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ハロウィン魔女達が登場する「墓の魚」という楽団について

■■ハロウィンを歌う楽団がある
ハロウィンといえば、大昔、ティム・バートンのミュージカル映画「ナイトメア・ビフォアー・クリスマス」が有名になったものですが、映画音楽というのは、ディズニー映画にしても、「アメリ」みたいなフランス映画にしても、生のオーケストラで演奏したり、普通のポップスよりも、ちょっと崩した演奏をしていたり、お洒落なものですよね。

そんなミュージカル映画の様な、崩したお洒落で奇妙な音楽を作曲し、豪華な生オーケストラで演奏する楽団があります。
それが「スペイン・墓の魚・室内管弦楽団」(通称「墓の魚」)です。

彼らのテーマは、
この世の虚しさ(ヴァニタス)
墓場の哲学(メメントモリ)
キリスト教的な死生観・・。
えっ、こいつら本当に日本で受けているの?(笑)
っていう様なマニアックなテーマです。
ご安心下さい。
実際に彼らは受けていません(笑)
現代でミサ曲、[葬儀の歌]を作曲する様な彼らが受ける訳が無いのです(笑)

■■南ヨーロッパの
全ての芸術の根底にあるキリスト教哲学だけど・・・

しかも、キリスト教と言っても、
人々の幸福を願う
とか、
クリスマスソングを歌う
とか、
ではなくて、
我々が生きている[苦難の道のり]の中で出会う[キリストが歩いた処刑台に続く道]の幻想
石を投げる罪を繰り返す我々の騒乱への懺悔
悲しみの中に、滑稽な喜劇を見つけるラテン的なトラジ・コメディ
海岸で腐り往く魚の骸に見るこの世の厳格さと、社会の虚しさ・・
など、
これらはポルトガル文学や、スペイン詩の中ではありふれたテーマではあるのですが、どう考えてもポップな現代日本人に受けるテーマではありません。
これはポルトガルやスペインの芸術ばかり読んで、それらを愛して育った私(作曲家)の宿痾(病の如く憑りついて離れない性質)によるもので(笑)、
よく言えば「墓の魚」の個性なのですが、いずれにしてもポルトガル文学や、あるいはイタリアの古典などを読んでいる南欧文学ファンにしか、すんなり受け入れる事が難しい様です。


■■しかし、そんな作品になぜか魔女達が登場する
しかし、そんな「墓の魚」の作品の中で、唯一、わかりやすく、陽気な部分?が、作品の各所に登場する魔女達です。

そう。魔女は「墓の魚」神話の中で、
キリスト教社会の追放者としての象徴、
男性社会に皮肉を投げ掛ける者としての象徴、
として、たびたび登場する道化師なのです。

彼女達は「墓の魚」の作品の中で、
教会の悪口を言ったり、
キリストと対決したり、
人間の孤独というものに向き合ったり、
墓を掘り返したり、
人間社会に疑問を投げ掛ける哲学的な行動をします。

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■■魔女だから何でもあり、常識外れに自由に歌う
音楽に関しての話をすると、「墓の魚」の音楽は相当に変です。
辺だから、一般に浸透しない・・というのもあります。

そもそも冒頭にあげた「ナイトメア・ビフォアー・クリスマス」も、映画としては愛されていますが、曲そのものが日本で沢山歌われていて、同種の曲が作られているか?というと、そんな事はありません。
この辺にジャズや、オペラを苦手とする日本人の性格が表れていて、旋律を時に崩して、喋る様に自由に歌うミュージカルや、洋画の音楽というのは、日本ではそこまで浸透しないのです。

洋画やオペラの様な曲を作曲する「墓の魚」が一般受けしない理由はここにもありますが、
しかし、洋画音楽(あるいはミュージカル曲)を単品で聴いてみると、素晴らしくわかりやすいテーマがそこにあり、崩してあるからこそ飽きない魅力を見つけられるのです。

ミュージカルの中でも、マニアックな曲は、わざと歌い手が伴奏とずらして、旋律を崩して歌う[ズレ]を楽しむ作品が沢山あります(そういった技法はオペラにも見つける事が出来る)。
日本の音楽は、音楽から感情が飛び出す事を嫌う傾向がありますが(アメリカでも近代になるにつれて、音楽の感情が抑えられる様になってきた傾向があります)、そのせいで我々は多くの音楽作品や、音楽表現の楽しみを見逃しているのではないでしょうか。

その[ズレ]を「おかしい」と思うのではなく、その「ズレ」こそが音楽から飛び出た[感情]なのだ、と、楽しむスタイルは、必ず貴方に新しい音楽畑の開拓をさせてくれる事でしょう。
「墓の魚」は、シャンソン、オペラ、ファド、タンゴ、フラメンコなどの古いラテン音楽の持つ、そういった[ズレ]を取り入れて、魔女独特の[ズレ]た世界を表現します。


■■「墓の魚」という「ズレ」た「魔女の音楽」
時はハロウィン。
「墓の魚」にはハロウィンにぴったりの魔女達の陽気な[ズレ]た歌が沢山あります。これを機に、妖しい魔女達の狂乱の音楽を聴いてみていただけたら嬉しいです。


何しろ「墓の魚」の目的は、日本人に南ヨーロッパの様な文学、詩、哲学を浸透させる事なのですから、「墓の魚」が流行した時、日本におけるクラシックや、フラメンコや、タンゴ、文学詩の受け止められ方が変わってくる筈です!!(笑)
これはラテン文学の革命であり、新しいクラシックの形なのだと思っています(笑)

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→YouTube音楽動画
https://www.youtube.com/user/pescado666cristo/videos

→墓の魚・公式サイト
http://site-1295095-2445-4622.mystrikingly.com/
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自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。