薬局の生き残り戦略①在宅薬局
辞めたいと言うには真逆の印象を受ける記事を書いてみることにする。これから薬局として生き残っていくにはどうすれば良いか、だ。
語弊が無いように伝えておくが、薬局としての生き残り戦略だ。薬剤師としての生き残り戦略とは違った角度となるのでご理解いただきたい。
さて、本題に入ることにする。こういう話は結論先行の方が読みやすいと思うので、先に3つ例示しておく。
1.在宅薬局
2.オンライン薬局
3.門前薬局(大人気門前or二診以上の門前)
私が思う生き残る薬局とは、上記いずれかを担う薬局である。それぞれを少しだけひも解いてみることにするが、今回は一つ目の在宅薬局について取り上げて記載する。
1.在宅薬局
こちらについては言わずもがな、である。超高齢社会と医療の体制を構築するインフラの要とも言えるのではないだろうか。医師が往診、処方箋の発行、薬剤師が届ける。シンプルではあるが、通院が困難な方にとっては必要不可欠な仕組みの一つだと感じている。
今年は、介護報酬(事業者が利用者に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われるサービス費用のこと)の改定が為された。
今回の改定率は+1.59%(うち0.98%を介護職員の処遇改善に、0.61%を各種サービスの基本報酬やほかの加算などに配分)となった。介護事業所のみならず、介護職員に対して処遇改善を行うことを求められる背景を踏まえると、需要の高さを感じざるを得ない。
また、超高齢化および要介護者の増加に伴い、在宅医療自体もそのニーズに合わせた体制構築が求められているのは明白である。
端的にまとめるとするならば、在宅医療自体の需要があまりにも高いのだ。また政策的にも力を入れているため、取り組む薬局にはそれに応じた報酬が得られる形となっている。まさにマーケットイン的な思考のビジネスモデルなのである。
しかし、それに相対するのが現場の疲弊である。賃金を強制的に吊り上げることで一見満足度向上に努めたような縮図にも思えるが、いくらシステマティックに事業体制を構築しようが、労働人口が減少していく中で、需要過多となり一人で抱える介護者の人数が多くなることで、そこで勤務する人の不満や疲弊が溜まるのは想像に難しくない。
ビジネス的な視点で見ると薬局としては、ニーズの高いマーケットインのビジネスモデルである反面、うまく業務体制が構築できなければ、疲弊を生み出す諸刃の剣とも言えるのではないか。
余談も余談だが、こうした在宅薬局というのは増加傾向にあり、経営側はそのニーズにいち早く目を付け、店舗展開・事業規模の拡大を目指し歩みを進められているように思う。しかし往々にして耳にするのが、企業の成長速度にスタッフの体制が追いついておらず、個々人が疲弊している状態となっているように感じる。
良好な勤務体制を構築しながら、参入企業の多い陣取り合戦のような状態の中このモデルで勝負していくのにも多少なりとも骨が折れる。生き残ることは出来るだろうが、その行く末に明るい未来は待っているのだろうか。
あぁ今日も薬剤師を辞めたい。
(②の記事はこちら)
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