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YAKUSHIMA Vol.4 「屋久島の裏側」

この記事は2022年に6月に屋久島の縦走登山をした記録です。

前回の話『Beyond Peak』

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ホワイトアウトしている屋久島の頂上を超えて今回のキャンプ地を探す。

今回、屋久島の頂上である宮之浦岳を超えて、湯泊歩道というルートを通って降りる計画だった。まだまだ進まないと行けないという気持ちもあったのでとりあえず、暗くなるまで一泊できる場所を探しながら進もうということになった。

霧と雨が吹き続ける中、なにか風よけになるようなものがあるキャンプ地を探し歩く。周りが薄暗くなっていくのがわかり、疲れと夜に向けての不安が押し寄せる。立ち止まり、改めて地図を見る。

すると近くに『高盤岳』というピークがあることが目に留まる。
ここに行ってみよう。

決めてからは雨と風を遮れたらいいなぁと真吾と話しながら期待しながら向かう。高盤岳はあまり人が訪れていないらしく、行き先を邪魔する枝をかき分けながら進んだ。疲れている体と精神を追い込んでいく。これで高盤岳がキャンプするのに適してなかったらどうしよう…と不安になる。
しかし、進むしかない。

高盤岳に着くと、大きな豆腐のような岩が立ち並んでおりキャンプするのに最適だった。岩の影に急いでテントを設営をする。

テントの中は安心する。飯を済ませて、ゆっくりと体を休める。
次の日は湯泊歩道にアプローチするためにすぐに寝た。

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朝、日の出がでて薄明るくなる頃に出発した。
前の日の体の重さがまだあり、体が鈍っていると感じながらも進む他にはない。
体の重さを感じながら進んでいくと湯泊歩道に入っていく。

キャンプをした高盤岳もそうだったが、湯泊歩道もなかなか人がしばらく入ってない雰囲気を出していた。ただ、入ってすぐ今までの疲れや体の重さを忘れていく。

まさに、植物の楽園。
白谷雲水峡を過ぎてすぐのところももちろん、苔むす森だったがここの苔はありのままの自然の姿をしていた。白谷雲水峡ではあくまで人が訪れて人と共生する形で棲み分けされていたが、ここはあたり一面に苔が生え、嬉々としていた気がする。

苔もすごいがその周りに育つ木々もすごかった。四方に太い枝を伸ばし、成長していた。そして、そんな木々に苔が木に巻き付くように成長し、今まで見てきた屋久島の自然を覆すような世界が広がっていた。

とにかく、人の居ない環境で植物同士が猛烈にせめぎ合っているようだった。

進んでいけば進んでいくほど、山を降りているはずなのに険しくなっていく。途中、成人男性ひとりが横になったくらいの太さの木々が倒れて道を塞いでいる。よじ登るように進んだり、すこしその周りを迂回したりと自然の力の凄さを感じる。
この土砂崩れもいつの雨で起きたかわからないが真新しく、屋久島のすさまじい雨季の時期に起きているんだろうと思うとより屋久島の自然の深さを実感する。

見たことないようなサイズの倒木や巨石をくぐったり、乗り越え。
何百年、何千年と続く本当の屋久島の自然を感じながら、山を降りていく。

まさに屋久島の裏側を見ているようだった。

次回、YAKUSHIMA Vol.Fin「ありがとう、屋久島」


いつも応援していただきありがとうございます。 多分、山にいくか不思議なものを食べる力になります。