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ホラー小説「ドールハウス」第2話 禁じられた遊び

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


3.美夏

部屋のドアを開けたら、広い屋敷の二階の廊下に出た。廊下からは一階が見渡せる造りになっている。
まるで、あるホラーゲームの洋館みたいだった。いまにも、ゾンビが出てきそうな雰囲気だ。
少し昔、そのゲームをよく遊んでいたなぁ。
柵から一階を見渡していた春香はこの屋敷の出口の扉を見つけたようだ。
さっそく階段を下りて、その扉へ向かった。残念なことに、扉には南京錠がかかっていた。
しかし、ここで諦めたわけではない。あたしは思い出した、使えそうなものは使おう。
髪を留めていたヘアピンを鍵穴に差し込んでみたが、ヘアピンが折れて失敗した。
でも、この地獄のような洋館を探せば、どこかに脱出に使えそうな物が見つかるかもしれない。
いや、そうはいかないかも。こんな状況だから脱出ゲームのように考えてしまったかもしれない。
あたしはこの南京錠に絶望していた。
その時、二階から声が聞こえた。
もしかして、あたしと同じくこの屋敷に閉じ込められた人かな?
あたしは気になった。仲間かもしれない。
あたしと春香は声がする場所へ向かうことにした。
声は二階の目覚めた部屋の向こう側の部屋からだった。
何か話し声が聞こえる。会話からその部屋には二人居るようだ。部屋のドアは少し開いてた。
ドアの隙間から覗いてみると、小柄で長い黒髪の少女と椅子に座っている茶髪のショートヘアの女の人が居た。
いや、この部屋には一人しか居ない。
椅子に座ってる人は死んでいた。あたしが目覚めた部屋の死体のようにきれいな服を着せられて飾られていた。
黒髪の少女はその死体に話しかけている。あたしたちには気づいていないようだ。
「うふふ、きょうもマリーちゃんはかわいいね。」
「ねぇ、マリーちゃん。きょうはね、ふたりの新しいおともだちがこの家に来たの!すこし待ってね。」
黒髪の少女は死体にこう語りかけた。
「二人の新しいお友達」ってあたしと春香のことだろうか。
もし、そうだとしたら彼女はあたしたちを殺してあの死体のように人形にするつもりだ。
少女は死体をマリーと呼んでいた。
その少女はまるで、人形遊びをしてるように見えた。
その少女の姿は恐ろしいものだった。
あたしの横に居た春香はその少女の姿を見て震えていた。

4.春香

私は恐ろしい光景を見た。
私の友達の佐々木愛美が死体と話している姿を見てしまった。
愛美は学校では大人しい印象だった。
成績優秀で、いつもテストでは良い点数を取っている。
家はお金持ちのお嬢様。
長い髪がトレードマークの美少女。
私と一緒に写真部に所属していて、私とは仲良し。
私は愛美と話したりすることも多かった。
愛美のこんな姿、信じられない。
さらに、愛美が話しかけている死体はどっかで見たことがある気がする。
私は思い出した。
たしか、数か月前にこの辺りで小柳百合という女子大生が行方不明になった。
それから、この辺りで行方不明者が出続けていた。
警察は事件性があると発表、そのことはニュースにもなった。
私はテレビのニュースで小柳百合の写真を見たことがあった。
その死体は小柳百合にそっくりだった。
目覚めた部屋の死体も行方不明者?
愛美が一連の連続失踪事件に絡んでいて、人を殺しているなんて考えたくない。
考えるだけで、恐ろしい。
そして、寝る前の記憶も思い出した。
私は愛美に誘われて、この屋敷に来ていた。
この屋敷にたどり着き、応接間に案内されて、そこで愛美が用意してくれた日本茶を飲んだ。
おそらく、その日本茶には睡眠薬が入っていたかもしれない。
飲んだ後、知らない間にあの部屋に運ばれ、美夏さんに起こされるまで寝ていたようだ。
しかし、睡眠薬のせいでまだ眠たい。
何かがきっかけで、美夏さんにあの部屋に居た愛美が私の友人だとバレたら、どうしよう。
下手したら、愛美の共犯者という濡れ衣を着せられるかもしれない。
疑われる前に事情を話した方が良いかもしれない。

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