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家族って、他人です。不思議とそれを忘れてしまうけれど。

12月も半ばです。
10月くらいからせっせと準備していた新刊、無事に入稿を終えました。
これで、1月に新刊が出せる~!わーいわーい!

家族それぞれの思いを描いた連作集です。
だれにも肩入れしないぞ~と思いながら書きました。
楽しんでもらえるといいなぁ・・・!



◆作品概要

「綿毛の家族」2024年1月発行 B6/本編84p

【各章紹介】
郊外の一軒家で暮らす幸せな家族は、それぞれの思いを抱えている。
ママの不足とパパの不安、娘たちの劣等感と羨望。
真っ白な子犬の「わたげ」と暮らす家族が織りなす連作集。

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リビングの四角い窓の外からは、きっとそんな景色が見える。私はいつも、それを見ている。
望みをポスターに託して壁に貼る。理想通りにはならないけれど、これでたいていの望みは叶えてきた。
完璧じゃない現実と理想の間で、私は不足を積み上げていく。(ママのポスター)

淀みなく回っていく。まるでパズルのように、日々がうまくはまっていた。
週末はワンオペ育児。男一人でもなんとかなるもんだ、と胸を張る。
完成形の家庭はあっという間に形を変えた。
俺は、妻の空白を埋める存在なのか。(パパの山芋入りお好み焼き)

しっぱい。しっぱいするわたしなんて、ダメダメだ。
大人が選んだセーターは、おしゃれだけど毛糸がちくちくする。
いい子だねって言われると誇らしい。安心する。
その言葉がないと、私は息ができない。(長女のセーター)

どれを選べばいいのかなんて、見ていればすぐにわかることなのに。
シラサギには種類がある。私はそれを、簡単に見分けることができる。見ていればわかる。その場の正しい振る舞いだって同じだ。
お姉ちゃんはいつだって変わらない。特別なお姉ちゃんと私が似ているなんて、もう誰も言わない。(次女とシラサギ)

タンポポは、花びらに見えるところは個々の花なんだ。
囲もう。
家族の、平和で幸せな食卓を。(チップとデール)

◆これってどんな本?

「ママのポスター」を書いた後、なんとなく家族全員の話が書けるかなぁ、と思いました。
そのときは誰がどんな人で、とかそれぞれが考えていることなんてまったく頭になかったです。

「家族って他人」というのは、実は私がリアルでも言っていることだったりします。
これはべつにネガティブな意味で思ってることじゃなくて、すごく単純にべつべつの人間だよねって思っているから。

愛情があってもそれがそのまま伝わるわけじゃないし、かみ合わないことなんて当たり前にあるし。

愛しくて、くるしくて、言葉で「こういうものだ」っていうのが難しい。
難しいから、小説にするにはすごくいいなと思います。

読むととてもびりびりしますが、みんな愛しい人たちです。


◆冒頭話試し読み

クリックすると大きくなります。




◆おわりに

1月のイベントは2回!
作ってすぐ持っていける幸せよ。

【イベント】1月は京都と福岡!

■1/14 文学フリマ京都@京都 みやこめっせ 「ペントパン」(純文学)
■1/20 ふらっとぺらっとpage3@福岡 ※委託。後日通販あり

【先行通販】※12/27まで受付、28日から発送予定

イベントは遠方だし、年明けのぼーっとした時間に読みたいなという方へ。
本日から先行予約を始めます~!
年末に発送して、順調にいけば年明けあたりに着くイメージです。

こちらの通販は年内でいったん閉じて、2月以降にまた再開する予定です。

BOOTHでは今年の新刊『プレイグラウンド』や、どーなっつさんの既刊もいっしょに取り扱っていますので、よろしければ合わせてどうぞ。

ちなみにBOOTH通販、現在すべて匿名配送を設定させていただいております。メニューがシンプルになりました。

どうぞよしなに~。

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