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【比較】Wio Terminal vs M5Stack

はじめに

マイコンボード というと、なにやらメカメカしていてサイバーパンク的で、ゲジゲジみたいな足がいっぱい生えてるのがあって…なんだかワケがわからない<s>オタク</s>マニアのおもちゃ…という印象があったりしますね(^^;。

しかし、最近は M5Stack といったLCD+ケース+バッテリー付…しかもArduinoでおとなもこどもも、おねーさんもサクっとプログラミングできて、ちょっとしたお小遣いのような値段で買える…!という、たいへんセクシーな(?)マイコンボードが人気を集めていたりします。筆者も M5Stack をキッカケに長年離れていたマイコン遊びを復活させた一人です。

しかし、商魂たくましい(ほめことばですよ!)中華業者がこうした日本でのムーブメントをほっておくはずがない。 Seeed Studio も満を持して同様のマイコンボード Wio Terminal を発売することとなったのです(2020年4月)。例の世界的な流行病のために物流が滞ってしまい、中国から届く怪しいガジェットに飢えていたマイコン遊び大好きなオッサ…おにぃさんたちは久しぶりに歓喜したのでした!

日本ではさっそく 秋月 とか スイッチサイエンス などで売り出されて速攻で売り切れる始末…。そんな人気を横目にTwitterとか見かけるとこんな疑問が。

WioTerminal と M5Stack、 何が違うのさ?

そんな疑問にお答えするべく、ほとんど自己満足記事です。

……なぜ、このような記事を書くかというと、筆者は3月末にはPreOrderかけていたのですが、送料をケチって DHL/Fedex ではなく China Post を選んでしまい、WioTerminal日本上陸祭には参加できなかったからなのです(´Д⊂。 ですから、WioTerminalに関する情報はWebで調べただけであるという事情も申し添えておきます;;;

最初に結論を申し上げますと!

もし、あなたが「なんかIoTだとか最近よく聞くし、ちょっと齧ってみようか…」と考えていて、これから M5Stack を買おうか Wio Terminal にするかどちらにしようか迷っているのであれば……それは愚問というものです。

どちらかを買っても、
いつの間にかあなたの手元には両方揃っているでしょうから。

※以下、M5Stackを「M5」、WioTerminalを「Wio」と表記することがあります。また比較対象となる M5Stack は、日本で買う人が多いであろう(個人的な推測です)「M5Stack GRAY」とします。

比較1:外観およびLCD

M5:  (幅)54mm (高さ)54mm (厚さ)17mm
Wio: (幅)72mm (高さ)57mm (厚さ)12mm
LCDは両者とも同じ 解像度320x240 の 2.4インチ、積んでいるコントローラはILI9341SPI制御。M5は当初TN方式だったものの、最近はIPSになっているらしい。両者ともタッチパネルではない

まず両者最大の特徴であり、目を引くLCDは同じですね。それを取り囲むケースは、 M5 が正方形で Wio はポートレイトスタイルです。そのためか、Wio の方が大きそうなLCDに見えるかもしれません。

ソフトウェア的な観点からすると、LCDは共にILI9341をSPI制御するので、同じようなアルゴリズムで表示できるというわけですね。

また Wio の方が薄いのですが、内蔵バッテリーが無いためでしょう。他の方のレビューなどを見る限りでは別売オプションのバッテリーを重ねるとそれなりの厚さになるようです。

ただ、このテの中華マイコンボードはどうしても電源が鬼門になることが多いので…手持ちのモバイルバッテリーなどから5Vを給電する方が幸せになるかもしれません。

比較2:SoC

マイコンボードというからには、その心臓部であるマイコンのスペックが最も気になるところです。ある意味比較して一番楽しい部分ですね(笑)。

M5:  Espressif ESP32-D0WDQ6(公式の回路図ではそうなってる)
   240MHz デュアルコア/SRAM 520KB
   ROM 内蔵448KB 外付16MB
Wio: Microchip ATSAMD51P19
   120MHz(Max200MHz)/SRAM 192KB
   ROM 内蔵512KB 外付4MB

…という感じで、実はSoCのカタログスペックだけを見れば M5Stack の圧勝なのです。しかも無線機能もこのSoC(ESP32)に内蔵されていたりします。

WioTerminalで積んでいるMicrochipの ATSAMDシリーズ というのは、これまで Adafruit などがホビー&プロトタイプ用途のマイコンボードに投入してきた由緒ある(!?)ARMマイコンです。SoCそのものには無線機能が無いので「Realtek RTL8720DN」という、みんな大好き(?)カニさんのチップを積むことによって補完しているようです。(しかも、ESP32では対応していない WiFi-5GHz や BLE 5.0  も使えるようです。後発の強みというやつですね。)

そして、本当に例のカニさんロゴが刻印されているかどうかは…
既に持っている人に聞いてくださいw

Microchip というのは PIC や AVRマイコンのファンにとっては馴染み深いメーカーだと思います。ただ、ATSAMDシリーズは日本においてはESP32の人気に押され気味で、いまいちマイナーな感じでした(個人の感想です)。しかもAdafruitのマイコンボードは性能の割に高かったし(だから個人の感想ですってば!)。

そのATSAMDシリーズのマイコンが、今回は深センパワーの見せ所で、かな〜り低価格で投入されてきましたので、手軽にARMマイコンをいじくって試してみたい…という方には良いソリューションなのではないでしょうか!

