松屋行ってきた

駅近の松屋が好きだ。
店内は広く綺麗で、ほとんどセルフサービス。
食券機で食券を買い、そこに書いてある番号を呼ばれたらカウンターまで取りに行く。お茶もセルフ。
店員とほとんどコミュニケーションを取らなくて済む。最高だ。

期間限定のカットステーキのビーフシチュー煮込み。
ほう。うまそうじゃないか。これにしよう。
松屋の期間限定は美味い。
牛丼がメインの店にもかかわらず、牛丼とは程遠い料理が登場する。
その中でも私はシュクメルリが好きだ。

食券を買い、お茶を取り、席を吟味する。
午後三時のこの時間だとほとんど客はいない。
真ん中に置かれた食堂スタイルの長いテーブル。
入口から見て奥から三番目。人の出入りを感じなくて済むし、右を二つ開けておくことでゆとりを確保できる。よし、ここにしよう。

番号を呼ばれ、ビーフシチューを取りに行く。
美味いなあ。標準的なビーフシチュー。カットステーキも柔らかくて食べやすい。
デカめの味噌汁がついてくるのもうれしいんだよなあ。

そう思いながら食べていると、向かいに1人の男が座ってきた。

客はほとんどいない。長テーブルも私以外座っていない。
なのに、なぜ、この男は向かいに座ってきたのか。
目の前に仕切りはあるが、ちょっと座高が下がると相手の顔も普通に見えてしまう。
これだけ空いてるなら向かいは避けるはずであろうがと思ってしまい、どうも気になるのである。

私は、ボディバッグを背負ったままなのに気づき、おろそうと考えた。
テーブルの下にある収納スペースに入れて……
このスペース、向こうと仕切られていない…

向かいの男、私のバッグをくすねようとしているのではないか?
爆速で食い、バッグを回収し、足早に店を出れば、バレないような気もするし…
今風の若者ではあるが、髪はボサボサ、身なりも余裕がありそうには見えない。
瞬時に駆け巡る私の思考は、疑りがすぎるだろうか。
そうして、バッグを足元の床においた。

疑念は晴れないが、飯は美味い。
しばらくしてその男の注文も来て、食べ始めた。
私は味噌汁を飲むときに、ふと前を見た。
その男も味噌汁を飲んでいた。

どういう意図で向かいに座ってきたのかは確かめようがないが、
味噌汁が美味いという体験を共にしていると思うと、
少し嬉しくなった。

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