【読後メモ】トマス・アクィナス(第2章:その1)

トマスの神学者としての立脚点:「人間いかに生きるべきか」にある

トマスは、当時のキリスト教会からは「中道的アリストテレス主義」とよばれる立場である.アリストテレスのテクストに密着して解釈しキリスト教と統合することで世界理解を刷新した.

体系化されたキリスト教義の理念にとどまらず、「人生をいかにいきるべきか」という実践的生き方を課題に据えているゆえに、「徳」という概念を中心にした人間論が展開されている.

徳とは「人間を善いものにし、人間の働きをよいものにするもの」である

・「力(=力量)」:持って生まれた能力を十全に開発し、充実した仕方で生きることを可能にする内的力

・「技術(=卓越性)」:素早さ、容易さ、喜びが伴う

繰り返すことで身につける〜善い習慣づけによって形成=優れた善い働きを成すことができる状態を「徳」とする


人間の善とは、理性に即していることである…ディオニシウス『神名論』


「枢要徳」と「神学的徳」

・枢要徳:理性に即した人間の基本機能「賢慮・正義・勇気・節制」

・神学的徳:「信仰・希望・愛」


人間は、理性と欲求を兼ね備えた存在として確固たる自己を確立していく

枢要徳の全体構造 「徳=善=理性」

理性そのものが直され、人間の知性や理性を完成させる徳を「知的徳(=賢慮)」といい、欲求能力を完成させ人柄に関わる徳のことを「倫理的徳(=正義・勇気・節制)」という.

賢慮:今ここの具体的な状況や事柄の真相を適切に認識した上で、成すべき善を的確に判断し実践する力

正義:ある人が、不動かつ恒久的な意思をもって各人それぞれの権利を帰属させる習慣のこと

勇気:立ちはだかる困難を理性に反する形で押し戻されることを防ぐ徳

(困難に立ち向かう力)

節制:理性の直しさが要求するものとは異なる方向へ惹きつけられることを防ぐ徳

(自分の欲望をコントロールする力)



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