『斗起夫』ワークインプログレス座談会②
「劇作家の苦悩〜登場人物の登場させ方〜」
さとう:逆に、こういう人物にしようって作り出しているのですか?
みつはし:役割じゃないかな。今回の作品(『斗起夫』)もそうだけど、役割が過多な人が多かった。役割を担うひとっていう感じで作品につれてきて配置するから、別に名前よりも役割で人物を作っています。
さとう:物語をこっちの方向に進めていきたいから、この登場人物を出そうってことですか?
みつはし:そうですね。掻き回す係とか整理する係とか、ここの内側の事情を話す係とか・・・。戯曲の書き方を話すと、講座みたいになっていやなんだけど・・・。そういうのを整理して(書いていく)。もっと潜在的に書いている人もいるだろうけど。
「劇作家の苦悩〜あれ、なんで右から左にしか書けないんだろ?〜」
れいな:普段どういう所から書き始めるんですか?
じんぼ:えっそれは、テキストってことですか?
れいな:テキストもそうだし、アイデアの段階からでも。
じんぼ:ほんと作品ごとにアプローチが変わっちゃうタイプで。最近は、テキストって日本語なので、右から左に書かれちゃうってことがなんか気持ち悪くなって。それこそ詩みたいな状態から立ち上げていくのも試したりとか。そのやり方をすると、今回みたいに登場人物の名前が後から発生するなあと思ってすごい共感しました。
れいな:縦書きってなんかでも、面白いなって思いました。日本語だから縦書きで書かれているのは当たり前ですけど、違和感をどうして覚えたんですか?
じんぼ:日常生活でドラマってあると思うんですけど、日常に時間の経過ってその時々では考えないはずで。でも、テキストして配られると、それに順序があるってのが頭の中にあって読み始めちゃう。演劇の集団が集まって作品を作るときに、すごい制約になるんじゃないかって思って。そう思うと、あれなんで右から左にしか書けないんだろう?ってよくわかんなくなっちゃう時期がありました。
れいな:それはやまとさんの「断片的」に近いんですか?
やまと:「断片的」ってのは…。今回このテキストを書いたときに、頭から書くんじゃなくて音楽のアルバムみたいに1曲ずつ好きなところから起こしていって、最終的に順番に配置して作りました。僕も神保さんの言っていたことがすごいわかるなあって思って。場面によっては「ここは縦書きで書きたいな」「ここは横書きで書きたいな」ってのがあるし。最初、紙で立ち上げていくことが多いんですけど、紙で書いていくと時系列を同時に多発させることができるんだけど、文字にしちゃうと一本の線になっちゃう。それってなんか今ってテクノロジーがいっぱいあんのに戯曲の形ってもうちょっとやりようありそうだよなって思うんですよね。
れいな:言葉以外で書こうって思ったことはあるんですか?
みつはし:アイデアとしては思ったことあるんですけど、全然実践に移せなくって。イラストレーターやデザインサイトで書いて、次の行とかページに行こうって思ったけど、単純にサイズ重いなっていう。(笑)
テキストってそれだけ軽くなってるから、デジタル上で扱うのは楽なんだなあってそのときに感じた。写真とか使うと、ポートフォリオになっちゃう。
れいな:サイズの問題がなければ、やりたい?
みつはし:紙と同じように、同じような時間で流せるんだったら。読み込むのも読解するのも時間がかかるから、全部がシームレスになれば、それでもいいんじゃないかな。
れいな:なるほど、面白い。動画が台本になるってことですね。
みつはし:まあどこを再現してっていうのは、変わってくるかもしれないけど。
『斗起夫』ワークインプログレス座談会③に続く!最後まで読んでくださって、ありがとうございました。