君が大きくなる頃、僕は何になっているんだろう?
「足どうしちゃったの。怪我したの」
「いやあ、病気してしまいまして」
マンションでエレベーターに乗り合わせたおじいちゃんと会話する。
「病気なんだ。大変だねえ、治るんだろう?」と言われていささか返答に窮する。
「そうですねえ。まあ付き合っていく感じですかねえ」
「子供もまだ小さいのに」
と言われて、またまた返答に窮する。
おじいちゃんも言いながら困っているようである。「子供もまだ小さいのに大変だねえ」
「そうですねえ」
こう言ってはなんだが、仕事で付き合うような優秀な社会人よりも、近所のおじいちゃんおばあちゃんの方がよっぽど予測不能かつトリッキーなことをおっしゃる。
私はどう答えていいか困ってしまったが、一昔前はこういった話題も恐る恐るではなく会話にのぼって、地域のコミュニティの中で位置づけられていたのかもしれない。いや、もう位置付けられてるかもしれないけれど。
私は「今度こう聞かれたらこう答えよう」というストックを増やしていくだけで当意即妙には程遠かった。
うちの娘はもうすぐ5歳。君が大きくなる頃、僕は何になっているんだろう?普通のお父さんでいられる自信はないなあ。
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