見出し画像

世界初のプラネタリウム(2023年6月号)

今から100年前の10月、ドイツのカールツァイス社で、この不思議な形の機械は生まれました。
今年はプラネタリウム生誕100年。それまでも人々は宇宙を目に見える形にしようと描き、模型を作り、オーラリー(天球儀)や惑星の運行を現す機械などを作ってきました。しかし、星空を再現するような機械はそれまで生まれていませんでした。
1923年、まだ第一次世界大戦の傷跡も生々しいドイツで、人々の心を元気づけ、復興のきっかけにしようと星空を再現する機械を作るプロジェクトが進み始めます。カメラのレンズで有名な、カールツァイス社のバウエルスフェルトと電気技術者のオスカーフォンミュラーの二人が中心になり、まだ誰も見たことのない星空を再現する機械を制作し、大変な紆余曲折の結果、「イエナの驚異」(カールツァイス社はイエナにあります)と呼ばれる世界初のプラネタリウムは、訪れる人々の心をつかみ、何万人のもの人々がプラネタリウムの映し出す星空を眺めるために訪れたそうです。

世界初のプラネタリウム / ミツマチヨシコ

100年の間、世界は戦争によってたくさんの人々の悲しみを生み、失われたものもたくさんありましたが、その世界で進化し続けたプラネタリウムは今日も誰かの心にそっと小さな光をともすでしょう。その星の光は希望となり、新たな明日を連れてくるのかもしれません。

ということで、今年はプラネタリウム生誕100年。お近くのプラネタリウムをぜひ訪れてみてください。きっと様々な記念の催しを行っていると思います。

ミツマチヨシコ
2002年から活動中の切り絵作家。水彩、漫画、動画なども作る。
作風はノスタルジック。ファンタジーとバンプオブチキンをこよなく愛している。
内なる宇宙をこの世界に持ち出し、未知なる外宇宙に思いをはせる日々。

2023年6月号より


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?