W.A.モーツァルト/ピアノ・ソナタ第18番 KV576 ニ長調

第1楽章 Allegro


最後のピアノ・ソナタである本作はモーツァルトが亡くなる2年前、33歳のときに書かれた。

この頃モーツァルトはより良い境遇を求め、プロイセン王に謁見することを目的としたドイツ旅行に出かけたが、特に収穫は無く、経済的に苦しい生活が続いた。

アインシュタインはこの曲を作曲技法の観点から

「偉大な先駆者バッハへの感謝としての創造物」

と述べたという。


背景には、前述のドイツ旅行の道中でモーツァルトが聖トーマス教会に立ち寄り、音楽監督を務めていた亡きバッハへの思いを新たにしたというエピソードが関係しているのだろう。

この頃には幼いころの富も名声も無くなっていたが、この第1楽章はそんなことを想像させない生き生きとした快活さや子どものような純粋さ、ひらめきの連続が心地よい。


2018.11.09 第31回荻窪音楽祭/茨城音楽文化振興会コンサート「学生演奏家による室内楽の夕べ」より(一部加筆)

#ピアノ #クラシック #モーツァルト
#音楽 #音大生 #プログラムノート

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?