春の香りに誘われて

3月に入ったばかりだったが、天気もよく温かい日だった。

生ぬるく、心を揺さぶる風が心地よく吹いていた。

闇の中に落ちてしまった精神状態が少しずつ戻ってきたからか、世界の色が見えるようになってきて散歩が楽しい。

風に乗ってどこからか甘いほのかな香りがやってきた。

香りの在処を辿ってみるとそこには立派に咲き誇るモクレンが。

ああ、もう春なんだなぁ。

青空とのコントラストが良い。

寒い冬を耐え抜いて、温かさを感じたらそっと花開く。

今の時期は花たちが『生きている』と肌で感じることができるからとても好き。

長い時間をかけて育んできても、花が開くのなんて本当に一瞬のこと。

それでも、その一瞬のために雨にも風にも負けず、栄養を蓄え来春に向けて生き続けている健気さに心を打たれる。

長い長い冬が終わり、これからたくさんの息吹を感じることができると思ったら自然と心が高鳴るね。

去年はめっきりだったから、今年の春はたくさん外に出たいな。