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スタートアップ企業の「戦略手法」を考える vol.2

前回のブログでは、マーケットインとプロダクトアウト、そして、ビジョンドリブンと積み上げ式の戦略手法についてお話しました。
その中で、具体的施策への落とし込みを行う上で、バックキャスティングとフォアキャスティングを組み合わせる必要がある点に触れました。今回のブログでは、これらを、もう少し掘り下げてみていきたいと思います。

バックキャスティング(将来像を予測)に必要な定義づけと緻密化のプロセス

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まずバックキャスティングですが、バックキャスティングとは未来を描き、そこから逆算する事を指します。「足元どう儲けるか」であれば、バックキャスティングは不要です。バックキャスティングは未来をチームメンバーや利害関係者と共有し、共に目指すために必要です。

共有し目指すために「具現化」が必要です。そこで、私たちは、さらに具体的に自動運転時代に必要な機能・サービスを想像し、下図のように定義しました。

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このように他のプレイヤーとの役割分担、我々が狙う領域もある程度決めています。未来の事なので、不明瞭・不明確な部分が出てくる可能性もありますが、関係者と議論を重ね具現化していくことが大切です。同時に必要なもの、獲得方法なども想定していくことで、緻密な計画、アクションにつながります。

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フォアキャスティング(足元の市場分析)と決定プロセス

つづいて、足元の事業展開の確実性を上げるために「フォアキャスティング」をしていきます。これは分析を元に今取るべきアクションを決めていきます。

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成功確率・期待値を高めるために、市場分析は不可欠です。
Pathfinderは、長(中)距離の領域にフォーカスしていますが、それは市場分析あってのことです。現状、長距離移動の領域では主な既存事業者はレンタカーや高速バスです。足元の課題が多く、新しいプレイヤーは殆どいません。一方で短距離の領域は、UBERをはじめ、スタートアップにとってレッドオーシャンです。課題が多いがスタートアップでのライバルがいないという領域にチャンスがあると判断したのです。
また、長距離の市場規模は、レンタカーが1兆円強の市場となっており、車両数も伸び続けています。

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そもそも長距離は自家用車、鉄道や航空がシェアが大きいのです。
しかし、自家用車は「所有から使用へ」のライフスタイル変化、鉄道はコロナの影響で、レンタカーには大きな追い風(※)となっています。
※コロナ過で一時的に停滞していますが、2021年初旬にはコロナ前の水準に回復した事業者もあります。

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このようなプロセスを得て、「長距離移動」×「レンタカー/カーシェア市場」を最初のターゲットに決めています。

フォア&バックの組み合わせで施策をステップ化する

バックキャスティングとフォアキャスティングを行ったら、次は「足元」と「未来」を繋いでいきます。我々は中間の段階を何パターンか想定しています。
※シナリオプランニングの要素も必要ですが、本記事では割愛しています。
下図はそのうちの一つです。データや自社技術、顧客基盤などが上手く繋がるように整理していきます。

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ここでは、山登りに例え、最終的に上る山を私達は「誰でも気兼ねなく移動する世界」と定義し、3つのステップでアプローチしていきます。

まず、Step1、B2Cモビリティサービスへ参入します。これにより既存事業者との提携、データ収集、アルゴリズム開発を進められます。

次にStep2、オペレーションに必要な裏導線を自社で手掛け、SaaS化し、古い既存産業各社のオペレーションへ深く浸透します。これによりメンテサイクルの管理、遠隔監視、所有権管理が可能になります。

Step3は、個人の行動予測が自動運転社会全体の予測にも大きく影響するため、個人の購買心理の予想モデルを確立します。同時期に移動サービスも長距離だけでなく、短距離へとカバーを広げ、データ収集を進めます。

自動運転というと、車両の話が中心に進んでいますが、こうしたステップを通じて「コストや時間を含む全体が最適化」されることが必須であると、考えをまとめています。

以上、スタートアップの戦略を考える一プロセスを紹介しました。次回は、事業への落とし込みに触れていきたいと思います。

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