もしも先輩と後輩がお互いにあだ名をつけたら

源田さん：入社8年目の先輩（後輩たちに陰で「ゲンゴロウ」と呼ばれてる）
丸井くん：入社1年目の後輩

源田：オマエさぁ、いつも正論っぽいこと言うだろ？

丸井：「正論っぽい」じゃなくて「正論」ですけどね。

源田：そういうとこ。

丸井：何がすか？

源田：そういう理屈っぽい指摘がウザいの。

丸井：ゲンゴロウさんだけですよ、そう感じてるのは。

源田：いやいや、オマエ、うちらの間でさ・・・

丸井：なんすか？

源田：変なあだ名ついてるよ。

丸井：・・・どんな？

源田：言わない。

丸井：そこまで言ったら教えてくださいよ。

源田：やだよ。

丸井：言ってください。

源田：やだって。

丸井：一瞬のお願いです！

源田：「一生のお願い」な。

丸井：何文字ですか？

源田：何が？

丸井：あだ名。

源田：ひらがなで５文字。

丸井：最初の２文字教えてください。

源田：やだ。

丸井：じゃあせめて最初の３文字。

源田：増えんなよ！

丸井：教えてくれるまでボケ倒しますよ。

源田：もういい・・・教えるわ。

丸井：なんですか？

源田：正露丸（せいろがん）だよ。

丸井：はっ？

源田：うちら陰でオマエのこと「正露丸」って呼んでるの。

丸井：・・・ちょっと意味がわからないんですけど。

源田：正論っぽいことガンガン言ってくるから。

丸井：・・・

源田：あっ、正露丸の「丸」は丸井の「丸」ね。

丸井：・・・

源田：オレが考えたんだ。

丸井：ゲンゴロウさんが・・・

源田：源田を「ゲンゴロウ」って呼ぶよりセンスあるだろ？

丸井：丸井なのに正露丸だなんて・・・

源田：なんだよ？

丸井：・・・

源田：なんで黙ってんだよ？

丸井：・・・

源田：おい・・・なんか言えよ。

丸井：二酸化マンガン。

源田：なんか言えばいいわけじゃねーから！

丸井：なんか言えって言ったくせに。

源田：・・・おまえホントやべーよな。

丸井：じゃあ言いたかったこと言っていいすか？

源田：言えよ。

丸井：丸井なのに正露丸だと・・・

源田：？

丸井：あだ名が名前より長いじゃないすか！！！

源田：うるせぇなぁ、あだ名なんてインパクト重視だろ。

丸井：いやいやさっき「源田よりゲンゴロウのほうが長い！」って怒ってたじゃないすか！！！！

源田：ガンガン叫ぶなって・・・頭イタくなってくるから。

丸井：ぼく正露丸なんで飲みますか！！！

源田：やけになるなよ、あと腹は痛くない。

丸井：くぅぅぅ、あだ名が正露丸・・・ひどいすよ！

源田：「残業はタイパが悪い」とか正論ぽいことばっか言うからだよ。

丸井：パオ〜〜ン！

源田：タイのパオーンはもういいから！

丸井：ゲンゴロウさんとは、一生仲良くなれなそうですね。

源田：まあ、オレとオマエはよく似てるからな。

丸井：はっ？いっしょにしないでください。

源田：オマエ、昔のオレにそっくりなんだよ。

丸井：えっ？

源田；オレも新人時代はな・・・

つづく

前回の源田さんと丸井くん