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<ぺんてるお客様相談室へのお手紙>〜番外編〜シャープペン好きDNA炸裂!母と息子の二世代ストーリー


みなさん、こんにちはシャー研部員の藤村です。
みなさんは、お父さんやお母さん、もしくは娘さん息子さんとどんなところが似ていますか?顔のパーツや爪の形がそっくりだったり、年をとるほどにどこか面影が色濃くなってきたり。一見似ていないように見える親子でも、人生のところどころで、ひょいと共通点が顔をだして「DNAおそるべし!」と思ったりすることってありますよね。 


ところで、親子でシャープペンの好みって遺伝していくんでしょうか?
わたしは昔から、シャープペン軸が三角形や六角形などちょっと変わった握り心地が好きだったのですが、父も同じく変形軸シャープペン愛用者でした。不思議ですね。 今回は、そんな親子二世代が紡ぐ愛用シャープペンのお話をシェアさせていただこうと思います。


シャープペンの不具合から始まったやりとり 

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 ぺんてる株式会社 相談室 ご担当者様 

早々にオレンズネロ03不具合の資料等を送付いただきありがとうございました。 おかげさまで筆記できるように直りました。高3の息子が勉学の友として使用していたものです。 親子共々、貴社のご対応に感謝しております。 私、25年前になりますが、スマッシュにて国家試験を頑張りまして、いまだに現役使用できています。 ますますぺんてるさんの愛用者になりそうです。ありがとうございました。 

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※お手紙の内容は2020年8月当時のものです
※本記事制作にあたり送り主の方にはご了承をいただいた上で公開をしています
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きっかけはこんな一通のお手紙でした。

オレンズネロの調子が悪いとのお問い合わせに、資料と部品をお送りしたところ、お客様相談室宛にご丁寧にもお礼のお手紙をお寄せくださったあるお客様。なんと、親子二代でぺんてるのシャープペンをお使いいただいているとのこと、しかもお母様は25年もの愛用者!

わたしが注目したのはおふたりのシャープペンのチョイスです。お母様ご愛用のスマッシュは、1986年に製図用シャープペンの弟分として生み出された書き味自慢のモデル(価格は1000円(税別))。一方、高校3年生という息子さんご愛用のオレンズネロもまた3000円(税別)というなかなかのお値段で、こちらも価格に納得のいく書き味自慢のモデルです。

なんだか、この親子好みが似ているのかも……どんなおふたりなんだろう? 
ムクムクっとたちあがったシャー研の好奇心。ダメ元でお客様へコンタクトをお取りしたところ快くお受けいただき、アンケートでの質問にお答えいただけることになりました。

いつも一緒に時を過ごした、運命の一本 


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▲「スマッシュ」1987年の発売以来、長年愛されるロングセラーシャープペン

まずはお母様とスマッシュとの、20年をこえる深くて長いおつきあいの歴史から。

母:「出会いは大学3年次のこと。薬剤師をめざしていた私は勉強量が圧倒的に増えるその時に相棒となるよう“一番書きやすいシャープペンを見つけよう”!と友達と売り場で吟味して見つけた一本です。薬剤師になるには卒業後の国家試験合格が必要。在籍していた大学では当時、卒業する年の12月までは卒論の研究に追われ国家試験の勉強に費やせる時間はわずか3ヶ月。それはもう必死です。人生で一番勉強しました。その時にいつも手にあったのがスマッシュでして、書きやすいので集中できて、効率よく勉強できたのか無事に合格。それから就職して結婚、出産と人生の節目をむかえましたがいつもそばにスマッシュがあり、20年以上愛用していました」 

学生から薬剤師へ、そして妻へ、母へ。人生のステージが変わってもいつもそばにはおなじみの一本。出会った時から変わらぬ“スマッシュ愛”を抱きつづけたお母様は他のシャープペンに浮気(?)することなく、学生時代に購入したスマッシュひと筋の日々を送ってこられたそうです。さて、その運命の一本のスマッシュ。どうなったのでしょうか? 

母:「実は息子もシャープペンを使い出すとスマッシュにドはまりしまして、大切にしてきたMYスマッシュは息子が中学生の頃に請われて譲りました。ところが息子に渡したその数日後、次に目にしたときにはなんと見事に(?)壊れておりまして(笑)。長年の使用で劣化していたんでしょう、とても残念でしたが“今までありがとう”と、感謝の気持ちでいっぱいになりました」

 母の手にいつもあったスマッシュが、次世代へ受け継がれ、その時を待っていたかのように息子さんの手の中でフィナーレを迎える。……なんでしょう、このドラマティックな結末! ここまで大切にされ、さぞかしスマッシュも本望だったことでしょう。しかし母の想いは一筋縄ではいかないそうで……。 

母:「私が20年以上使い込んだスマッシュは、当時息子がたった2〜3年しか使用していない彼の別のスマッシュと比べると、明らかに息子の方が使いこまれていたんですね。塗装もはげてボロボロ。なんだか私のあの必死の勉強、実は量が大したことがなかったのかしら……なんか息子に負けたようで悔しいような、母としては嬉しいような……複雑な気持ちです(笑)」

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▲塗装のハゲ具合やペン先の折れ曲がりから、たっぷりと使用感が滲み出る息子さんのスマッシュ

感動ストーリーにもしっかりオチをつけてくださる、楽しいお母様。ではスマッシュのバトンを受け取った息子さんは……?

