しおり奥様ストーリー【1】
「いらっしゃい」「まいどあり」と客を呼び込む活気の良い声が聞こえる。
俺、中村孝之は商店街にいる。
客としてではない。この商店街で八百屋の店長として野菜と果物を売っている。
主な収入は飲食店に卸すのと、店頭の野菜を利用したスムージーである。
「グリーンスムージー下さい」
若い女性がスムージーを注文している。
スムージーは野菜中心のものと旬の果物を使ったものを販売している。
甘めの味付けで若い女性と意外に爺さん婆さんによく売れている。
売り場を小さくすることに反対していた妻も現在は新しい味を何にするか商品開発に勤しんでいる。売上不振で険悪だった夫婦仲も、これのおかげで良くなった。
それもこれも、あの娘のおかげである。
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