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花だんから感じたのは春じゃなくて、人の気配だった。そして公園の花だんについて考える。

初めての場所に歩いて行ったりするのは新鮮だ。街角にちょっとした花だんを見つけて、春を感じる。あ、ちがう、その花だんから感じたのは春じゃなくて、人の気配だ。そこで、土を耕し、花を植えて、水や肥料をやり、花殻をつみ、また季節になったら植え替える、人の気配。

花だんの存在意義のひとつは、花だんを通してそこに人の気配がありつづけることじゃないだろうか。人の余韻が残る。温かさの気配。

これから公園になる場所、草の野原に仮設ベンチがぽつんとひとつあるだけのような場所にも、きれいな花だんがあって、その瞬間に誰もいなくても、ここが大切にされているんだな〜ということが伝わってくる。

反対に、枯れ果て荒れてしまった花だんは、そもそもないよりも寂れ感が5倍増しになる。愛を失った無惨な姿、残酷な痕跡。でもそこに、また新しい花が植えられたりすると、その生き返った姿に、たまに通りかかるだけのただの通行人なのに、「よかったね」なんて、妙にほっとしたりもする。

私たちが活動してるつくし公園でも、花だんを作ってみようかという話があった。事前に賛否両論いろんな意見を聞いた上で、まずは試しに小さく始めてみようということになった。

公園の花だんの目的って何?

改めて公園の花だんについて考えてみる。公園に花だんがあって良い効果といえば、やっぱり人の気配なんじゃないか。安心感。明るさ。誰かがいつも来てますよ、見てますよ感。

そしてもちろん、季節を感じたり、公園利用者(遊ぶ子どももそうだし、付き添いで来た大人も)や、通りすがりの人の目を楽しませることもあるでしょう。

とはいえ、毎日せっせと水やりしに来れるほど、時間とパワーが溢れている訳でもないので、ある程度ほったらかしにしても成り立つような花だんが、少なくともこの公園にはふさわしいんじゃないかと思う。

ほったらかし系ガーデニング

公園の花だんは、家の庭とは明らかに目的やニーズ?が違う。毎朝水やりすることすら難しい。当番なんて組んだ日には、みんな義務感に苛まれて嫌になってもう金輪際関わりたくない〜なんてモードになりかねない。それじゃ本末転倒どころか、自爆もいいとこである。

それぞれ培った園芸技術や情熱ですごい公園花だんをやっている諸先輩がたもいる。そして続けることは、何よりも素晴らしい。けれど、私たちのような素人がつくるはじめての公園花だんは、基本ほったらかし+気づいた人が水やりするくらいがちょうどいいのではないか。

そしてちょっとくらい踏まれても差し支えなく、ほどよく季節が感じられて、摘んで遊べたりするのもいい。なんなら小腹が空いたら食べてもいい。やっかいな雑草が生えにくいとか、虫との相性も。いろんな虫が集まってきて虫取り博士たちが喜んだりする姿もいいし、でもやっかいな蚊とか毛虫は来ないでほしいな、とか。ちょっと考えるだけでも奥深げ。

一年草(1シーズンだけ楽しめる草花)は華やかなものが多いけれど、季節ごとの植え替えやメンテナンスも必要なので、多年草(何年も生きる草花)や、宿根草(地上だけ枯れても根が生きていて、季節になるとまた地上に出てくる草花)を育てつつ、一年草を部分的に交えたりして、楽しんでいけるといいのかな。

「ナチュラリスティックガーデン」というオシャレな庭づくりの考え方があるそうで、これは参考になりそう。だけど、実際どの季節になんの植物をどう植えたらいいのか、初心者にはさっぱりわからない。

考えているときが一番楽しくて、それは旅と同じかもね。計画段階が夢最大楽しさMAXの法則。きっと現実はホームセンターか農家さん直売所に苗を買いに行ったら安売りでぱっと見キレイな花を、その性質なんかもよくよく考えずに買ってしまうことだろう。いやいや、そうじゃない、ん、でもそれでもいい。なんだって成功。なんだって学び。

こういう公園ガーデンづくりは、きっといろんな知恵がたくさんあるはず。一般的な園芸とかガーデニングとはちょっと違うから、特殊だけど必ず求めている人はいる世界。これまでたくさんの人がしてきた経験や、培った知恵を上手に共有していけたら、助かる人いっぱいいるだろうなあ。教えてもらえたり、参考情報が充実していれば、やってみようと思う人もきっと増えて、荒れた植え込みが減っていくのもいいし、みんなで役に立てていけたらいい。

ということで、だれか、春に植えたり、タネを撒いたりして楽しめる、おすすめのほったらかしOK系の植物があれば教えてください。(他力本願)

みんなでゆっくり育てるから面白い

何年もかけて、みんなでゆっくり緑育てを楽しむことって、新しい公園の遊び方を発見した気分。大人はもちろん、子どももきっと楽しい。ん、私にとって新しいと感じるだけで、昔からやってる人は結構いる。だから、誰にでも開かれているグランドメニューな遊びじゃなくて、常連さんだけが楽しめる裏メニュー的な遊びか。

そしてこういうのは、ひとりじゃなくて、みんなでやるから、余計に楽しい。自分の好みで自分だけがやる自分の家のガーデニングとはまた違う、みんなのリビング、みんなの庭。知恵を出し合って、デザインして、ゆっくり育てて、その過程をまるごとみんなでオープンに楽しむ。


例えば、お花を買うお金まで持ち出しだと、そこまでやろうと思えないけど、公園愛護会でもらえる報奨金を使って、花や必要な道具を買って、楽しく遊ぶ。これって楽しい。花や球根をもらえる自治体もある。そしてここで大事なのは、誰もが参加できるようにオープンにすることだと思う。

ボランティアは、義務じゃ続かない。楽しくないと続かない。
そして誰もが気軽にアクセスできること。ゆるく。それが大事なんじゃないかと私は思う。

ボランティア活動を続けている人のやりがいとか調べた人がいたら教えてほしいんだけど、続けている人は、地域や社会のためにとか、誰かから感謝されるからとか、そういう優等生的なモチベーションは、あったところで一番じゃないだろう。楽しいからとか、自分がやりたい気持ちで関わっているんじゃないかなと思う。来年からのみんなの公園愛護会アンケートでは、そのあたり掘り下げていきたいなあ。

ちなみに私が公園愛護会を続けられそうなのは、
(1)友だちと一緒にやるのが楽しいから
(2)公園の新しい遊び方の開発が面白い
(3)市から公認で活動費ももらっていろいろ実験できるスタンスがいい
くらいかな〜。ついでに、結果それが役に立ってるなら、なお良し!って感じです。


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