見出し画像

スターバックの本棚・「争うは本意ならねど」

『争うは本意ならねど』 木村元彦 著
集英社 (2019/1/18)

画像1
「争うは本意ならねど」は、私からすれば40万部を売ったベストセラー「オシムの言葉」の、というよりも「13坪の本屋の奇跡」の、著者として紹介したくなる木村元彦さんの作品です。

風邪による脱水症状を起こしたために、チームドクターに点滴治療を施されただけなのに、マスコミの誤報でこれが、違法のニンニク注射と報道され、あらぬドーピング冤罪に貶められた川崎フロンターレのJリーガー、我那覇和樹選手が、2007年に無実を求めて闘ったノンフィクションです。

世界アンチドーピング機構も我那覇は潔白と声明を出したのに、クロ判定を下してしまったJリーグは、我那覇を守るどころか、自らのメンツのためにジャッジを覆そうとしません。このままでは、他の選手までもがドーピングにされてしまうと感じた我那覇は立ち上がり、私財を何千万円も投じて国際スポーツ仲裁所に訴えます。そして彼の潔白を証明するためにJリーグの全チームのドクターとスポーツ法学の弁護士、選手会、サポーターも無償でこれを支えます。強大な権力や自らの所属する組織に意義を申し立てることの勇気と覚悟に、読後は奮い立つような感動に包まれます。

画像2

二村 知子 | Tomoko Futamuratomoko
隆祥館書店店主 井村雅代コーチ(当時)に師事し、シンクロナイズドスイミングを始め、現役時代はチーム競技で2年連続日本1位、日本代表として2年連続世界第3位に。現役引退後、隆祥館書店に入社。2011年から「作家と読者の集い」と称したト-クイベントを開催、2016年からは「ママと赤ちゃんのための集い場」を毎月開き、2019年4月からは、宝上真弓先生と子育てに悩む親御さんのために絵本選書の無料サ-ビス、2020年6月より、お客様からのリクエストを受け一万円選書を始めている。

隆祥館書店:http://atta2.weblogs.jp/ryushokan/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?