張らなくても給料が上がらない状況からも社会主義国化しているとも言えると思います。

結局は、この状況を受け入れている日本人が大勢であり、
30年給料が上がらなくても自民党が政権を安定して維持出来ているため変える必要が無いというのが政府の本音かと思います。

暴動が起きたり社会的に大きなムーブメントが起き、対応しないと選挙に当選しないと思えば政府も動くことでしょう。

そうでない限り、選挙の時だけ「最低賃金上げる!、給料上げる!」などと抽象的な事をいって「やってる感」を演出するだけで国民が忘れるのを待つというのが実際のところです。

日本国民は選挙に行くのも大事ですが、こういった事実をしっかり理解することが何より重要です。

この文章を読んで頂いている方は私の見解に賛同しなくとも、給料が上がらない原因を自分なりに分析して頂きたいです。

そういう一人ひとりの積み重ねが日本の未来を明るくします。

最低賃金を上げれば解決するのか?しないのか?

個人的には最低賃金を上げても全体の給料が上がらない問題は解決しないと思います。

最低賃金と日本人の平均年収を比較しても簡単にわかります。

平均年収は
2000年:465万円
2021年:445万円

最低賃金は
2000年:659円
2021年:930円

平均年収は変わらないどころかむしろ下がってるのに対し、最低賃金は確実に毎年上がっています。

この20年間で
最低賃金は40%アップ、
平均年収は5%ダウン。

どうでしょうか?

最低賃金で全体の収入は改善されないということは歴史が明らかに証明しています。

経営者目線で見ても簡単です。

最低賃金が上がっても、収入が上がるのは最低賃金で労働している人だけあり、その他の人にはメリットがあるとは言えません。

一方、経営者としみれば最低賃金で労働してもらっている場合、コスト増でしかなく利益はむしろ減ります。

この状況でどうやって全体の給料を上げろというのでしょうか?
給料を上げて欲しい気持ちはわかりますが、自分も経営者になったつもりでシミュレートしてみれば解ると思います。

最低賃金を上げれば問題が解決すると言っている人に問題解決の具体的なロジックを教えてもらいたいと心から思っています。

最低賃金について調べていたところ、日本人の文化、マインドも大いに問題だということに気づきました。

最低賃金については、 全労連、全労協は、
2022年6月28日に「全国一律1500円の引き上げ」と主張しています。

東京ならまだしも、全国一律1500はあまりにも非現実的な主張です。
「やってる感」をアピールするパフォーマンスでしかありません。

この無駄な事をやっているにも時間とお金が消費されています。こういうことは早くめて実のある行動をとってもらいたいものです。

また、最低賃金を決めるのは「中央最低賃金審議会」という審議会で審議して決めるのですが、たった数人のベテランが話して決めるというアナログ極まりないやり方も時間とお金の無駄遣いの象徴です。

時代は進んでいるのですから、 マクロ経済の指標や数式によって最低賃金を自動計算することなんて簡単なはずです。

FAXやハンコ、ITの活用で瞬時に計算できることを人間の気分で審議等という日本の文化、慣習はもはや恐怖でしかありません。

民間企業も問題です。
雇用は守られていると言っていますが、実はそんなことありません。
私は経営者歴10年以上ですし実体験をもって断言できます。

会社の仕組みを知っている風の管理職社員は「社員をクビにできないからさぁ」と知ったかぶりしますが、それは明らかな嘘であり、クビを切る度胸が無いだけです。

法律では以下のように解雇(及び退職勧奨)は絶対にダメということにはしていません。

労働契約法(第16条)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合はその権利を濫用したものとして、無効とする

整理解雇(=リストラ)で企業に求められる4要素
・人員整理の必要性
・解雇回避の努力義務
・被解雇者選定の合理性
・手続きの合理性

裁判でも解雇(及び退職勧奨)は経営する上でむしろ必要なことであり問題ではない。退職に至るまでの経緯で執拗に追い込むなどの対応が問題であるという判決が多くあります。

したがって、正しい誠実な対応を行えば従業員に退職してもらうことは合法的に可能です。

現実は退職してほしい従業員に「辞めてくれ」と通達する度胸がないので、制度のせいにして逃げているエセ管理者、経営者が多いのが問題です。

国や税収の視点から見ると 「最小のコストで利益を最大化し法人税を多く納める会社」が優秀な経営と評価します。

従業員から見ると受け入れたくない内容かもしれませんが、これが事実なのです。

そして、従業員側も自分でなんとかしないとダメな時代と認識しないと生きていけません。

国を上げて「終身雇用だ!産めよ増やせよ、働け!所得倍増計画だ!」というのは昭和の高度成長期の話です。

そうです、がむしゃらに働いていれば給料が増えていく時代はとっくに終わっています。

今は自分で努力し、そして交渉して収入を上げる時代です。

交渉は、会社の評価面談の時や、転職の面接の時に行うものです。むしろ面談は自分の価値を主張し交渉する場と思ったほうが良いです。

交渉することを恥ずかしがったり、上司に失礼かな?と気を使っている場合でしょうか?

他人に気を使った結果、低い給料のままで良いのでしょうか?

経営者は「安い給料で沢山働いてもらいたい」と思っています。

そんなことは無いと思う方も居るでしょうが、
社員より低い給料の経営者を知っていますか?
社員に沢山給料払いたいなら経営者の給料は少ないはずですよね。

残念ながら大半の経営者の本音は「安い給料で沢山働いてもらいたい」なのです。印象が悪いから従業員の前では言わないだけです。

収入を上げるには「努力」と「交渉」が必要なのです。
これも現実です。

現実を受け入れてから未来に向かいたい

私は単に文句を言いたい訳ではありません。

私が言いたいことは、

  • 不都合なことでも現実を受け止める

  • 他力本願ではなく自分でやるべきことを実行する

が民間人に必要であり、政府や行政には

  • 民間人の成長を支援するセーフティネットの仕組みを整える

を行ってほしいと思っています。

ゲームをしたり、SNSで人のことを気にするもの良いですが、
もう少し自分の事や社会の仕組みを真剣に考えるのも良いと思います。

他人に任せておいて知らないうちに損するということはもう止めませんか?

小さな一歩が集まれば未来は明るくなると思います。


それでは。


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