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ホラー小説「ドールハウス」第10話 後悔

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注意喚起
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


20.美夏

痛いっ!
あたしは急に春香に突き飛ばされて、壁に頭をぶつけた。
いつの間にかに春香は走ってどこかに行った。
春香から「あなたは存在しない」と言われた。
春香はこの屋敷で仲良くしていた友達が死体に話しかけている姿を見てしまった。
追い打ちをかけるように、屋敷にはグロテスクな死体が飾られていた。
ショックが大きかっただろう。
春香はおそらく、「幻覚を見ている」と思い込んで、耐えていた。
しかし、春香の心は崩れてしまった。
急に春香はあたしの事を「幻覚だよね?」と質問してきた。
あたしはびっくりして、落ち着くように話をした。
しかし、自分は春香に佐々木愛美のことを知らないのに、死体に話しかけていた姿の印象だけで「異常」と言ってしまった。
春香からしたら、あたしは友達を中傷していたともとれてしまう。
あたしは初対面の春香のことを守ろうと無茶していた。
普通、初対面の人がすぐに信頼されるわけないのに。
春香は現実を受け入れられずに、殺人鬼になった佐々木愛美の得体の知れない恐怖を赤の他人であるあたしに置き換えて恐怖の対象にした。
春香は全く知らないあたしを怖がって逃げてしまった。
しかし、佐々木愛美が目打ちとボウガンを持ってこの屋敷をうろついている。
危険だから、早く春香を探して助けないと!

21.春香

私は二階に向かっていた。
まず、何をしたらいいか分からない。
適当に歩くとベッドがある部屋にたどり着いた。
ベッドを触ってみると、ふかふかだった。よく眠れそう。
私は眠たかった。
このベッドで寝れば、この悪夢から抜けれそうだ。
私はベッドに入って、寝ようとした。
その時、足が何かに当たった。
何だろう?
ベッドの中を調べると、パジャマを着た知らない女の子が寝ていた。
しかし、息をしていない。また死体?
いや、これも幻覚だ。存在しない。
でも、存在しないと言える自信が無い。
自分が夢に居るか、現実に居るか分からない。
ニュースで見た行方不明者の死体、初対面の人にも優しくする謎のお姉さん、豹変した友人。信じられない物をここではいっぱい見た。これらは存在しないと思っている。
疲れて、悪夢を見てるだけ。
だけど、現実にいるような感覚もあって、「これらが存在していたらどうしよう?」と思ってしまう。
いろいろ考えてると、余計に疲れてしまう。
その時、部屋の外から何かが聞こえた。それは、足音だった。
もしかして、美夏さんが来てくれたのかな?
美夏さんが存在していたら、最初に失礼なことを言ってしまったことと突き飛ばしてしまったことを謝ろう。

22.愛美

二階に戻って、モニカちゃんとツバサちゃんをさがしていた。
なかなか見つからない。どこに隠れたんだろう?
うろうろしてると、コルベットちゃんのお部屋から物音が聞こえた。
だれが居るかな?コルベットちゃんのお部屋を開けてみよう。
「コルベットちゃん、失礼します。」
開けてみると、春香ちゃん、ではなくモニカちゃんが居た。

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