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いくつになっても

毎日、通勤電車に揺られて同じ駅に立つ。
サラリーマン生活もあと23か月。
何か目新しいことは無く、ひとまわり年下の上司に振り回される。
日記をつける習慣はないが、箇条書きでイベントを書き込んでいた。
白紙のページに気ままに書かれた文字を見直してみる。
12年前の自分の姿が浮かび上がる。
ひたすら仕事を片付けることだけに注力していた生活。
休日は子供を部活に連れていった記憶。
親父が癌で亡くなり、途方に暮れた日々。

白紙のページが続き

気が付いたら時間が過ぎていた。
遠い記憶を数えながら、今日も通勤電車に揺られている。

あと23か月なのに会社が嫌になる。
何故だろう。
線路の向こうに終着駅が見える気がするからだ。
人生を楽しめなくなった自分が車窓に写る。

白紙のページが風に舞う。

ふと、ボールペンを握った。

遠い空を眺めながら親父に手紙を書こうと思った。

秋風が吹く通勤電車の中で僕は、イヤフォンを外した。



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