求職者様の転職支援を行うキャリアアドバイザーに話を聞いたら、障害者採用の成功のカギが見えてきた
弊社の人材紹介において、企業様と直接やりとりさせていただいているのは法人営業(リクルーティングアドバイザー)ですが、転職活動を行う求職者様の対応を行っているのは、キャリアアドバイザーと呼ばれる社員です。
企業の担当者様が障害者採用を成功させるためには、求職者様と最も近い立場で日々転職のご支援をしている「キャリアアドバイザー」の本音を聞くことがカギになるかもしれません!ということで、普段なかなか聞くことのない「キャリアアドバイザーから見た障害者採用」について、インタビューしてきました。
・キャリアアドバイザーから見た障害者採用の現状とは?
宮嶋:まず、企業様側が求める業務レベルやスキル感が高まってきていると感じています。通常の中途採用と同様にスキル・能力をしっかりと求める傾向が高まっており、障害者採用枠と一般枠の採用との違いが良い意味で少なくなってきている印象です。
鈴木:障害者採用枠でも選択できるキャリアが増えてきている・広がっていることはとても良いことだと思っています。一方、現在求職者様で多いのは、就業経験が豊富にある方よりも、その前の就労準備段階にいらっしゃる方です。
企業様は今後障害者採用を行うにあたり、一般枠と同じ水準の経験を求める「キャリア枠」と、入社後に就業経験を積んでいただく「育成枠」の2軸で採用を進めていけると、中長期的な障害者雇用の成功につながるのではと思っています。
宮嶋:そうですね。育成枠に関しては、ご本人様の強みや特長を考慮して一緒にキャリアを考えていってくださるととても嬉しいです。とはいえ企業様の事情としては、例えばメール室の庶務業務などはすでに定員が埋まっているケースも多いですよね。そうなると、PCスキルの向上など、求職者様も自己成長を促進する努力が求められるかもしれません。
・リモートワークに対するニーズの高まり、どう考える?
宮嶋:障害者雇用の現状としては、コロナ禍でフルリモートでのはたらき方が広まったことも大きなトピックです。これにより、住む場所を問わずはたらける求人が増え、地方在住の求職者様の雇用が広がったのは大変良かったです。
一方でコロナが終息した現在、リモートワークできる求人はどんどん少なくなってしまっています。求職者様側のニーズはまだまだある一方、求人はほとんどない、という状況です。
鈴木:求職者様からリモートワークの希望をいただいたとき、キャリアアドバイザーとしては「リモートワークではたらくことがかえってご負担にならないかどうか」というところを慎重に考えるようにしています。
例えば、「出社の場合、外部の音や視覚情報の多さが負担になってしまう」という方にはリモートワークは有効ですが、まったくリモートワークをしたことがない場合、ご入社後にかえって大変な思いをされてしまう可能性もあります。(相手の顔が見えないため、いつ相談したらいいか分からずご自身で抱え込んでしまったり・・・。)そのため、カウンセリング時に「自宅で一人ではたらく」ということを具体的にイメージできているか、問題ないかを一緒に確認するようにしています。
宮嶋:転職活動の終了がゴールだ、という風に考えがちだからこそ、入社後の姿をイメージできるように対話をすることで、結果的に入社後の早期離職を防ぐことができますよね。
・求職者様へ紹介したくなる求人って、どんな求人?
