見出し画像

IT×教育、のお仕事。-インストラクションスキル-

一時帰国中に、期間限定でIT企業の新人研修のお仕事をさせていただいていました(今週、区切りがつきました)。

そのお仕事での気づきを記録している「IT×教育、のお仕事。」シリーズの記事を、引き続き更新します。


約1ヶ月間のこのお仕事で身に付いたスキルの棚卸し、ということで、これまでに「ファシリテーション」と「インストラクション」のスキルを取り上げています。

前回の記事に引き続き、「インストラクション」に関するエピソードを通して、お仕事を振り返っていこうと思います。


今回は、私の実際のインストラクションはどうだったのか、ということについてです。


まず、ザンビアにいた時から私がいつも気にしていたことは「できる限り生徒と同じ目線に立つ」ということでした。

そして、ザンビアにいた時に書いた記事、「先生としての振舞い方について、考えること。」の中でも少し触れていますが、私が描いていた理想の先生像は「生徒に寄り添って一緒に考えられる先生」というものでした。


今回の受講生を担当する中でも、このことをよく意識していました。

ザンビアでは、配属先の生徒が気軽に相談してもらえるような関係であれたら良いな、と思っていたように、今回も、できる限り質問(報連相)しやすい環境や雰囲気を作ることを考えていました。

最初の7人グループのときはなかなか難しかったものの、最後の5人グループのときは慣れてきたこともあり、また、受講生同士が仲良くなったこともあり、この雰囲気は作っていくことができたのでは、と思います。

7人のときは、みんなの前で質問するハードルが高かったのか、個別での質問対応が多かったのですが、5人のときは、先陣を切って発言する方がいたことが大きく、全体でも個別でも、質問対応が増えていました。


なぜ発言しやすくなったり、受講生同士が仲良くなったりしたのかを自分なりに考えてみました。

7人のときは、少なくとも同じ会社の人が数人いたのにも関わらず、発言が少なく、5人のときは、全員違う会社同士なのにも関わらず、発言が活発になっていったからです。


まずは、定期的に受講生に質問を投げて、答えてくれる人がすぐに出なければ順番に受講生をあてて、回答を聞いてみる、という試みをしたことです。

受講生の発言回数を以前よりも増やすことができたのが良かったです。また、意外と受講生の中には、コミュニケーションを取りたいけれどもなかなか機会がなくて話せない人が多い、ということを感じました。

また、3分間スピーチとして、人と話が被らないようなお題を私が選んで、お話をしてもらう、という試みをしたことです。

受講生は3分間の中に、自分の過去のエピソードを入れてストーリーを作ることで、自分について話す「自己開示」が生まれ、お互いに親近感を持つきっかけが作れたことが良かったです。

受講生だけではなく、私も質問されたら回答する、受講生の回答や3分間スピーチのフィードバックをする際に自己開示を入れる、ということを通して、私との会話のハードルを下げられたことも良かったかな、と思います。


そもそも人数が少なくなったからでは、と言ってしまえばそれまでですが、グループ運営について試行錯誤して、結果が出た時は嬉しかったです。

研修の最終日が近づくごとに、研修の時間が終わって日報を書き終えても、グループのメンバーと雑談している、という光景が見られたのも何だか嬉しかったです。



そして、発言が増えてきたり、受講生のことがわかってきたら、少し厳しいことを話す機会も作るようにしました。

これには理由があって、全てリモートで行っているので、受講生と実際に対面でお話することができないため、ある程度の信頼関係ができなければ、厳しいことをお話しても、ただ関係が崩れてしまう、というところです。

通常の集合研修では対面でフォローができる場面でも、リモートではカバーしきれないので、総じて強く指導する、ということはできず、最後の最後までこのコントロールは難しかったです。


厳しいと言っても、私がやっていたこととしては、それほど厳しくないとは思います。笑

まずは、私が現場でやると怒らるようなことを積極的に指摘していました。特に、質問の質が低ければ、よく突き返していました。

これを読んでください、とTipsのようなURLで返したり(この「質問は恥ではないし役に立つ」というQiitaの記事は、便利でよく活用していたので、ここにも残しておこうと思います)、質問を掘り下げたりと、時と場合によって対応をしていました。

そして、人によって質問対応のレベルを考えること。学習の理解度が進んでいて、気づくことができる受講生だとわかれば、ポイントだけしか伝えず、さらに受講生に考えさせる、という返しをしていました。

つい受講生に親近感が湧き、行動に口出しをして、過保護になってしまいそうなこともある中、後半は受講生により「考えて行動させる」ことを意識して、放置してみたり、少し冷たく見せるようなこともしていました。

調べる癖をつけさせて、そのポイントだけでは難しいのであれば、さらに質問をして積極的にコミュニケーションをとってほしい、という想いを込めて対応をしていました。

その後、できました、という報告があれば「良かったですね」「すごいですね」「頑張りましたね」と褒めて、指導と褒めるの両面を使いこなすことを忘れないようにしていました。笑



ザンビアでも日本でも感じたことなのですが、もし、私にもっと知識やスキルがあるならば、ビシっと、バシっと、インストラクションすることができたのかもしれません。

そして、ザンビアでも日本でも、自分の知っている知識を教えることに落とし込む難しさを感じました。知っているから教えられる、という考えは間違いで、教えるレベルになるには、知識を得る以外の努力もたくさんしなければ、理想形には届かないことを痛感しました。

上級や初級の受講生グループは、経験がある講師陣が対応するとのことで、私は担当する機会がほぼありませんでしたが、もし、そんな受講生を自分が担当したときに、高度な質問や初歩の初歩な質問に、すんなり回答できたか、と言われれば答えはNoだったと思います。



「良いインストラクターとは?」という問いの答えは難しいです。自分が良いインストラクターであったのかは正直わかりません。

ですが、私にとっては「寄り添って一緒に考えられるインストラクター」という理想像があって、それに基づいて、今の自分ができることを精一杯出して、インストラクションや行動することができたのならば、この問いの1つ回答の目安にはなるのでは、と思いました。

もちろん、人に相性があるように、受講生にとっても合うインストラクターもいれば、合わないインストラクターもいるので、人によってそれぞれ答えがあっていい、という結論にしておこうと思います。


この研修のお仕事を通して、教えている側でしたが、自分が学ぶことが本当にたくさんありました。毎日が濃かったです。

ザンビアにいたときよりも「インストラクションスキル」が少しでも上がっていたらな、と思います。

そんな経験も踏まえて、またインストラクションに関わる機会があるならば、もっと良いインストラクションができたらな、と思っています。

いつもスキやコメントで応援ありがとうございます◎ いただいたサポートで、さらに誰かを応援していけたらな、と思います。