こわい夜

ひどい風の夜だった。

怖くなるほどの強い風、雨戸のガタガタ鳴る音。

私は、猫と同じ部屋でクーラーをつけて、タオルケット1枚を被りながら寝ていた。


雨戸が時折キュウ、と鳴る音が、うちの猫が発する声と似ていて、雨戸が鳴る度に猫かと一瞬思ってしまう。


ギシギシ、ミシミシ、ゴウゴウ、ビュー!

ひんやりした部屋で音に埋もれる。


雷も苦手だ。

風も、音が大きくなれば同じだ。

急に大きくなり、家を揺らす。


私は、この歳にして未だに親に甘えている自覚があるのだが、このときは怖すぎて母親の布団に潜りに行こうか本気で悩んだ。


一人暮らしのとき、(私にとっては)とんでもない雷のときも、怖すぎて半泣きで母親に電話した。


この風の夜も、同じように考えて、ふと、親がいなくなったあとのことを考えた。

今がもし一人暮らしだったら、私は何を頼っただろう。
親がいなくなったあと、私の家族は兄だけになる。

なんだか耐えられる気がしない。

どうすることもできないけれど。

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