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如月短歌 20首vol.2

1.インスタの 綺麗なショット たぶん嘘
皆少しずつ 背伸びしただけ

2.他人の目 実在するのか 訝しむ
自分で作った ガラスの虚像

3.短編は 最後の一文 吹き荒ぶ
荒野にポツンと 一人佇む

4.ミャンマーの 酸辣湯麺 ほの辛く
耳は捉える 異国のメロディ

5.青空の 下で紅梅 咲き誇り
冷たい空気 鼻腔をくすぐる

6.梅の紅 白雪に緑 ハッとする
1000年続く 襲(かさね)の色目

7.音もなく 夜のしじまに 雨雫
春を運んで 視界が滲む

8.あっ!これは 街中でふと 君の香り
すごい速度で 記憶再生

9.夜明け前 碧い時間を 漂ひて
君の睫毛の 影を追いかけ

10.偽物の 桜の飾りは 引っかかる
なんか違う コレジャナイ感

11.五年ぶり 古い友との再会は
時空を超えて ハグからスタート

12.何者にも なれなかったな
この私
それでも今は 満足やねん

13.彩雲を 捉えた友の 子の受験
世界が待ってる 君に幸あれ

14.難波駅 雑踏の中 中国語
ここは日本か? 脳がバグる

15.雑念を 宇宙の隅に 追いやって
ただひたすらに トイレを磨く

16.マニキュアが 乾くまでの その刹那
昨夜君着た Tシャツ残り香

17.梟(フクロウ)の 瞳が刺さる 冬の午後
手を翳そうか 匂い嗅ごうか

18.若冲の 描く闘鶏 リアルすぎ
今にもカカカと 飛びかかりそう

19.幾千の 夜を二人で 語れども
君の心の 奥底は闇

20.ピンセットを 置くと言う 時計屋の
閉店張り紙 哀し美し

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