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YAKUSHIMA Vol.3 『Beyond Peak』

この記事は2022年に6月に屋久島の縦走登山をした記録です。

【前回の話】「再会と再来」

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いよいよ、屋久島に登る。

屋久島に登るのは7年ぶり、当時は高校生2年生の頃に部活を辞めた反動で、屋久島に縄文杉を見に来ていた。その時も現地で仲良くなった友だちと一緒に登った。今、その子はカナダに永住したらしい。
のりちゃんは元気かなぁ〜

今回は白谷雲水峡から登る。

白谷雲水峡はとにかくきれいな水が流れ続ける湧水地だった。この場所をみるだけでも価値があるくらい屋久島の自然に溢れていた。

ただ、今回はそんなにゆっくりと眺めている時間はなかった。これからこの水の流れ続けてきている場所を遡るように歩いていくことの方が重要だった。

今回のプランは頂上を越えて約40km歩き続けるというほぼ、屋久島を縦断するコースだったためできるだけ進むことが必要だった。
とは言え、屋久島の景色につられて何度も立ち止まってしまった。

雲水峡を抜けてどんどん登っていくとまた景色が変わる。
急いでいたのだけどもシンゴにはそんなにコースから外れないし、行かなきゃいけない場所だと言われ途中、『太鼓岩』と言われる眺めのいい場所に来た。
『太鼓岩』からはこれから目指す屋久島の頂上を見上げることができた。
その時はまだ屋久島の一部青空を眺めることができたが、頂上付近は真っ白い雲に覆われていた。頂上から絶景を眺めることは出来ないと少し落胆するが、雲に覆われた屋久島も悪くないとワクワクする。

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太鼓岩を経由してからはノンストップでひたすら屋久島を登る。

屋久島に訪れる人が目指すだろう縄文杉まで着いても立ち止まることもなくスルーする。他の登山客が縄文杉に感動しているところを失礼してどんどんと登る。

一度見ているのもあるし、以前登った時に今は保護されていて昔行った人を聞いたときよりも縄文杉には近づけなくて残念な思いをしていたからほとんどスルーした。
ただ、そんな残念だったなぁ〜という思いでと当時ノリちゃんと登った達成感を思い出し、歩きながら余韻に浸る。

そんな感じで一緒に登っている真吾と昔の思いでを話しながら頂上に向かって歩き続ける。
縄文杉を過ぎたくらいから徐々に薄い霧が立ち込めてくる。

一度、バックパックをおろしてアウターなどの装備を整える。

そこから更に進み、森林限界を超えてくると周りに風になるものが少なくなっていき、風が雨水を含みボクらに向かってくる。

そして景色がホワイト・アウトする。
やばいな!と真吾とルートを確認しながら頂上まで登る。今回は頂上を越えて更に先が目的だったからこそ、立ち止まってはいられない。

そして屋久島の頂上、宮之浦岳に着く。
案の定、周りの景色は真っ白だった。
もう一度、岩に隠れてバックパックをおろし、食料を補給する。
轟々と風と雨が吹き上げる中でガスバーナーを出し、カップ麺を作りながらどこまで進むか相談をする。

周りの景色が見えないが、頂上で食べるカップ麺は格別だった。

腹も膨れ、さぁもっと前に進むために歩き始める。
すると一匹の『ヤクシカ』に遭遇した。
ヤクシカはなぜかちょっと進むと立ち止まり、ボクらを振り返りながら進んでいく。
ホワイト・アウトしている霧の中を導いているような不思議な体験だった。

それはこれから向かう、本当の屋久島の自然の扉を開いた気がした。

次回、YAKUSHIMA vol.4「屋久島の裏側」


いつも応援していただきありがとうございます。 多分、山にいくか不思議なものを食べる力になります。