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論理的思考の活用: 議論の論点を分解する

話し手を理解する

ビジネスシーンにおいて非効率な議論、会議が多いと思います。
企業の規模、業界は様々ですが共通して起こっている事でしょう。

今回はこの件について書いていこうと思います。

非効率な議論や会議はどういうものでしょうか。
それは大きく次の2つに分類できます。

✓ 議論が前に進まない
 会話は終わったけど結論がボンヤリしている

ここまでは皆さん違和感ないと思います。

これらをどうやってピシッとした有意義な議論にするかが関心事項だと思います。

私がいつも行っているのは 話し手を理解する ことから始めます。
かっこよく言えば 話し手をプロファイリングする です。

基本的に議論が前に進まないのは、

  • 目的がそれぞれ違う

  • 責任やタスクから逃げている

が原因です。

目的が同じであり、責任をもって何かを成し遂げようとしている人達であれば議論は有意義に進みます。

では、さっそく整理していきましょう。

[ ケース1:議論が前に進まない ]

これは目的が違う人や、価値観が違う人が2人以上居て、かつ発言力が強い場合に議論が前に進まない状態が起きます。

議論が前に進まないのは、理由が複数あるように思えて実は1つです。
それは、

論点がズレている

と言い切って良いと思います。

論点が合っていれば、多少意見の対立があってもそこまでヒートアップしません。

逆に、論点がズレていると話が噛み合っていないので議論になっておらず「感想のぶつけ合い」になっているだけです。
これが議論が前に進まないという現象です。

ではなぜ論点がズレるのか?
それは、各々がそれぞれの価値観で論点を勝手に決めているからです。

議論や会議を行う際は「目的」と「論点」を予め定めると出来るだけスムーズに進みます。

論点がズレてしまったケースに話を戻します。
ビジネスシーンでは主に次のポイントに価値観が別れます。

(1)費用
 お金です。ビジネスでは一番わかり易い価値観です。
(2)プロセス
 会社にはワークフローがあり、会社員そのものとも言える文化です。
(3)人選
 こちらもプロセス同様に会社員そのものとも言える文化です。
(4)方法
 物事にはそれぞれ様々なアプローチ方法があり、専門職的な価値観です。
(5)理念/倫理
 曖昧ですが会社の根幹となるような柱となる価値観です。

会社などのコミュニティで議論が進まない場合はだいたい上記の価値観を軸にした意見が複数交差しています。

例えば、以下のような感じです。

A:「会社の新しい方向として〇〇事業を始めるべきであり、来月からプロジェクトチームが発足します。リーダーは私です。」

B:「私は反対です。突然発表されても私は事前に話を聞いていなかったのでいきなり賛同することはできません。」

C:「私は予算次第で賛否の意見が変わります。私の事業部の予算削減が噂されていますがそれは関係あるのか?」

D:「事前に相談は受けていましたがXXのアプローチは枯れた技術なので反対です。次世代の技術を採用すべきです。」

ありがちな会話ではないでしょうか?
これらを分解すると以下になります。

[ Aさん ]
賛否:賛成
内容:目的と大まかなスケジュール、人選について発言しています。

[ Bさん ]
賛否:反対
内容:決定までのプロセスに不満を持っています。

[ Cさん ]
賛否:あいまい
内容:予算次第が気になる。それ次第では賛成でも反対でも意見を変える。

[ Dさん ]
賛否:反対
内容:現在選択しているアプローチ方法が反対。目的には賛成。

このままでは会話が前に進まないのは明白です。

ですが、登場人物の部署、役職、性格を考慮すればこれくらいは分析出来るかと思います。

まずはこのようにそれぞれの価値観と不満ポイントを理解するのが大事です。

[ ケース2:会話は終わったけど結論がボンヤリしている ]

会議がぼんやりスタートして、ぼんやり終わる。
このケースも会社にいればまぁまぁあることかと思います。

これは結構簡単でして、次の2つに分類されます。

  • 話し手が知識を披露して気持ちよくなっている場合

  • 会議オーナー、ファシリテーターが責任から逃げている場合

会社員であるならば残念ながらこういう人は一定の確率で存在します。
もう少し見ていきます。

(1) 話し手が知識を披露して気持ちよくなっている場合
役職など見かけ上の出世にこだわりが強い人で、単純に自分を大きく見せることで満足するだけです。
初めて部下を持ち始める30代中盤くらいからこういう人が増え始めます。
主に若年層社員や部下に自分の存在と浅い知識を披露するのが典型です。

(2) 会議オーナー、ファシリテーターが責任から逃げている場合
ある意味、会社員の王道というか真髄を知っている人になります。
会社である限り、会社を動かすのは経営者であり従業員全員でもあります。一人の従業員ではありません。
従業員がいくら頑張ってもその頑張り通りの報酬を貰うことはあり得ません。
だとすると、他人の努力で自分が報酬を貰うのが一番効率的であり会社員の特権でもあります。
したがって、このケースは「目的や目標はボンヤリ示して、誰かが責任持ってドライブしてくれることを期待している。」というものです。
この手の人は若い時にある程度実績を残したけど会社員は報われないというのと知ってしまった中堅、ベテランに多いです。

議論や会議を前に進めるためにはどうすればよいか?

上記のパターンについてどうすればよいでしょうか?
私なりの回答は以下になります。

[ ケース1:議論が前に進まない ]

上記の通り価値観が別れてしまうので、会議の際は目的やゴールの設定だけではなく、論点も同時に定義する必要があります。

この論点の定義を行えばだいぶ議論はスムーズに進みます。
最初に論点の定義をしなくても、議論が滞りだしたら各々の論点を明確化し、それを1つひとつ潰して行けば前に進みます。

ここで1つ厄介なのが、論点が「○○すべき」という理念や倫理感である場合です。

これだけは非常に漠然としており数値化や具体的なタスクに落とし込むことが不可能です。

べき論を解決する/出来る のは経営者だけであり、その他の人がべき論を語るのは会議ではなく飲み会で酒の肴として永遠と話していれば良いと思います。

ですので、会議で
「べき論」がでたら論点として却下する
「べき論」は言ってはいけない

というルールを設けることをオススメします。

[ ケース2:会話は終わったけど結論がボンヤリしている ]

(1) 話し手が知識を披露して気持ちよくなっている場合
(2) 会議オーナー、ファシリテーターが責任から逃げている場合

この手の人は直せないです。

(1)は完全に無視でよいでしょう。自分が気持ちよくなってるだけですから無視してもあまり害はありません。
もっと正確に言うと有害になるほどの力も無いということです。

(2)については、ちょっと我慢して自分が主体者となるか、ボンヤリとさせたままにしておき会議がなかったことにしておくしかありまえせん。

問題の会議オーナーに責任を主体性を求めても暖簾に腕押し状態でストレスを受けるしかないのでそこはスパッと諦めることをオススメします。

最後にまとめになりますが会議などのコミュニケーションを円滑に進めるためには

「何をしたいのか」という相手の目的を知ることももちろん大事ですが、
それもより「何が気になってるのか」という相手の価値観を知ることがもっと大事

組織としては目的、目標が重要ですが、組織を運用している人間は価値観が重要

ということです。

多様性の世の中ですから相手の価値観を知ることで皆で少しずつ新しい世界を作れたら良いですね。

それでは。

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