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【企業分析】オリエンタルランドってすごすぎる!

※こちらは2020年に作成したnoteです。最新のデータではありません。(下書きにずっと入れていたのですが、せっかくなので公開いたします…)


こんにちは。ぺぺです。

今回はオリエンタルランド(ディズニーランドとディズニーシーを運営する会社)について分析しました。

大手町のランダムウォーカーさんと黒澤友貴さんの主催する学生企業分析集中講座で、オリエンタルランドの利益をあげる施策について考えたこと、学んだことをまとめました。


施策の条件は、①3年以内に達成可能な施策であること ②具体的な数字で利益の上がり幅を推計すること です。

オリエンタルランドについて

まずオリエンタルランドの事業について説明します。

セグメントとしては、テーマパーク事業ホテル事業その他の事業(ショッピングセンター事業やモノレールなど)があります。

売上高構成比は以下の通りで、多くの人が想像するように、テーマパーク事業が大きく占めています。

オリエンタルランド売上高構成比

株式会社オリエンタルランド FACTBOOK 2019 12ページより引用

テーマパーク事業

(テーマパーク事業がこれだけ儲かっているならもう一つテーマパークを作るのが手っ取り早いと思ったのですが、3年以内には確実に無理なので今回は却下です😭)

利益=収益-費用なので、利益を上げるには収益を上げるか費用を減らす必要があります。

テーマパーク事業における主な収益はチケット単価×来場者数、費用は主にキャストにかかる人件費・経費です。


まず収益を上げる施策

構成ゲスト一人当たり売上高

株式会社オリエンタルランド FACTBOOK 2019 5ページより引用

テーマパーク内の飲食業やグッズ販売も来場者数に比例すると仮定して考えて、チケット収入にフォーカスします。


①1dayチケット単価を上げる(チケット単価を上げる施策)

2019年:7,500円 (+100円)、2020年:8,200円(+700円)と近年連続で値上げ行っており、これ以上の毎期連続値上げは来場者数の減少につながると考えます。

ただ、海外のディズニーは$115/約12,880円(平常時のマジックキングダム1dayパス)などと高い水準であるため、まだ値上げの余地はありますが、3年以内の値上げは厳しいと判断しました。

ちなみに、、、大手町のランダムウォーカーさんが仰っていたのですが、〇周年などの節目の時は必ず来場者数が増加するため、その1,2年前にチケット単価を上げているそうです。すごい戦略…。


②そこで、年間パスポートで施策(チケット単価を上げる施策、第二弾)

年間パスポートも2020年に値上げして99,000円となっており、ディズニーオタクの友人たち(大学でディズニーサークルの幹事をするレベル)も流石に値段が高い、買えないと嘆いていました。笑

なので、これもまた今以上の値上げは現時点では困難だと判断しました。😢

さらに、オリエンタルランドは2020年より、GW・お盆やハロウィーンなどのディズニーファンにとって特別な日を利用不可能日にすることでコアなディズニーファンから追加で入場料を得ています。

③新しいアトラクションの導入(来場者数を増やす施策)

これは来場者数の増加につながると思いましたが、3年以内が難しいと判断しました。さらに2019年にソアリン:ファンタスティック・フライトがオープン。オリエンタルランドは1年~3年に1回、新規のアトラクションやショーを導入しており、この施策は既になされていると判断できます。😢

④男性に来てもらう(来場者数を増やす施策)

今の入場者の男女比率は以下のように女性に大きく傾いています。

男女別来場者数

株式会社オリエンタルランド FACTBOOK 2019 5ページより引用

このことから男性をターゲットに入れる施策を考えました。今回は簡単に、男性はチケット料金割引とします。

仮にこの施策がヒットして男性が20%増加したとすると黒字になるのは

1.2×0.833333…=1.0

となり、16.6%以下の割引時であるから、15%割引して

男性年間来場者数900万人×1.2×0.85=920万円

3年間で2800万円の利益となります。ただ、提案しといてなんですけど、これは社会的に反発を招きかねないのでボツです。笑

(女性ファンを失う損失の方が大きいかも、、、)


⑤ファストパスの有料化(その他施策)

2020年3月期第3四半期決算 電話説明会 質疑応答では、「価格変動制だけでなく、ファストパスの有料化なども含め、チケット価格改定の考え方を再検討している」とオリエンタルランドは述べています。

USJのエクスプレスパスは、4回で約8000円なので1回当たり2000円です。合同会社ユー・エス・ジェイは未上場なため、詳細な情報が入手できなかったためざっくりですが、来場者数のうち半分がファストパスを4回分購入するとすると、

2000円×3255万人×50%×4回×3年=3906億円

費用は特に掛からないため、利益は3906億円上昇します。


⑥プリペイドカードの導入(その他施策)

鉄道会社はSuica,PASMOでかなりの収益を上げているので(∵チャージして使う=前払い制であるため、貸し倒れのリスクがない!)、オリエンタルランドも採用の余地はあります。しかし、テーマパークは毎日行くわけではないので市場浸透しないのではないかと考えました。