母から受け継いだシャープペン愛を、大きくふくらませ激走中

さてさて、息子さんとスマッシュとの出会いは? 

息子:「母親がしつこく勧めてくるので、仕方なく使ってやるかと試してみたんです」 

照れもあるのでしょうか、“仕方なく”“使ってやるか”とは、なかなか塩反応な始まりです(笑)。ところがその一本が彼に思わぬ熱いシャープペン魂を吹き込んだのだとか。 

息子:使ってみると、とにかく書きやすくて、書きやすくて。デザインも良いし、低重心でスラスラ書けて、長時間勉強しても疲れにくいことにびっくりでした。ペン先が細いので紙面が見やすく綺麗な字を書くことができ、カラーバリエーションがたくさんあるので集める楽しさもある。中学生だった僕はコレクター魂に火がつき、かなりの本数を揃えて使いこなしていました。ボロボロになっても決して捨てずに、よく使い込んだなぁと達成感を覚えたりしていました」

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シャープペン好きの子はシャープペン好き。シャープペンDNA、とでもいうのでしょうか、やはりお母様と同様にスマッシュ命になったとか。そんな息子さんに触発され、クラスメイトもどんどんスマッシュを使いだし、なんとクラスの大多数がスマッシュユーザーに!みんなでスマッシュ沼に仲良くどっぷり。メーカーとしては名誉営業部員に任命させていただきたくなっちゃうオススメ上手ぶりを発揮。中学生にしてすっかりシャープペン通になられた息子さん。高校生ともなると、さらに新しい領域に手をのばします。そう、ぺんてるのフラッグシップシャープペン「オレンズネロ」です。


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▲2017年発売。ぺんてるの技術やデザインエッセンスが注ぎ込まれたフラッグシップシャープペン「オレンズネロ


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息子:「最初は3000円(税別)もするシャープペンを使っていることを友達に自慢したくて、とちょっと不純な動機です(笑)。1回のノックで書き続けられる、0.3ミリで細いのに折れないとは、さすが3000円(税別)! 書きやすさは圧倒的でこればかり使っていました」 

そんなオレンズネロとの蜜月関係にある日、暗い影が差し込みます。 

息子:「使いすぎたのか突然調子が悪くなってしまいました。不調の場所はわかるものの自分では対処できないし、値段のこともあり親には故障を言い出せず……」

表面上は平静を装いながら、お気に入りの一本が使えずウツウツとした思いをかかえていた息子さん。そこに光ったのがお母様の目です。 

息子:「使用していないことをなんと母親が気づいたのです。オレンズネロをなぜ使っていないのか……グイグイ迫る母に、ついに故障を告白。しばらくブツブツ文句を言っていた母でしたが、修理できるのでは?とぺんてるさんに連絡してくれました。部品が送られてきて、芯が出た瞬間は思わず声が出ました!」 

おそるべし、母の洞察力。母の愛情により復活したオレンズネロを手に、現在受験勉強に取り組んでいるそうです。

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やっぱり親子だなぁ。思わぬ共通点 

母:「幼い頃から鉛筆の書き味のちがいがわかるような子どもで、今もシャープペンのこだわりが強い方だと思いますが、それも当然。だって幼い頃から(価格ではなく)品質の良い筆記具を使わせるように意識して育てましたから。極端にいってしまうとシャープペンにこだわらないような息子には育てた覚えはないのです(笑)」

最後に、二代にわたりシャープペン愛をほとばしらせていらっしゃるおふたりに、おうかがいしました。 

ーー“こんなのがあったらいい”というシャープペンはありますか? 

母:スマッシュだけでいいです(きっぱり)。色などのオーダーメイドなんかができるとさらにうれしいですね」

  息子:「オレンズネロの仕様のまま、残り芯が短くなると自動的に口金から排出してほしいです」

言葉は違いますが、一言でいうならば「いま愛しているシャープペンさえあればいい」という潔さ。ほとばしるスマッシュ愛、オレンズネロ愛に、さすが親子と感服です。そこまで愛される幸せをかみしめるとともに、違いのわかるおふたりから新たな愛を獲得するような、次の一本を届けたい気持ちもメラメラ。 「母と息子のシャープペン物語 ビヨンド」なんて、いつか届けられたらいいなぁ。

なんてつい妄想してしまいましたが、それはまた別の話。
お母様、息子さん、素敵なお話をありがとうございました。

それでは、また。