見出し画像

M701/MR比較

ネタが尽きて倒れてました。
リクエストありがとうございます。
今回はミューとミューレクスの比較について。

最後までよろしくお願いします。

1・ミューシリーズについて

パイロットが展開していたペン先一体型万年筆、ミューシリーズの元祖、M701・通称ミューは1971年に発売された廉価帯万年筆だ。

当時市場を席巻していたクラシックなデザインのエリートと対照的に、先進的なデザインをしている。

                 シリーズ表

M701ミュー
ミューレクス各色
ミューストライプ
ミューストライプ白蝕刻
ミューレクスウォッチ
ミュー25

だが3500円という販売価格の割に鉄ペンであることや、社会人向けのエリートとの人気さにより衰退した。

そして後継機として発売されたミューレクス。
レクスはミューよりも改良された部分などがあり、77年の発売以降人気を博したようだ。

だがミューシリーズは長い歴史を持つエリートのよう成功はせず、短命だったと言える。

シリーズ廃番後、パイロット90周年の際1度μ90として復刻しているが定価12600円とかなり高額になっていたことから生産コストが伺える。
エリート95sのように通常商品としての復刻は厳しいと思われる。

2・外装

写真上がミューレクス。下がミューとなっている。

ミューは当時のショート軸万年筆に分類される形状であり、レクスは同年代のカスタムグランディなどと似たベスト型の長い軸となっている。

両者とも装飾などがなく無機質で近未来的な見た目だ。

キャップを外すとこのような見た目。
ミューは軸接続部からニブまで一体となっており、レクスは首軸にグリップが刻まれた後、段差がありニブも一体となっている。

この点ではレクスの方がデザインが凝っているため定価が5000円となっているのだろうか。

初見ではレクスの方が書き心地はしなりのありそうな形状に見えるがどちらも究極にガチニブ。

3・キャップ

・ミュー

ミューのキャップは曲線的な印象である。
対してレクスは角張った形状。
ミューの方が本体・キャップともに長いためポストはしづらく、レクスの方が取り回しは良い。

クリップはヤングレックスや同年代のキャップレス万年筆と似た曲線的な形状となっている。

・レクス

またレクスのクリップはバネ式となっており、LAMY2000を意識したようだと私は推測した。時代的にもミニマリズムが日本にも広まりつつあったのかもしれない。

4・嵌合方式

・ミュー

ミューの嵌合方式はインロー・バネカツラ方式に加え、軸に圧力で可動する凸金具がある。

こちらはエリートのようにスルスルと入っていくような感覚ではなく、ステンレスが擦れ合うためあまり心地の良いものでは無い。

またポストの度に軸が傷ついてしまう。

・レクス

対してレクスはインローではなく軸と首軸の接合部の凸金具のみとなっている。
こちらはカチッとした締め心地で形状こそ違うものの使い勝手は改善されている。

5・ニブ

本シリーズ最大の特徴、一体型のニブ。

・ミュー

ミューは軸から一体となっており、美しい流線型となっている。丸い軸から絞られ、ニブは綺麗に平らになっている。
ポスティングニブのように少し反る形状なため書き心地はかなり硬く、Fニブだとボールペンで書いているようにも思えるほど。
Mニブはペンポイントが丸く研がれているため少しタッチが柔らかくなる。
今までFニブ5本、Mニブ2本所有していたがどれも同社他製品同様フローは良かった。

また、筆記時の作用点はニブより指で握る位置に近いところに感じられる。

・レクス

特徴的なニブのレクス。ミニバーディなどと似た、首軸側に段差がつけられた形状となっている。
筆記時の作用点がミューと違いニブの段差の位置付近に感じられるため、ミューよりもタッチはほんの少し柔らかくなったように感じられ、ペン先のコントロールもしやすかった。

今までFニブを2本、Mニブを1本所有していたが
Fは同社他製品よりフローは渋く、Mは他製品と同等のフローだった。

6・カートリッジ・コンバーター

私はcon20等のビンテージ万年筆の専用のコンバーターを持ち合わせていないため、両方にcon40を装着してみた。
だがミューでは深刻なインク漏れが3本の個体で発生したため、ミューにはカートリッジを装着している。

またレクスの場合はcon40・カートリッジ共にインク漏れ等の障害は発生しなかった。

7・総合的使用感

総合的な使用感としては、レクスの方が実用として使いやすかった。ミューにより近代的な機能を搭載し、キャップポストやグリップ感等もバランスの良さが感じられた。

もし両者どちらを購入するか検討しているならば、実用の面ではレクスをおすすめする。

8・最後に

両者ともペン先一体型万年筆の代表的存在。
自分もずっと憧れていたペンだったが、使用してみると様々な利点欠点が見えてきた。
この記事が購入を迷っている方の参考になったら嬉しい。

最後までお読み頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?