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内定者が解説するシンクタンク業界(新卒採用の目線から)

こんにちは
将来を愁うとある元物理学徒です。
私は2023卒としてシンクタンク研究員の内定を頂けました。
しかし、シンクタンク業界を志望するにあたって、情報収集には非常に苦労しました。

そのような背景から、この記事ではシンクタンクと呼ばれる業界やその就活について共有したいと思います。(特に研究員について)
少しマイナーな業界で情報も見つけにくいですし、勘違いを引き起こしそうな情報も散見されました。
私の知り得る限りの情報を共有する事で、就活生がこの記事を読めば概要を理解できる事を目指しています。
(疑問点等あれば、お気軽にコメントください)

最近新しい記事も書きました。
もう少し仕事の具体的な内容を記載してみているので、シンクタンク業界に関心がある方のご参考になれば幸いです。


シンクタンクとは

「シンクタンクとは」と検索すると真っ先に出てくるページに書いている説明を引用します。

シンクタンクとは、政治、経済、科学技術など、幅広い分野にわたる課題や事象を対象とした調査・研究を行い、結果を発表したり解決策を提示したりする研究機関のことです。

https://www.elite-network.co.jp/dictionary/thinktank.html

シンクタンクの定義として、ここに書いている事はその通りだと思います。
なので、上記のような機能を持った企業や法人がシンクタンクと呼ばれます。
実際に「シンクタンク」のWikipediaを見てみると日本にも多くのシンクタンクがあるようです。
ただし、これらの多くは直接的な新卒採用を行っていません。
この記事では、特に新卒キャリアの選択肢としてのシンクタンク業界に注目します。
(中途でも大きくは変わらないとおもいますが)

シンクタンクって何をしている会社?

シンクタンクとは上記のシンクタンク機能を持っている法人の総称です

就活生時代の私もそれは理解していました。しかし、明確に勘違いしていた事がありました。
それは、シンクタンク会社=調査、分析業務専門であるというものです。
実際には、シンクタンクと呼ばれる会社はビジネスコンサルティングやシステム開発もやっている事が多いです。(特に新卒採用を行っているような大手は)

そのため、シンクタンク業界に就職するといっても「調査、分析業務」「ビジネスコンサルティング業務」「システム開発(ITコンサルティング業務)」の三つ職種があります。

この記事では、言葉の曖昧さを無くすために
調査、分析業務を行う職種をシンクタンク研究員(エコノミストとも)
シンクタンク機能を持つ会社を総称してシンクタンク業界と呼びます。

ネットの世界ではシンクタンク業界とシンクタンク研究員というのが、正しく分類分けされていない事が多いように感じます。
これが違和感や正確な業界理解を阻んでいる一因であると思います。

シンクタンク研究員の具体的な仕事について

これまでの説明で、職種としてのシンクタンク研究員とシンクタンク企業の違いについてある程度理解してもらえたのではないでしょうか。
ここでは具体的にシンクタンク研究員の仕事内容(あくまで内定者の理解ですが)を紹介していきたいと思います。

シンクタンク研究員の仕事は大きく分けて二つあります
・受託調査、研究
主に公的機関(省庁等)から委託を受けて、与えられたテーマに対しての調査、分析を行う事(もちろん報酬が発生します)
(例)経済産業省の公募情報(委託契約が参考になります)
:https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/R_00_bid_news_list.html

・自主研究
研究員や会社が調査の必要があると考えたテーマについて調査、研究を行う事(直接的には報酬はありません)
シンクタンク研究員が個人の問題意識に関してテーマ設定する事が多いようです。

上記の成果物としてどのようなものを要求されるのかというのが知りたい方は是非シンクタンク企業のHPを調べてみてください。
一部案件については公表されています。

注意したいのは、ここでいう研究は大学等で行われている学術研究とは少し毛色が違う事です。研究という言葉はついていますが、調査・分析業務と理解する方が正しいでしょう。

上記の二つの仕事がどのような割合で行われているかが会社によって全く異なるようです。(受託が中心の会社もあれば、自主研究中心の会社もある)
また、経産省のHP等で確認するとシンクタンク企業と呼ばれていない企業であっても、自社の事業と関連する調査、分析業務を受注している事もわかります。(戦略コンサルとして有名なボストンコンサルティング等が特徴的ですね)
つまり、シンクタンク研究員にならないと調査、分析業務に就けないという訳ではありません。
実際には目線の違い事こそあれ、コンサルティングファームや金融機関等にも経済分析や業界調査等を行っている部署があったりもします。
しかし、シンクタンク研究員は注目するテーマや社会課題に専門性を持っていますので、自分の関心のある課題への調査分析を中心に行いたい人には向いている仕事であると言えます。

受注研究と自主研究の割合等の内情については、「シンクタンク別の印象記事」で共有しようと思います。(わかる範囲ではありますが)

