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2週間ぶりにカナダの政治の話でも。カナダの環境対策はどこへ向かうのか?

今日、グリーン党エリザベス・メイ党首が党首を辞任すると発表した。先月21日に実施されたカナダ連邦総選挙で争った6党のうち、紅一点の女性党首だった。

早くから環境問題を提起し、カナダのあるべき姿を訴えてきた人だった。政治で環境問題と言えばメイ党首と代名詞となるほどの人だっただけに、なんとなく一時代が終わった感じがする。

ただ、国会議員を辞めるわけではなさそうなのでひと安心。まだまだ彼女のような聡明で誠実で歯に衣着せぬ国会議員にはがんばってもらわなくてはいけない。

なにかと他国より優れたところのあるカナダの政治だが、こと環境問題に関しては完全に後進国で、天然資源産業が主要産業の国にある「おごり」が消えない。だから彼女に後手後手に回る環境政策をバシバシと切ってもらわなくては、この先のカナダの気候変動問題対策が動かない。そう簡単に引退してもらうわけにはいかない。笑。

来年の10月には新しい党首を決めるということだが、難航しそうである。グリーン党は今年に入って州選挙レベルでも旋風が巻き起こって、全国で議席数を伸ばしているが、国会議員は結局メイ党首を含めて当選したのは3人だけだった。

それでも前回はメイ党首だけだったのだから、3倍に増えたことになる。期待はあるということだ。

しかしやっぱり現実は厳しい。

党首選びで最も難しいのは英仏両語ができなくてはならないということだ。これが最大のネックと見られる。

前にも書いたが、カナダの連邦レベルの党首は、英語とフランス語ができることは党首としての必須条件。だから政治家として優れていても、どちらかでしかコミュニケーションができない人は党首になれない。

今日の辞任記者会見で、記者がフランス語で「あなたのフランス語は時々わからないとケベック州では言われているが」ととても失礼な質問をしていた。記者がこれをやってはいけない。

選挙期間中でも、保守党シアー党首のフランス語が分かりにくいと文句を言っているという記事をどこかで読んだ。でもメイ党首については聞かなかった。

まあそれほど両語に精通していないといけないということだろう。ちなみにフランス語が公用語のケベック州は全国でも最も環境問題に熱心な州のひとつである。だから、政策の根幹を環境問題に置くグリーン党にはがんばってもらいたいということなのだろうか。そういう意味であってほしい。

それにしても、ほんとカナダの党首選びは大変だ。

さて、グリーン党はこれからどこに向かうのだろうか?環境問題、気候変動問題は、政治にとってもはやオプショナルではない。環境問題対策が付加価値だった時代はとっくに終わり、今や必須事項だ。しかもかなり喫緊の問題である。

これからますますグリーン党の主張がカナダの政治に重要になってくる。グリーン党はどんな人を次の党首に選ぶのか。楽しみに待ちたいと思う。

写真:バンクーバーの紅葉  by myself



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