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近くて遠い国?! 言語の違いだけでは語り尽くせない、隣国ドイツ語とフランス語の言い回しの違い色々

コロナ禍の最中でも変わらずドイツ語に苦労してる私。ドイツ引っ越しの前は、日本、フランス語圏、英語圏、オランダ語圏で生活した経験から思うに、隣同士のフランス語とドイツ語は文法的にはそれなりに近さを感じるが、言い回しの違いに時々出くわすことがあります。その中にはもはや単に言語の違いというより、その土地の文化、人の考え方などが反映されているのか、と思うことも。いくつかの例を挙げてみます。

●ドイツ語には他人を呼びかけの時にこれといった単語がなくて、「すみません」もしくは「ハロー」?!

フランス語圏では他人を呼ぶとき、男性にはMonsieur(ムッシュー)、女性にはMadame(マダム)、学校なんかでは先生は女子生徒にはMademoiselle(マドモワゼル)と呼びかけていた。ドイツ語ではそういう不特定の人を呼びかける単語がなく、Entschuldigung(すみません)という言葉を言う感じ。ドイツでは性ニュートラルな表現を好むのかなあ。それはいいのだが、たまに街中で、すみませんと言うのが面倒なのか、"Hallo"と言ってくる人がいるが、個人的には嫌いだ。カタカナで「ハロオ」と書いた方がわかりやすい。「オ」の語尾が上がって発される表現だ。南ドイツだけかもしれないが…。なんだか失礼に感じるのはわたしだけでしょうか。最初は自分に声をかけられているとは思わなかった。今もこういう呼びかけには答えないようにしています。ちょっとぉ?みたいに聞こえるのです。笑

アメリカ、英語圏ではMa'am, Miss!なんて呼ばれていたかな。

●フランス語の"nuance"という言葉はドイツ語にはない

ニュアンスという言葉はフランス語から来ている言葉であるが、ドイツ語もそのままNuance。訳語がないのです。日本語でもそのままニュアンスと当てるときもあるが、「趣、トーン、雰囲気」など当てる感じかな。日本語の趣なんて、翻訳者泣かせでしょうね。

●同じモノを指す名詞でも男性、女性名詞が全く違うことがある!

何を言っているのかと言うと、「月」はドイツ語は男性名詞(der Mond)、フランス語は女性名詞(la lune)、「太陽」はドイツ語は女性名詞(die Sonne)、フランス語では男性名詞(le soleil)。正反対なのです。このあたりの差は理論ではないので覚えるしかないが、ややこしい・・・。同じモノを指しているのに、全く違うのが面白い。

●「シ○イセ・ランド」。悪態ワードの力強さ‼︎

ドイツに来て驚いたことは、歩きながらパンをがっつり食べる人が多い、本気ウインドブレーカー&本気登山リュックで通勤する人が多い(当初は通勤のUバーンで平日の朝に登山客が多いと勘違いするほどだった!)、話し声が大きいとか、いろいろあるけど、悪態を吐く、それも性別、年齢如何を問わずこのSワードをよく吐くことでした!笑。オフィスでもよく聞きます。

いや、どの国も悪態バリエーションはあるけど、老若男女問わずドイツのSワードは言葉の持つ響きや語感もあり、力強い。

フランスのmerde, putainがなんだか音が柔らかくて、悪態に聞こえなくなってきました。

●フランス語の"C'est la vie"(セ・ラ・ヴィ)にあたる表現はドイツ語には見当たらない

これは日本語でもなかなか訳は難しいが、「それも人生。そういうこともある」くらいだろうか。悲しいこと、難しい局面、どうしようもないことに出くわしたとき、フランス人が自分を言い聞かせるためや、諦めるときに言う言葉。日本語で「しかたない」と訳されている文も見たこともありますが、日本的な諦めの境地のフランス語表現かも。はっきりとしたことを好み、不屈の精神・キャラクターを持つ国民のドイツ語にはこう言う「ニュアンス含み」の表現はないのかなあと。それこそ人生観の違いも表現に現れるのだろうか。

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他にもいろいろあるので、また思い付いたら書き留めてみよう。隣国なのに土地の言葉がライン川を隔てて違いが出てくるのは面白い。

ドイツとフランス。近くて遠い国。
コロナ危機で今はまさにそんな感じ。早く国境が開かれて「近くて近い国」の状況になってほしいです!

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