試験
昨日から騒がれていた台風は、空回り。
分厚く重たい灰色の雲が、私の気持ちをさらに憂鬱にさせる。
そんな、模擬試験の日。
日本史のテスト。
残り10分で、テストが終わる。
手持ち無沙汰に、空を見つめる。
灰色の世界にぽっかりと浮かぶ黒い電波塔。
窓枠に切り取られた世界は、まるでモノクロ映画でも見ているような錯覚に陥れる。
まだ問題を解いている子、机に突っ伏して眠っている子、私と同じように窓枠に切り取られたモノクロ映画に見入る子。
時計の針が進む小さな音と、問題用紙が捲られ、髪が擦れ合う音。
試験独特の空気感。
テストは嫌いだけれど、この空気は嫌いじゃないと思えた。
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