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バスで出会った少年と帰省の話

こんにちは。


年末年始は仕事だったので少し日にちをずらして帰省してきた。

この雪で悪路の中、いくつもの野を越え山を越えて、何百キロの道のりを自力で運転して帰る自信と気力はないので、大変だけれど公共交通機関を乗り継いで帰った。

一年ぶりくらいに、まず市内の路線バスに乗った。
私がバス停に着くと既にひとり少年がバスを待っていて、私の後にはおばあちゃんが来て3人でバスを待っていた。

バスが来た。

こういう時普通は先に待っていた人から順番通りバスに乗り込んだり、我先にと気持ちが前のめりのご老人達が競いあってバスに乗り込もうとするが、この時は誰も動かないので私が最初にバスに乗り込んだ。
私はそんなに乗らないうちに降りる予定だったので前の方に乗った。

※後で出てくるのでここでこのバスの乗り方を示しておくと、
乗車口は車両真ん中のドア、乗車時に取った整理券を運転手に見せ所定の金額を降車口で後払い、降車口は車両前方のドア タイプのバスだ。

いくつか停留所を過ぎると先ほどの少年が前方の降車口にやってきて運転手さんと何やら話している。
運転手さんはマイクを通して話していなかったが何となく会話が聞こえてくる。

少年(お財布をだし)「何円?」
運転手さん「えー、と、何歳かな?」
少年「小学生!!」
運(転手)さん「そうか、整理券は持ってる?」
少年「ない!!」
運さん「うーん、どこからバスに乗ったかな?」
少年「わかんない!!」
運さん「そっかー」

この少年、発言をテキストに起こすとすると全てに感嘆符が2つ以上はくっついていそうな勢い、そしてわからないことをはっきりわからないと言える潔さがある。

このままだと事態が進展しなさそうなので
私「あの〜、私〇●(少年と私が乗った停留所の名前)から一緒に乗りましたよ」
運さん「そうですか!じゃあ、△▼円だね、バスがとまったらここにお金をいれるんだよ」
少年「わかった!!」(お財布を開けてゴソゴソ…)
 (少年、目的の停留所に着いていないうちから料金を支払い口に入れようとする)
運さん「まだね、まだ入れないよ、もうちょっとまってね。(少年の掌の上の小銭の金額を確認して)…そうそう、そうだね」
少年「うん!!」
 (少年、目的の停留所に到着し、降車口のドアが開いた途端にお金を入れて外に駆け出していった)


大っきくなれよォ、少年!!!!
そして、誰かに力を貸してもらった時は、その人に「ありがとう!!!」って言えるような立派な大人になってくれよォ!!

人助けの見返りは全く求めないけれど、人助けをするとその後3時間くらい気分良く居られるので、どこか自分のために人助けをしているようなところがある。


そしてその後も道中色々あったが無事実家に辿り着いた。
前回帰ったのはよく覚えていないけれど一年くらい前だったかな。
帰る度に箸や食器の場所がわからなかったり、手拭きタオルや歯磨きコップ、スリッパが私の分が置いていなかったり(実家ではどれも共用でなくそれぞれ自分のものを使っている)、そういったところで自分がこの家の お客さん になったのだなと感じることがある。
私が実家に着いてから、慌てふためいて一斉に家中を掃除し始める実家の家族に笑ってしまう。
聞くと、「汚くしているとアンタに怒られるから」
というけど、いや、思いっきり掃除前見せちゃってんじゃん。
そんな掃除とか別にいいからさ、ほら、一緒にお茶でも飲もうよ。
あたし淹れるよ。お土産もいっぱい買ってきたんだよ、一緒に食べようよ。
あ、あとで屋根の雪おろすよ。こないだ電話で言ってたスマホの設定も後でみてあげるよ。

祖母は私の持ってきたシルクのナイトキャップがツボに入ったようで、ナイトキャップを被った私の姿を見てゲラゲラと涙を流すほど大笑いしていた。
「そんなに気に入ったなら何枚か持ってるしあげるよ」
と私が言うと
「いや、いらない、そんなもの」
と言う。
そんなものって言うならじゃああげないよ。

ナイトキャップは何枚か持ってきていたので、記念に一緒にナイトキャップを被って写真を撮った。


ひとり暮らしをしている私の部屋に実家の家族が訪れて一緒に過ごしている時の自分と、私が実家に帰って家族と過ごしている時の自分は、一緒に居る人は同じだけれどどこか違う自分な気がする。
これ、一人暮らしあるあるだと思うんだけどどうかな。

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