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そんなはずじゃなかったのに 3、日曜日の映画館

日曜日、二人は約束の映画を見に複合施設内の映画館へと向かった。
日曜なので、さすがに人通りも多く映画館も並んでチケットを買う。
始まる時間が迫って、イライラしながら何とか買うと、ドリンクを買う暇もなく座席へと向かった。
すでにオープニングも始まって、席もいっぱいだ。
端っこの二つ空いた席を見つけ、何とか座ることが出来てほっと一息ついた。

良一の隣は、中年男がやたらバリバリとポップコーンを食べている。
ぐるっと見回すと、SFなのにさすが恋人同士が多い。
良一がちらっと芳樹を見るが、すでに真剣モード。
芳樹は必死で字幕を目で追い、一語一句見逃すまいとしている。
何となく気もそぞろに、良一は楽しそうにヒソヒソ話す恋人達に目が行った。
 
ああ、いいなあ……
 
思わずしみじみと頬杖を付く。
良一は映画にのめり込むことも出来ず、時間が過ぎるのをぼんやり画面を見つめて待っていた。
 
やがて、映画は次第に話を進めてゆく。
次第にクライマックスとなり、気が付くと主人公と美しい女性がいい仲となってキスを始める。
良一がぼおっと思わず見入って、またもそれが自分と芳樹に見えてきてしまった。
ブスブスとくすぶり始めた腰のあたりに熱さを感じ、ドキッと身を起こす。
画面はすでにベッドシーン。
 良一がハッと隣の芳樹の手を見た。
 
そうだ、手を、手を握ろう。
『優しくしてね』のゴムを選んだと言うことは、俺からモーションをかけねば。

ドキドキ弾けそうな胸を押さえ、ぶるぶる震える手を芳樹の手に伸ばす。 
ああ、でも、でも、本当に握っていいの?
くそお、やっぱり嫌われたらどうしよう。
ギラギラとその手を凝視して、パッと引いてしまった。
 
苦悶する良一の膝が、ムッと熱くなる。
……ん?あれ?何で膝?
じっとそこを見ると、なんとそこには隣の男の手がある。
いつから置いていたのか、気が付くとじわじわとそれが上がってきた。
 
え?え?え?
 
妙に熱く、じっとりと湿り気を帯びて大きな手が太ももを上がってくる。
驚きと戸惑いでじいっと見てると、サワサワと内ももを撫で始めた。
 
こ、これって……
 
ち、ち、ち、か、んーーっっ!!
 
俺って、俺って男だよな。
なんで?なんで?ちゃんとハーフパンツはいてるし、そんな女の子っぽくもないのに、普通の男子高校生なのに、なんでー!
 
隣の男は全神経をその手に注いでいるのか、身動き一つしない。
良一は頭がパニック状態で、ジッとその手を見ている。

その手はだぶだぶのハーフパンツのすそから手を入れ、内股をじわじわ撫でながら上へ、上へとせり上がってくる。

怖い、怖い、怖くて息が詰まる。声が出ない。
こんなにいっぱい人がいるのに、真っ暗だから誰も気がつかない。
どうしよう、どうしよう、芳樹、芳樹、助けて。

抵抗しない良一に、男はニヤリと笑ってククッと小さく笑い声が漏れる。
良一はゾオッと背に冷たいものが走り、足が小さく震え出した。
 
怖い、怖い、どうしよう、どうしよう、怖い、どうしよう
 
じっとりしたその手は、足の付け根までくるとトランクスの隙間から指を入れてくる。

ひっ!

声が出そうになって、良一が手で口を塞いだ。
怖くて小さく縮こまった玉を横から指で、ツウッとなぞる。

うぐっ

出そうな声を手で抑える。
気がつくと、涙が目にいっぱいたまっていた。

やだよ、知られたらどうしよう。男なのに、痴漢に遭うなんて。
こんなだぶだぶのハーフパンツなんか、はいてこなきゃ良かった。

男の手は、次第に大胆に中に手を入れ始める。
とても手慣れて、最初パンツの上からやんわりとチンチンをモミモミする。
うひぃ、ゾワゾワするよー、気持ち悪い。
やめて、やめて、勇気を出して、必死で抵抗して弱々しく手を押した。
なのに、その手はチンチンの先の弱い所をグリグリしてくる。

んぐぅーー!!

立っちゃ駄目だ、こんな奴で立っちゃ駄目!
怖い、怖くて動けない。
男はズルリとパンツに手を入れた。

ひぃっ!

ゴツゴツした手が、僕の睾丸をモミモミする。
竿を緩やかに上下して、裏をザラザラの指でざらりと撫でた。
ぞわぞわっと鳥肌が立つ。

嫌だ、嫌なんだ。いや、いや、いやだっ!

なのに僕はもう、その行為に抗えなくなっていた。
そしてその手は僕のお尻の方へと近くなる。
僕は無意識で、足がゆるんで膝を広げ、右足を上げて男の方の尻を浮かせてしまった。

「クク」

小さく男の含み笑いが聞こえる。
カッと恥ずかしい気持ちが顔に熱を出す。
男の手は巧みで、ざらりと股間を撫でるその指が1本、尻穴の近くでギュウッと押し付けられ、ツウッとタマの裏までざらりと撫でた。

ひいっ!

ゾワッと、身体中に鳥肌が立った。

声が出そうになって、指を噛む。
涙がボロボロ出て、それなのに戸惑っていたチンチンがむっくり立ち始める。

なんで?なんで?僕は映画を見に来ただけなのに、なんで僕は知らないおじさんに股間触られてチンチン立ててんの?

身体が初めて感じる快感にガタガタ震え、ギュッと目を閉じた。

すると男がパンツから手を引き抜き、横から尻をギュウッと握る。
ピッタリ身体をくっつけて、耳元にささやいた。

「外に出ろ、続きが気になるだろ?」

首に男の熱い息がかかり、頭から氷水浴びたみたいにゾオッとした。

「ひっ!」

のどでようやくかすれた声が出る。
なのに、僕は快感に負けて外に出ることを考えていた。
 

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