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来客時や家の外からの音に吠えるのはなぜ? -第4回セミナーまとめ-

みなさんこんにちは!PETWELLclinic広報担当です。

今回は3月9日(水)にウェビナー形式で行われた第4回無料セミナー『来客時や家の外からの音に吠えるのはなぜ?』のサマリーをご報告します。講師は人と動物の関係学を専門にされている鹿野正顕先生です。


インターホンに対する「ほえ」には
2つの「学習」が関係している

犬のほえに困っているオーナーは非常に多く、なかでも「来客時やインターホンが鳴るとほえる」行動に関して多くの方が困っています。ではなぜインターホンの音に反応するのでしょうか。それには2つの「学習」が関係しているそうです。

①古典的条件付け
多くの場合、インターホンが鳴ると来客があります。すると縄張り意識の強い犬は来客者に対して自然に警戒し、縄張りを守ろうとしてほえます。それが繰り返されると「古典的条件付け」が行われ、インターホンの音を聞くだけで、無意識にほえるようになるようです。この行動は人間が「梅干しを見るとつばが出る」「熱いものに触れたら手を引っ込める」のと同じように、無意識の行動であるため、練習などで修正するのは難しいようです。

②負の強化
たとえば飼い主が留守中の場合、来客はインターホンを鳴らし、(ここで犬はほえます)留守だとわかると帰っていきます。この来客の行動に対して、犬は「自分がほえたことで来客がいなくなった」と認識し学習するようです。「自分の行動によって、不快な状況が改善された」。このように得た学習のことを「負の強化」といい、とても強く働く学習だそうです。

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「古典的条件づけ」と「負の強化」。この2つの学習は、日本の住環境に於いては飼い主の知らないところでどんどん進行してゆき、気づいたときには対処が難しくなってしまうようです…。

ではどのように対処していけばよいのでしょうか。

おやつを使った学習の上書きと
運動不足の解消で「ほえ」を解決


対処法その1/練習編
インターホンの音とうれしい感情を結びつけるために家族で練習する
インターホンが鳴っても不安や警戒の感情を抱かせないために、インターホンがなると必ずおやつをあげ、喜びの感情で学習の上書きをする。ポイントは繰り返し練習すること。

●インターホンを鳴らす人と家の中でおやつをあげる人で役割分担をする。
●1日に10回程度練習する。
●練習で使うおやつは普段は与えない特別なものにする。
●1回に与えるおやつは少量にする(量によって満足度は変わらないため)。
●インターホンの音が変更可能なら新しい音で練習する。

対処法その2/実践編
実際にお客さんが来た場合は帰るまでおやつを与え続ける

実際の来客があった場合は、来客が帰るまでは不安や警戒の気持ちが続く。
なのでインターホンが鳴ったときに一時的におやつをあげるのではなく、食べるのに時間がかかるようなおやつや、おやつを入れた知育玩具を与えてから来客の対応をする。

あとはこの「練習」と「実践」の繰り返し。非常に根気がいる作業ですが、毎日やることが重要だそうです。

その他の対処法
一緒に遊ぶことで運動不足を解消してほえを減らす

「ほえ」に困っている飼い主は犬と「遊ぶ」時間が少なく、また「ほえ」に関する問題は「散歩」の時間には関連性がないことがわかってきています。犬は、「散歩」ではあまり運動不足が解消されないようです…。だからもし30分散歩するのであれば、5分かけて公園に行き、20分公園で遊び、5分かけて帰るほうが運動不足の解消=「ほえ」の解消につながるそう。では犬にとって「遊び」とは何なのでしょう。それは「狩り」の模倣、だそうです。

ロープを使った具体的なあそび方
①ロープが逃げているような動きで「獲物を追わせる」
②ロープをかじらせる=「獲物を捕まえさせる」
③小刻みに振り、引っ張りっこをして「息の根を止めさせる」
④しばらくしたらロープを渡し「獲物を食べさせる」
※取り上げないこと。
⑤続行するときは、噛んでいる方と逆の端を持ち再び引っ張りっこを開始。
※ 噛んでいる方を引っ張ると取り上げられると思ってしまう。
⑥ロープの動きを止めると自分から離す。

「ほえ」、特に来客時の「ほえ」に関しては、多くの飼い主が抱える悩みですが、それ解消するには、とても根気と時間がかかるようです。犬の行動学に基づいた適切な対処法(練習と実践)を繰り返し、じっくり腰を据えて臨むことが大事ですね。

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