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「このシャープペンが廃番になったら会社を辞めよう」心に決めて入社した13年前の私【#忘れられない一本 10】


誰にでも、忘れられない一本がある。
小学生の時に初めて手にしたシャープペンデビューの一本、
持っているだけでクラスの人気者になれた自分史上最強の一本、
受験生時代お守りのように大切にしていた一本。
そんな誰しもが持っている、思い出のシャープペンと、
シャープペンにまつわるストーリーをお届けする連載
#忘れられない一本 」。
ぺんてる社員がリレー方式でお届けしていきます。
第10弾は、ぺんてる入社13年目の、植西さん。
あなたの忘れられない一本は、なんですか?
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小学3年生の時、兄の友人からあるシャープペンを貰った。とても書きやすいペンだった。学校では鉛筆しか使えないルールが存在していたので、同級生には自慢などできなかったのが悔やまれるが、そのシャープペンはお兄さんっぽくてカッコイイと思っていた。

しかし、3ヶ月後に机から落としてしまい、先端パイプが曲り、芯がでなくなって使えない状態に。そのシャープペンが「スマッシュ」という製品名だったことすら知らないままゴミ箱へ・・・。

そして時が経ち、中学生になった時に文具オタクの親友の影響で自分自身も文具オタクに。
少ないお小遣いのほとんどを文具に費やす日々。

ドクターグリップ、S3、S5、2020、ハイメカホルダー、ピアニッシモ、ピクシー、ケリー、タフ、エルゴノミックス、グラフギア500、メカニカ、エアーグリップ、ICアルファ、BS5、ゼロシン、ディンプルⅡ、ピュアモルト・・・etc

色々なシャープを中学生の財力の範囲で買っては試して、自分の中で最強シャープペンランキングを作り、楽しんでいた。

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ある日、グラフ1000フォープロを購入したときに、グリップ部分からゴムが飛び出している形状の見た目から、
「小学3年の頃に使ってたシャープペンに似ている…。あの商品はまだ売ってるのかな?
とスマッシュの事を思い出した。

当時はまだまだインターネットは今ほど普及しておらず、中学生の子供がうろ覚えのシャープペンを探し出すにはいろいろな販売店をまわって店員さんに訊くしかなかった。
自転車を使って十数キロの販売店を片っ端から探し回った結果、ついに小さい文具店でスマッシュと対面した。
小学3年生の頃にもっていたものと、まったく同じ!
ボールペンや0.3mmのものもあったので計3本を即購入して家に持ち帰り、わくわくしながら試し書きをした。

絶妙な低重心設定のバランス、思春期男子の心をくすぐる滑りづらい特殊な形状のグリップ、珍しい後端の蛇腹ノック。金属のチャックと小気味いいカチっという音、普通のシャープではあまりない、なんとなくカッコいい硬度表記。マットな黒色軸。

すべての要素で高水準、とても書きやすい、ホンマ最高の書き味!

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スマッシュは最強シャープペンランキング1位の座に!
高校、大学と財力が増すにつれ高価格帯の製品にも手を出したが、不動の1位はかわらず。結局あれから20年近く経つ今でも1位の座を守り続ける絶対王者。
※高価格帯の製品は見た目や高級感重視にシフトするため、私の重視する使いやすいの基準だとあまりよくなかった…。

【最強シャープペンランキング】
スマッシュ:書き味最高!最高峰シャープペン。先端が曲りやすいのが玉に瑕。
② ドクターグリップ(PILOT):疲れずバランスの良いペン。
グラフ1000フォープロ:すべてが高水準のプロ仕様の製図用シャープペン
④ アルファゲルHD(三菱鉛筆):グリップがとても癒やされ指が痛くならない。
⑤ ピクシー:絶妙な太さと柔らかさのグリップが心地よい。

スマッシュの虜になり、好きの度がいき過ぎて、そのメーカーのぺんてるに憧れ、就活の面接の際、スマッシュ好き好き作戦で無事突破し、内定をとった。

内定式の際、先輩社員との会食があり、そこで先輩社員から「好きな製品ある?」と聞かれ、「スマッシュ」ですと答えると、先輩社員が「スマッシュは売れ行きが悪いからそろそろ廃番になるよ」と言い放った。
それを聞いて、絶望した。
(あんないい製品の廃番を検討するなんて、なんて見る目のない会社だ。ありえない・・・。)
「廃番になったら会社を辞めよう」
と心に決めて入社した。

入社後、残念ながらスマッシュとは無縁の部署に配属された。
でも、スマッシュのことは気にかけていた。
スマッシュは売上の低調が続いたが、かろうじて廃番にならずに細々生き続けていた。でも、いつ廃番になるかわからない状況。
国内市場では厳しく、海外市場に活路をもとめる形で、軸色の多色展開などして耐えていた。

そんなスマッシュは大復活を遂げる。
2014年6月、人気YouTuberにスマッシュが取り上げられて(https://www.youtube.com/watch?v=dDnMb8CToVM)、その影響で爆発的に売れたのだ。1987年生まれのスマッシュが一躍ぺんてるのメジャー製品に!
いろいろな限定品や0.3mm復活など盛り上がりをみせるスマッシュ。

古い製品が最近のトレンドであるSNSによって、爆発的に売れる。
SNSを通じて廃番寸前の製品が広まり、一発逆転をする。
ぺんてるではスマッシュがその先駆けになった。
SNS恐るべし。
もっともっとスマッシュの様に世の中から忘れ去られている良い製品が、SNSを通じて発掘されると嬉しい。

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これからもスマッシュのさらなる進化を楽しみに、陰ながら見守っていきたい。


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