あ、ちなみに消費電力については……聞かないで…(調べてもわからなかった(TT)

比較3:インターフェイス

やっぱり拡張性あってのマイコンボードですよね! いろいろなセンサデバイスなどのArduinoシールドなどをくっつけて、怪しさ大爆発なことをやらかしてみたいじゃないですか!

M5: USB(Type-C)/SD(マイクロ)/GROVE端子 x 1
   I/O:(側面)23pin x オスメス (内部)15 x 2列ピンソケット
   入力ボタン x 3
   パワースイッチ(プッシュ式)
Wio: USB(Type-C)/SD(マイクロ)/GROVE端子 x 2
   I/O:(底面)20 x 2列ピンソケット(RasPi互換)
   入力ボタン x 3/5way Switch
   パワースイッチ(スライド+バネ式?)

まず両者ともに USB(Type-C) や SDカードスロット などのおなじみのインターフェイスがあります。

そして、GROVE端子という Seeed Studio が推奨する4pin(VCC(5V),GND,シリアル通信用信号線2本)のインターフェイスもくっついています(Wioは2個で、3.3V給電です(いいのか…?))。

ユーザーインターフェイスとして両者ともに ボタンが3つ あります。加えてWioには5way Switch というものも付いていて、何かをコントロールするするのに有用な感じがします。

そして、両者ともパワースイッチというものがありますが、ちょっと一癖ありそうですね…。ちなみにM5Stackでは「物理的に電源と回路をオフにする」手立てが無かったりして、わざわざ有志ユーザーがその機能を付けたオプションパーツを自作したほどなのです(笑) なおWioの方は、まだ実際に触っていないのでなんとも言えません…

そして…

--------------------------------------(一般人との壁)---------------------------------------

M5Stack は側面にピンソケットがズラリと並んでいますので、まずはここからブレッドボード用のワイヤを伸ばしていろいろ実験できます! そして、Bottomを外した中身の方にも専用のピンソケット(もちろん、標準のピンヘッダを加工しても自己責任で大丈夫(?))を使って、自作のユニットなどを文字どおり Stack していく遊び方もできるわけです。

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WioTerminal の方には40pinのピンソケットが付いていて、そのレイアウトが…なんか見覚えがありますね! そうです Raspberry Pi のピンヘッダ互換 なのです! ここはWioTerminalの大きな売りですね!

既に、"ラズパイを差してみた"ブログもチラホラと見かけますが、モデルによってはコネクタと干渉してしまうため、ピンヘッダに下駄を履かせたりしている方もいるようです(^^;

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※Wioのピンヘッダインターフェイスレイアウト。ラズパイと互換性がある。

比較4:内蔵デバイス

Aruduinoなんかだと、センサー類などはいちいちシールドを購入して、くっつける必要がありますね。しかし、このLCD+ケース付マイコンボードでは人気のデバイスがあらかじめテンコ盛りされています(それだけGPIOが塞がっているという見方もありますがw)

M5: IMU(MPU6886+BMM150)、スピーカー
Wio: IMU(LIS3DHTR)、マイク、圧電ブザー、光センサー、赤外線送信機(IR 940nm)

※IMUというのは、いわゆる加速度・ジャイロセンサーというやつです。端末の傾きなどを検知できます。

こうしてみると、本体だけでも色々とIoT遊びができそうなのはWioの方なのかな…

なお、M5Stackのスピーカーは、「なんでこんなもの無理に付けた…」と思うほど音が酷いです(笑)。無駄にアンプと繋がれているのでノイズも増幅されて出力されたり…

Wioの方も 圧電ブザー + コンデンサマイク という、とりあえず実験用に何か確認できる程度のオーディオデバイスが付いているようです。音質はあまり期待できないでしょう…。あと、光センサーやIRは…面白い使い方ないですかね…

比較5:開発

マイコンボードたるもの、ソフト無けりゃ文鎮ですからね。プログラム開発環境も気になるところです。

両者とも Arduino が使えます。 microPython も使え…ます(震え声)。ビジュアルプログラミングだってできるでしょう(M5:UIFlow、Wio:MakeCode)…たぶん。

プログラム開発に関しては、やっぱりWioの方がARM開発環境が"枯れている"だけあって充実しているでしょうね… gcc-arm-none-eabi さえあれば怖いものナシの予感…っていうか、WioそのものがARM開発教育用なのか!

このへんは筆者も早く実際にWioTerminalを手に入れて、いろいろ怪しげなソースをビルドかけて確かめてみたいところです!

早 よ 届 け !

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まだ動いてない…こりゃ一ヶ月超コースですな…(T-T

※アイキャッチの画像はそれぞれ公式サイトからの引用です

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