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フランスのマジックショーでの思いがけない体験

はじめに

先週末、アフリカ系フランス人の友達夫婦と一緒に

某フランス地方都市のカジノバーで行われた、

ディナー付き「マジックショー」に行ってきました。

普段とは違う楽しい時間を友達夫婦と一緒に過ごせて、とっても楽しかったのですが、

ちょと、モヤっとした出来事があったので、忘れないうちに書き留めておきたいと思います。 

マジシャンの意味不明な言動

予約していた席に案内され、すぐにアペリティフ(食前酒)を注文。

おしゃべりしながら食前酒を楽しんでいる間、

マジシャンは、各テーブルを回ってハンカチやトランプを使った手品を披露していました。 

そして私たちのテーブルに来た時、

マジシャン:「隣の席の人達に僕がパフォーマンスをしてたの、君達見てたよね?」

私達:「はい 」

マジシャン:「だったらもう、このテーブルで私が君達に披露する必要ないよね?」 

と、そう、冗談っぽくではなく結構、真面目な顔で言ってきたのです。

「お前に食わせるタンメンはねぇ 」

いや、

「お前に見せるマジックはねぇ 」とかなんかのネタですか?

って私は思いましたよ。

これが最初に感じた違和感です。 

とはいえ、彼は隣のテーブルで披露していたマジックと同じネタをしてくれました。

ハンカチを見せながら、それを手の中で消したり、手から出したりする驚くべき技術でした。

ただ、そのときに、彼は赤いハンカチを見せながら、「MADE IN CHINA」と言って、私の顔を見て嫌な感じのニヤニヤ。 

彼の中では面白いと思われる、中国人のジョークを早口で言っていたみたいですが、

あまりにも早口過ぎ、使っているボキャブラリーも言い回しもフランス語初級レベルの私には理解ができませんでした。

が、しかし

夫や友人夫妻の私とマジシャンを交互に見る表情で何となくどういうジョークを言ったのか理解し、不快感を覚えました。

こちらでは、アジア人=中国人という認識を持つ人がいるんですよねぇ。 

友達夫婦と一緒だったし、その場の雰囲気を壊したくなかったため、その場では彼のジョークに対して特別反応しませんでした。

その後も少しず彼の言動に違和感を感じるようになりました。

彼は舞台パフォーマンスをするため、テーブル席で個人的な手品をしながら、観客の中から、舞台に呼ぶ人を探していたと思います。

全てのテーブルから誰かひとりが舞台に呼ばれて彼のショーに参加していましたが、私たちのテーブルからは誰ひとり呼ばれることがありませんでした。

他のテーブルの人々では、何回も同じ人を呼んだり、舞台に立つのが嫌だって言っている人にも、何度も舞台に来るように参加を促したりしていたように思います。

因みに、観客は私達のテーブル以外、全員白人。

彼には私たちのテーブルが見えてなかったように思われます。

パフォーマンスが終わった後も、彼の息子でアシスタントを務めていた人物が、私たちのテーブルにやってきて、色々な話をしてくれました。

その時の、彼のこちらを見ている視線が私はとても気になったのです。

息子さんを心配していたのでしょうか? 

何でしょう? 

上手く文字化できないんですけど、違和感が残るというか…。。

友人夫婦と別れて、家に帰ってきました。

するとすぐに

夫が、「あのマジシャン、思いたくはないけど、レイシストかもしれないね」

私は、「私もそう思った。でも被害妄想かなとか色々考えていたけど、やっぱり違和感があった」と答えて

その日は、もう夜中の3時過ぎで、疲れていたのでその話をそれ以上することはなく、シャワーを浴びて寝ました。

おわりに

残念ながら、「人種差別」はごく稀に存在します。

こちらでは、人や地域によって異なりますが、アジア人=中国人という誤った認識を持つ人が結構います。

田舎に行けば行くほど、東洋人が珍しいため、「じーっと」見られたりすることもあります。

ただ、これらの行為は、彼らが無知であるために起こっていることが多いのです。

私たちは、人種差別を否定し、対話や相互理解を深めていくことが必要です。

やっかいなのは、見かけから、あからさまな人種差別的なジョークを言う人たちです。

実際に南仏でひとりで街を散策していた時、経験しました。

そのような場面に遭遇した場合、言い返すことができなくても、自分が被害者であることを意識し、自分の尊厳を守ることが重要です。

ただ、今回の経験で残念だったのは、フランス国内全土を巡業して多様な人々の前でパフォーマンスをしているであろう人が、このような言動をしてしまったことです。

一方で、カジノで働くスタッフの方々の気配りやサービスが最高であったため、このマジシャンの言動が余計に目立ち、気になってしまいました。

彼が意図的に嫌がらせをしているわけではない可能性があることも理解していますが、相手の立場や状況に応じて、適切な対処法を選択することが大切であると私は感じました。 


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