鈴木:求人票の情報量の多さはかなり大きなポイントです。求職者様にとっては、求人票の情報がすべてです。求人票の内容を頼りに応募可否を判断する求職者様の立場に立つと、その情報が充実していればいるほど安心感や理解促進につながり、応募率が上がるというのはご理解いただけるかなと思います。
宮嶋:すべて鈴木さんのおっしゃる通りですね。加えて、情報のボリュームももちろんですが、正確性もとても大事ですね。例えば求職者様が求人票を見て、わくわくしながら応募した後に、選考過程で「実は求人票と違います」となってしまうと、やっぱり悲しいじゃないですか。
その他、ご応募をいただきやすい企業様の特徴は、ホームページ中のダイバーシティに関するページが充実している企業様ですね。求人応募にあたりしっかり企業様のことを調べている方もいらっしゃるので、その際に障害者採用やダイバーシティ関連のページが充実していると、この企業様は理解がありそうだな、という良い想像力が働くんですよね。
鈴木:あとは採用実績ですね。障害者採用の実績がある企業は、是非その点を求人票に書いてほしいです。
宮嶋:逆にこれまで採用実績がなく、障害者採用が初めての企業様は、どんな環境ではたらくことになるのかを具体的に記載いただけると安心して応募いただきやすくなると思います。配属部署の構成や男女比、コミュニケーションツール、入社後のフォロー体制(OJTの有無や指導役がいるかどうか)等ですね。
・これまでの転職支援で印象に残る事例は?
鈴木:以前、ある求職者様が最終面接でお見送りとなってしまったケースがありました。理由は、過去の浪人期間や大学在籍期間の長さでした。一方、その方は直近は支援機関に通っていて、就労ブランクはあるものの、しっかりと就業準備を整えていらっしゃる方でした。
障害の有無にかかわらず、人は過去‐現在‐未来の順で生きているので、評価をいただく際も是非同様の順番で見ていただけたらな、と思います。現在の状況は評価できるけれど過去が心配、というよりも、「過去の状態や経験を経て、現在はどんな状態なのか」という視点で見ていただきたいです。
特に職歴は顕著ですね。障害に気づく前や、障害を受容する前は転職を重ねてしまっていても、障害をしっかりと理解し特性への対処ができてからは安定して就業できている方もいるので。
宮嶋:これまで企業様のご厚意でとてもありがたかったケースとしては、その方の過去の良いところを見て下さったうえで正当な評価をいただけて、結果的に求人票とは別のポジションをご提案いただいた例ですね。
障害というよりその方そのものを見て、枠にはめずに採用いただける事例は、やはり入社後の安定性が高いなと感じます。
・最後に、障害者採用を行う企業様へメッセージをどうぞ!
宮嶋:様々な障害のある方がいらっしゃる中で、採用への不安もあるかもそれません。ですが、障害そのもので合否を判断しないでいただきたいなと思っています。障害者採用枠ならこういう仕事と限定するのではなく、会社全体を見渡して新たに人材が必要なところが発生したら、そこを障害者採用枠で採用するなど、柔軟なポジションの切り出しやツールの活用などを検討してみていただきたいです。
鈴木:一般枠・障害者採用枠関係なく、望ましい支援や取り組みがあったらうれしいですよね。例えば時間外労働の削減や就業環境の整備は誰にとっても必要なことだと思います。障害者採用が負担になる、というよりも、障害者採用が進むことで、障害のあるなしに関わらず社内の方々全員がもっと働きやすく、幸せになったらいいですよね。
以前、ある求職者様が最終面接合格になった際に、企業様から「この方の仕事に対するストイックな姿勢は、周囲に良い影響を与えると感じました」というコメントをいただいたことがあり、とても嬉しかったです。このような形で、障害やその特性は、あくまでその方の一面と捉えていただき、フラットな評価をしてもらえたらと思います。
【おまけ】編集後記
キャリアアドバイザーの宮嶋さん・鈴木さんへのインタビューが想定以上に盛り上がってしまい、すべてを人事の皆さんに届けたい!という気持ちから、長文のnoteになってしまいました。最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます。
障害者採用というと、何か特別な環境整備や社内への研修や業務の切り出しが必要、と思われがちですが、シンプルにその方に対して何が必要か、何をお任せできそうかをケースバイケースで考えていただくのが一番大事であると改めて感じています。
どんな方を採用したいか、そのためにどんな求人票を作成するのが良いか、それらのご相談は是非、弊社へお気軽にご相談ください。リクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーがタッグを組んで、障害者採用の成功に向けて全力でサポートします!
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