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失敗しない!0-3歳児のおもちゃ選びbyピープル代表(2児の父)①/3『ピートラ』Vol.85

こんにちは。機ちょーまさとです。
おもちゃのメーカーをやっていることを、ぼくの周りのお母さん方(息子の保育園や学校関係の)に伝えると、ほぼ100%される質問があります。

うちの子〇〇歳なんですが、どんなおもちゃを買えばいいんですか?

この問題はとても示唆に富んでいると思うので、ピートラで取り上げることにしました。親御さんのおもちゃ選びの悩みについて分析したり、業界の慣習なんかにも言及しつつ、3回に渡って、以下のような順番で連載していくつもりです。最後はきちんと結論と具体的な方法をまとめます。

Part① なぜおもちゃ選びに悩むのか?
Part② 業界の慣習とその弊害
Part③ 「赤ウケ!」良く遊ぶおもちゃ選びの具体的方法


Part①なぜおもちゃ選びに悩むのか?

どんなおもちゃ選びが正解なのか。私見ですが、0-3歳くらいの乳幼児に対しては、自分の中ではハッキリと答えが出ているので先に結論を書いておきます。

おもちゃの目的は、子どもが夢中になって遊んでくれること。なので、子どもが今喜ぶものを選んでください。それが最高のおもちゃだと思います。

引っ張った割には当たり前のような答えです(シンプル過ぎてすぐ納得とはいかないと思うので、Part3までにきちんと腹落ちできるにお話ししようと思います)。
だけど、おそらくぼくに相談するということは、おもちゃ選びに失敗した経験、つまり「買ったはいいけど子どもが遊ばなかった または すぐ飽きてしまった」を何度か繰り返しているからでしょう。

「おもちゃを買ってあげたのにあまり遊んでくれなかった」がなぜ起きるのか

お話を聞いている中で、失敗パターンにも傾向が見えます。
(1)本人の興味がわくタイミングより早くあげすぎ
(2)購入者本人(大人)の好みを優先して選んだ
(3)その他
聞いている中では8割がた(1)です(残り2割のほぼすべてが(2)で(3)はレアケース)。

特に日本の親御さんには、おもちゃを適齢期(=いちばん良く遊ぶ年齢)より早くあげたい、という気持ちが強くあることを玩具の企画をしていると日々感じます。というのも、業界的に「商品がヒットすると、時間と共に購入者の年齢がどんどん下がっていく」という事実がよく知られています。

購入者が低年齢化した事例はこんな感じ。

三輪車
日本で普及したての頃(おそらく1960年代)は3~6歳くらいの乗り物でしたが、現在は1歳~です。手元にちょうど良い写真がないのですが、昔の三輪車(港区のHPより)今の三輪車(トイザらスオンラインストアより)を比べてみると……昔のはシンプルな形で、サドルとハンドルが高い。今のは推して棒、子ども固定ガード、サンシェイド、荷物かごなどが付いたほぼベビーカーみたいな形です。

室内用ジャングルジム
日本で最初に発売したのはピープルです(1982年発売「わんぱくジム」)が、当時は2,3歳がメインでした。現在は0歳代からのユーザーさんもたくさんいらっしゃいます。

右ピストルもってイキってるは4歳?くらいの機ちょーです

つみ木
なぜか現在では「1歳で買う定番プレゼント」という認識が、なんとなくあります。が実際には4歳くらいになってようやく、思い通りに積んでカタチを見立てて遊ぶことができる子が増えてきます。(1歳だと持ち上げて落としたり、何かにぶつけて音を出したりがせいぜいで、それを「遊んでいる」と見ることもできますが……)

などなど枚挙にいとまがありません。当社の商品も多くは低年齢化しますし、業界にはそうならない商品の方が少数派だと思います。

おもちゃの購入年齢が下がっていく原因

なぜ購入年齢が下がるのか。
自分たちも含め、メーカー側にも責任の一端があると思います。我々メーカーは日々競合品とのシェア争いにさらされているため、「他社製品より先に買ってもらおう」という考えが、しごく当然のように湧いてきます。
具体的には、玩具は安全基準の一つに「対象年齢」を商品パッケージなどに表記することが義務付けられており、より低い年齢に適合するような仕様にしてこの表記年齢(月齢)を低めにしようとなるわけです。

一方、購入者(主に親御さん)の方にも「なるべく早く買ってあげたい」という心理があります。じゃないと、この低年齢化戦術が成立しません。なぜ早く買ってあげたいと思うのか?エビデンスのない個人的な仮説ですが。

少し大きめの靴を買うの法則と同じ

つまり
子どもはすぐ成長してサイズアウトしてしまうから、長く使えるように大きめの靴を買いますよね。うちもご多分に漏れずそうしてます。おもちゃにも、「対象年齢」より少し早めに買ってあげれば長く使えそう、という心理が働いているんじゃないかと思うんです。

ところが、おもちゃでこれをやると「買ったはいいけど遊んでくれなかった」になりがちなんです。上のつみ木の例で言うと、1歳で買ったときにそれほど遊びこなせないで終わり、一番あそぶはずの3-5歳くらいになった時にはもはや飽きて見向きもしない、という話を、何度聞いたか知れません。

おもちゃは、今、好奇心がそそられるおもちゃ一択

ぼくのようなおもちゃメーカーの人間がこう言うと、「おもちゃをたくさん売りたいから言ってるんでしょ?」とものすごくうさんくさい感じが漂ってしまいます(自分で言っててそう思います)。が、ちゃんと背景、フィロソフィがあってのことだと捉えていただけるとうれしいです。

0-3歳くらいの子ども達は、ほぼ生まれ持ったシンプルな本能だけで生きてますよね。彼らの遊びは、成長したいという欲求から、自分の体や外の世界への試行錯誤の結果生まれてくるものなので、一つの遊びに満足すると次へとステップアップしていく、とピープルでは考えています。
この遊びたい欲求を「好奇心」と呼ぶのだと思うのですが、好奇心は子ども達の中にもやもやとしていて、「遊び」として具体化するにはキッカケが必要です。例えば1歳の多くは、目の前の箱ティッシュというキッカケに刺激されて、ティッシュを箱から全部出すという遊びが具体化する、ということです。

だとすれば、おもちゃの役割は、特定の期間、好奇心が満足するまで思う存分遊んでもらうこと。成長によってステップアップし、その好奇心が薄れた時役割を終えるのだと考えられます。
短期間でも、一定期間を思い切り遊んで、最後は卒業してもらうことが、おもちゃとして一番仕事した!ということだと思うわけです。

長くなってしまったので、今回は一旦ここを結論として終了します。
次回、Part②として業界の慣習とその弊害。
次々回、Part③として、良く遊ぶおもちゃ選びの具体的な方法と、続きを書いていこうと思います。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

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