次に、具体的なシンクタンク企業とその中身について解説したいと思います

シンクタンク、コンサルティングファーム、SIerの違い

新卒採用を行っているシンクタンク企業は、私の知る限り
・野村総合研究所
・三菱総合研究所
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング
・日本総合研究所
・みずほリサーチ&テクノロジーズ
・大和総研
・NTTデータ経営研究所
あたりだと思います。(順不同)
他の会社は安定して新卒採用を行っていないと思います。

シンタクタンク企業にはシンタクタンク部門とコンサルティング部門とシステム開発部門がある事が多いという事は既にお伝えしました。
では、上にあげた7つの企業についてはどうなのかを表にまとめてみました。

主要なシンクタンク企業とその業務内情(順不同)

このように、シンクタンク研究員のみの会社というのはありません。
(あくまで毎年新卒採用を行っている会社に限った話です)

では、実際の仕事内容はどうなのでしょうか。
これが非常にややこしいのですが、
基本的にシステム開発業務(SIer業務)は独立していますが、シンクタンク研究員とコンサルタントは職種として明確に分けられていない場合があります。
(例)野村総研はコンサルタントとして採用を行うが、部署によってはシンクタンク機能を持っている(社内でも部署や人によってシンクタンク研究員的な仕事が多かったり少なかったりする)
対して、三菱UFJリサーチ&コンサルティングはエントリーの段階で、シンクタンク研究員とコンサルタントがわかれています(研究員は調査分析に従事し、必要に応じてコンサルタントと協働する)

非常にわかりにくいですよね
上にあげた企業でも純粋なシンクタンク研究員の募集は少ない企業もあり、コンサルタントとシンクタンク研究員の両方を行う人の募集もそれなりにある印象です。
以下に私の感じたシンクタンク研究員募集の違いを書いてみます。(説明会や逆質問から類推しています)

純粋なシンクタンク研究員をそれなりの数募集している
・三菱総合研究所(特に大きい印象です)
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング(10~20名程度だとおもいますが)

純粋なシンクタンク研究員を若干名募集している
・日本総研(確証なし)
・大和総研

中間的な人に関して募集している(部署・人依存)
・野村総研
・みずほリサーチ&テクノロジーズ
・NTTデータ経営研究所

そのため、シンクタンク研究員専門になりたいのか、シンクタンク機能を持つ会社で働きたいのかという違いで志望する会社も変わってくると思います。
また、シンクタンク業界で働くにしても、研究員として働きたいのか、コンサルタントとして働きたいのか、システム開発に携わりたいのかという三つの選択肢があります(一応、コーポレート部門という選択肢も)。特に、システム開発に関しては多くの場合自社案件以外が中心であり、研究員やコンサルタントとははっきり分かれている事が多いです。


非常にややこしい公共系のコンサルタントについて

これまでシンクタンク研究員は調査、分析業務を生業にしているとお話をしてきました。最後に、個人的に非常に困惑した公共系コンサルタントとの違いについて言及していきたいと思います。
あくまで私が出願した公共系コンサルタントは、調査、分析業務に従事していませんでした。主な仕事は自治体等の業務効率化や制度改善、ITシステム導入等が主だった案件でした。
調査、分析であったり、新制度の伴走型支援も行われているとは思いますが、それ以外の案件が多い印象です。
ラフなイメージとしては、「省庁や自治体そのものを支援するのが公共系コンサルタント」で、「省庁や自治体を通じて日本の課題を調査するのがシンクタンク研究員」です

今後の記事の内容について

今後は調べて感じたそれぞれのシンクタンク企業の違いや具体的な選考等について具体的に紹介する記事を出していこうと思います。
就活関連の予定記事としては
・内定者目線のシンクタンク企業の違い(社風、選考面)
・実際に私がした具体的な就活と対策について(反省点を含め)
・シンクタンク業界に向いている人、シンクタンク業界に向いている人
・就活の永遠の課題 自己分析について
(・キーエンス技術開発職でギリ内定をとれなかった男の原因分析)

研究生活(博士課程)としては
・博士課程の生活
・博士課程のメリデメ、進学すべきかどうか
・他大学院進学について

後は、個人的に趣味で行っている起業について
・趣味で起業という選択肢
・何故卒業一年前に学生起業をするのか
・経験としての起業のメリット、デメリット
等のいろいろな案があります。
(内容についての希望があれば是非お願いします)

最後にまとめとして当時の自分向けの就活のクイックQ&Aを書いて終わりにしようと思います。

私が就活を始めたときに感じた疑問に対するクイックQ&A

・シンクタンクとコンサルティングファームと何が違うのか?
 → 結構違うが同じ会社に同居している事が多い
・シンクタンク研究員呼ぶが、研究とは具体的に何をするのか?(大学と一緒?)
 → 大学の研究とは結構違う 調査・分析という方が近い
・どこでお金を稼いでいるんだろうか?
 → シンクタンク企業とシンクタンク業務というので少し異なる
   シンクタンク業務は主に受注調査
   シンクタンク企業は受注調査+コンサルティング(+システム開発)
・シンクタンク研究員は、政治や経済を学んだ人がなる仕事なの?
 → そういった背景の人もいるが、必ずしもそうではない(私は物理学)
   専門分野によっては理系が多い場合もある(産業関連等)




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