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メトネル/6つのおとぎ話 Op.51より 第3曲 イ長調

メトネル(1880-1951)はロシアの作曲家・ピアニストである。
ラフマニノフと仲が良く、互いを高く評価し、尊敬し合っていた。

当時ロシアは革命によって社会主義国家となり、作曲家たちは次々に他国へ亡命した。
メトネルもその1人で、40歳過ぎにドイツに渡り、その後各地を経てイギリスで成功を収め、そのまま定住した。

余談ではあるが「ニコライ・メトネル」という星があり、これは2003年に彼にちなんで名付けられた。

音楽史の時代区分においては近代に属するメトネルだが、音楽はドイツロマン派を引き継ぐ叙情性とストーリー性が特徴で、《おとぎ話》のタイトルを持つ作品集は10を超える。

作品51の第3曲は1928年頃に書かれたとされている。
導入は優しく柔らかな色合いに始まり、暖炉の傍でおばあさんに物語を読み聞かせてもらうかのようである。
物語の中で、主人公は様々な場所や出来事を巡り、最後は本がそっと閉じられるように終わる。

まさしくメルヘンといえる作品であり、チャイコフスキーの《くるみ割り人形》に代表されるようなロシア・ロマンの一端を楽しめる。

2021.11.7 第34回荻窪音楽祭/茨城音楽文化振興会コンサート「学生演奏家による室内楽の夕べ」より(一部加筆・修正)

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