また、JCBカードはディズニーのオフィシャルスポンサーであるため、オリジナルのカードを作るには制約がある等、困難なのではないかと判断しました。


費用を下げる施策

特に人件費に焦点をあてます。人件費=時給×時間×人数とすると、キャストは24時間体制なので、変数になりうるのは時給と人数です。

①時給を下げる

キャストはほとんどアルバイトです。東京都の最低賃金は1013円、千葉県の最低賃金は923円ですが、オリエンタルランドの時給は約1000円なので下げる余地はありません。

②接客ロボットの導入(人数を減らす)

トゥモローランドなどの売り場にはキャラクターを扮したロボットで対応するのも面白そうと思いました。

ロボット一台が人間一人分の仕事をすると仮定して、ロボットを外注するとすると、

接客ロボット1台20万円+月額2万5千円×36か月=110万円

対して人件費は、時給1000円×24時間×365日×3年=2628万円

従って1台あたり約2500万円の削減ができます。100人の人員削減をしたとすると25億円の利益の上昇が見込めます。

ホテル事業

なんと、一般的なホテルの客室稼働率は全国平均で68.9%(2020年1月)なのに対し、ディズニーリゾートのホテルは80%後半から90%後半(2017年度)と高水準です。

そこで客室料金を上げることで増収につながると考えました。

しかし、2018 年 日本ホテル業界調査(サンプル数63社)による平均客室単価22,655円(※東京 平均客室単価でもう一回検索する)に対し、ディズニーリゾートのホテルは50,000円から60,000円台半ばと高価格であることがわかりました。

さらに、料金を上げても需要が減りにくいであろう最もハイランクな部屋の値段は50万円と高額すぎてこれ以上上げられないのでは、、、と思いました。オリエンタルランド凄すぎます(^^; 

その他の事業

イクスピアリについて

イクスピアリとは舞浜にあるショッピングセンターのことで、オリエンタルランドが運営しています。

イクスピアリの売上は全体の3%以下と小さいため、施策については割愛します。

モノレールについて

パークまでの移動手段であるモノレールにも、窓やつり革など、ディズニーの世界感が至る所で感じられます。しかし、モノレールの運賃は260円と比較的良心的な価格設定です。(参考:多摩モノレールは110円~410円)

乗客数をあげるにはテーマパークの来場者数を上げることで達成できると考えられるため、ここでは割愛します。

ディズニーリゾートラインを利用する人のほとんどがディズニーシーに行く人と仮定すると、東京ディズニーシー・ステーションの乗降客数は一日当たり4万6307人なので、3年間の乗車数は、

4.5万人×365日×3年=約5000万人

となり、100円の値上げをしたとすると、50億円の増収になります。

鉄道業は稼働率のビジネスなので、電車を走らせる費用はあまり変わらないとして、利益も50億円の上昇とします。

財務戦略から考えてみた

有利子負債が増えていて、利息をかなり支払っていることから、支払利息を減らせば費用が減り、利益が上がると考えました。

さらに現金預金が2018年3月は2963億円なのに対し、2019年3月は3775億円と大きく増えており、繰り上げ返済できる余裕がある!と思いました。

しかし有利子負債と現金の増加は新エリアに対する新規投資のための借入をしていることにより起こっていたと判明しました。なのでこの案もボツです。

レストラン事業はどうだ!

もはや既存のビジネスモデルを用いた施策は思いつかなかったので新規事業で考えてみました。

ディズニーの唯一のデメリットは立地!なんといっても千葉だし東京から遠い(特に東京駅の京葉線までの乗り換えがめっちゃ遠い)

そこで都心にディズニーのオフィシャルレストランを作るのはどうかと考えました。今回は地方に住む人や外国人観光客も考慮に入れて、利便性の高い浜松町当たりで計算しました。(浜松町には羽田空港へ行く東京モノレールが通っています)

ターゲットは社会人からお年寄りまでで、単位あたり料金を高めに設定します。レストランはカップルや夫婦での利用も見込めるため、テーマパークでは来場者数の少ない男性をターゲットに含められます。

「高級レストランとして記念日などに奮発して利用する」というような、「非日常×極上の体験」がコンセプトです。

アルコールの提供もする事を考え、コース料理で一人当たり3万円の売り上げとすると、

1日あたり

3万円×50席×2回転×65%(客席稼働率)=195万円

195万×365日=7億円

次に費用について考えます。

人件費、材料などの原価は平均原価率を用いて
7億×30%=2.1億円

販管費として、家賃や水道光熱費もそれぞれ平均の10%、7%を用いると
7億×17%=1億1900万

キッチンやディズニーの内装など、初期投資で3000万円(一般的には1000万円のものの、世界観構築やお店の規模から多めに設定)。構築物の税務上の耐用年数10年を用いると、償却費は

3000万÷10=300万

ざっとですが

7億-2.1億-1.2億=3.7億/年

でどうでしょうか…!笑 意外とインパクトが少ない…

私の考える施策まとめ

①ファストパスの有料化…3906億円の利益up

②ロボットの導入…25億円の利益up

③モノレールの値上げ…50億円の利益up

③レストラン事業に参入…3.7億円の利益up

終わりに

企業分析第二弾ということでまだまだ拙いところばかりで恐縮ですが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

施策を考えども考えどもオリエンタルランドの経営戦略の凄さに打ちのめされました。

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