クリーニング屋さんの苦労

このお仕事に就けて本当に良かった、と思えることの一つは、いろいろな業者さんと関わる機会が多いことです。

業者さんがどんなふうにお仕事をされているか、どんな問題を抱えているか、を知って、初めて相手側からの目線で物事を考えられるようになってきたからです。

以前、クリーニング屋さんを出入り禁止にした、と書きましたが、本当は出来るだけそういったことは避けたいと思っていました。普段の彼らの苦労を、一部ではありますが、目にしているからです。

汚れ物を預って、クリーニングして戻すだけでしょ、と思いがちですが、シンプルに見える作業でも、いろいろと注意や気遣いが必要となります。

例えば、お預かり品の管理についてです。ありとあらゆる形状・色・ブランドの衣類を同時に扱うわけですから、1点1点何か印をつけ管理しておかないと、洗う工程が終わった時に、どなたの分か、分からなくなってしまう可能性があります。

以前、出来上がりの衣類のタグに、マジックで名前が書いてある、とクレームを受け、クリーニング屋さんにお伝えしたことがあります。確かに、クリーニングから戻ってきた洋服に、幼稚園でもあるまいし、自分の名前が書いてあったら叱られるわな、、と思いつつも、何故そういったことが必要だったか、と聞くと、なるほど、とその意味と苦労が分かりました。

別のクリーニング屋さんはどういうふうに管理しているのか聞いてみたら、洗っても文字が落ちない特殊な紙でできたタグを取り付けて、仕上がりを管理しているとのこと。誤配や不明品を出さないために、いろいろ工夫されているんだな、と分かりました。

他にも、クリーニング屋さんとご入居者とのやり取りを耳にする度に、大変だな、と思います。これまでに受けたケースでは、

ご入居者から、ポケットに入っていたハンカチは、クリーニングしているのか?という問合せ。

クリーニング屋さんからは、ボタンが取れていたり、穴があるので、その点予めお伝えした上で承りたい。また、クリーニングしたら破れそうだが、行っても良いか、確認して欲しいという依頼。

などです。

お客さん側は、急ぎで出して、仕上がり予定日だけ気にしているが、実はクリーニング屋さん側は、確認をするべく急いで連絡を取ろうとしている、ということが度々あります。

最低限必要な確認を一つ一つ行いながらも、お客さんの利便性・利益も考えて、高級ブランドの衣類は、指示がなくても自社判断でハイグレード扱いにされたり、クリーニング店変更の場合は、汚れものとして出たシャツの、襟などの糊の効き具合を観察し、できるだけ同じ程度で仕上げ、その後の反応を見るなど、きめ細やかな対応をされています。

クレームが多いと言われるクリーニング業界。後々のトラブルを予め取り除くために、一件一件の仕事に、気を遣っていらっしゃいます。

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