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病気コラムvol.2《身近に潜むわんちゃん・ねこちゃんの危険な中毒》

わんちゃん・ねこちゃんが、何かを誤って口にしてしまい、
ヒヤリとした経験をもつ飼い主さんも少なくはないはずです。
今回は、食べてしまうと“中毒症状”を及ぼす
身近なモノについてお話します。


①  タマネギ中毒

タマネギの他にもネギの仲間である
長ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょうも危険です。
生での摂取はもちろん、加熱しても有害成分は消えません。
これらが含まれているハンバーグやスープなどの食べ物にも
注意が必要です!

<タマネギを食べるとどうなるの?>

タマネギ中毒では、血液(赤血球)が壊されるため、
溶血性の“貧血”が起こります。

発症までに、半日〜数日の期間があり、
摂取量や動物の個体差もあるため
「昨日は元気だった」「食べたのは少しだけだから…」は危険です。

わんちゃんより、ねこちゃんの方が、
タマネギ中毒に敏感と言われているので、更に注意してください。

<飼い主さんが分かる主な症状>

・元気食欲がない
・白目や皮膚が黄色い
・いつもより濃い色の尿
・歯茎や舌の血色が悪い


② チョコレート中毒

チョコレート菓子といっても“カカオ”に含まれる“テオブロミン”という成分が有害になるため、ココアにも注意が必要です。
ミルクチョコレートよりも、ダークチョコレートの方が、
カカオの量は多く含まれます。
最近では、カカオ含有量が高い製品も人気なので、
少量の摂取であっても、カカオ含有量が高くなるほど危険です。

<チョコレートを食べるとどうなるの?>

わんちゃん・ねこちゃんは、カカオに含まれるテオブロミンを
体内で分解する能力が低いため、
中毒を引き起こし、心臓や神経に影響を与えます。
摂取して、数時間〜半日は注意が必要です。

<飼い主さんが分かる主な症状>

・ふらつく
・震える、痙攣
・落ち着かない、興奮する
・呼吸が荒い
・下痢や嘔吐
・いつもより水をたくさん飲む


③  キシリトール中毒

キシリトールは、ガムや歯磨き粉に含まれています。
また、イチゴ、ナス、レタスなどの一部の野菜にも含まれています。
5㎏のわんちゃんが、キシリトールガム1個を食べると危険です。
先ほどの野菜に関しては、
相当な量を食べないと中毒にはなりませんが、注意が必要です。

<キシリトールを食べるとどうなるの?>

キシリトールは、血糖値を下げる役割のインスリンに影響を与えるため、
低血糖”の状態に陥ります。また、肝臓にも障害を与えます。
摂取して、早くて数十分とかなり短時間で、発症します。

<飼い主さんが分かる主な症状>

・ふらつく
・ぐったりする
・痙攣
・嘔吐
・白目や皮膚が黄色い


④ ぶどう、レーズン中毒

ぶどうよりレーズンの方が、
少量摂取で中毒になりやすいと言われています。
また、レーズンパンやぶどうジュースなどの加工品も注意が必要です。

<ぶどうを食べるとどうなるの?>

ぶどう中毒の原因となる成分は、まだ特定されていませんが、
“急性腎不全”を起こします。
発症までは、数時間と短いです。

<飼い主さんが分かる主な症状>

・元気食欲がない
・嘔吐、下痢
・いつもより水をたくさん飲む
・尿の出が悪い


⑤  アセトアミノフェン中毒

アセトアミノフェンは、
人間の“風邪薬”“解熱鎮痛剤”に含まれている薬剤成分です。
アセトアミノフェンだけでなく、
アスピリンやイブプロフェンなども同じ仲間になります。

特にねこちゃんは、この薬を体内で代謝できないため、とても危険です。
そのため、ねこちゃんがくしゃみや鼻水があるからといって、
絶対に人間の風邪薬を与えてはいけません。
5kg以内のねこちゃんが、この薬を1錠飲んでしまうと、致死量となります。

<人間の風邪薬を飲むとどうなるの?>

アセトアミノフェンは、
メトヘモグロビン血症と、溶血性の貧血を引き起こします。
メトヘモグロビンは、
酸化されたヘモグロビンのことで、酸素の運搬ができません。
そのため“低酸素症”に陥ります。

発症は、数十分とかなり短時間のため、
早急に対応しなくてはなりません。

<飼い主さんが分かる主な症状>

・呼吸が苦しそう
・気持ち悪そう、嘔吐
・顔が浮腫んでいる
・よだれが出ている
・食欲不振



わんちゃん、ねこちゃんにとって、
人間の食べ物は、美味しく魅力的なものなので、とても欲しくなります。

どうにかして食べようとする場合には、
絶対に入らせないエリアを作ったり、手の届かない棚の中に入れたりして、誤食を防ぎましょう!

そして、もし食べてはいけないものを口にしてしまったら、
すぐに動物病院へ相談しましょう。
迅速に処置すれば、重症化を防ぐことが出来るかもしれません。

今回、取り上げたもの以外にも、
観葉植物やアボカド、タバコ、保冷剤、乾燥剤、
ゴキブリ駆虫薬、除草剤など、
他にも口にすると危険なものはたくさんあります。

身近な危険を知っていれば、あらかじめ防ぐことができるので、
これを機にわんちゃん、ねこちゃんの身の回りを確認してみてくださいね。


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