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展示会/「地方自治体」が出展する場合、ブース計画上のポイントとは?

自治体集合ブースとは?

東京ビッグサイトなどで行われるBtoB商談会としての「展示会」。
その展示会には、様々な地方自治体や支援団体が地元の中小企業とともに出展していらっしゃいます。この場合の展示会とは様々な企業が扱う商品やサービスの販促の場。そこに、自治体がある一定面積の出展エリアを借り切り、そこに地元の中小企業が複数社出展する、という形式をとります。
例えば、ギフトショーという展示会の場合。ギフトショーは商品を作ったメーカーなどの企業が、その商品を出展し、会場に訪れる百貨店をはじめとする様々な店舗のバイヤーさん達に対して売り込みを行い、それぞれの店舗においてもらう、という商談を行う場となっています。(ざっくりと言うと)

ギフトショー石川県ブース。石川県内の企業28社が参加。
会場内で最大級に来場者が集まるブースに

当社は、日ごろ、今説明を行った、全国の自治体が主催して多くの中小企業が展示会出展する「集合ブース」という形式を担当しています。
当社がギフトショーに出展する石川県ブースを担当していることは今では多くの方に知っていただいていますが、最近では、東京都のブースも担当させていただいています。

2024年2月のギフトショー/東京都中小企業振興公社ブース(全国から38社が参加)


各社の出展位置は「公平性」を考えてレイアウトを決めています。
会場内で最大級の集客結果を実現

集合ブースとは展示会場内にある一定区画を自治体(多くの場合中小企業支援を行う外郭団体)が借り受け、そこに多くの中小企業が参加をする、という形式です。そのような自治体の集合ブースの依頼を受けた際に、気を付けていることを今回はお伝えします。

レイアウト上、重視するべき2つのこと

ブースの検討を始めると、まずは出展社数や小間位置からブースのレイアウトを考え始めますが、集合ブースのレイアウトを考える際には、2つのことを特に重視して考える必要があります。それは、会期中の出展社の待機方法をレイアウトに盛り込んでおくこと。そしてもう1つは出展者が「公平」になるようにすること。もちろん、2つ以外にも重要なポイントはあるのですが、自治体の集合ブースでは、特にこの2点のことを頭に入れながらレイアウト検討をしていくことが大切です。

「待機方法」を考える

1つ目は、出展社の「待機方法」。来場者がブースに寄ってきていないときにどのように出展者が待つのか、これを考えておく必要があります。ギフトショーに限らず、機械要素技術展や、スーパーマーケットトレードショーなど、自治体等の集合ブースが多くみられますが、そのほとんどがこの「待機方法」がブースレイアウトに反映されていないために、来場者にとって「立ち寄りにくい」ブースになってしまっています。理想的にはブースレイアウト上で出展者の待機方法が明確になっていればよいのですが、多くの集合ブースの「要件」(自治体側がブース出展を行う際のブース仕様書。出展社数と小間サイズのバランスなど)として、待機スペースを設けられないほど、詰め込みすぎている場合は、どのように待機するか、どのように接客を行うか、対策をとっておいた方がいいでしょう。

「公平性」のある展示台配置にする

次に重視していることは、出展社の「公平性」です。集合ブースの目標は、「全社が成功する」こと。ですので、全社に結果は出ることがもちろん大事なのですが、その前提として、出展社の小間位置に極力不公平感がないことが重要なのです。ですので、奇をてらったレイアウトは基本的には行いません。来場者(ギフトショーなら来場者であるバイヤー)が全体を把握しやすいレイアウトを採用するようにします。展示会、ということで一見見た目が斬新で奇をてらったレイアウトを検討する場合もありますが、その場合、大抵場所によって有利不利が出てきます。それが、結果的に出展者の不満につながることも。さらに奇をてらったレイアウトだと来場者が全体を把握できずに、立ち寄らないブースが発生してしまう要因になってしまいます。

出展社の位置は、「担当者同士の相性」も判断材料

次に、出展社の位置。これもかなり気を使います。 当社は集合ブースの計画に関しては、出展社の位置も当社側で決めるようにしています。それぞれの出展社をどの位置にするか、については思っている以上に様々な要因を考えて決定しなければいけません。
当社が集合ブースの計画に携わる場合、ブースの設計/デザインを行うだけでなく、事前に出展社全社に対して「事前対策講座」というセミナーを行います。どうやったら出展に成功するのか。目標の立て方からキャッチコピー、陳列の考え方、会期中の接客方法までお伝えします。その次に、1社1時間ずつディスプレイ指導を含めた個別面談を行います。上記写真の東京都さんの場合は、38社、全て行いました。 その個別指導が終わると出展者それぞれの「個性」が分かってきます。商品の内容、担当者のお人柄。その商品性やお人柄を踏まえた上で、出展社の小間位置を決まるのです。例えば明るい色の商品、目に留まりやすい商品、売れそうな商品、誰もが知っている商品などは、入口付近に配置します。また、元気な方、にこやかな人、よくしゃべる人、なども入口付近にします。ついでに言うと、「この人とこの人は合わなさそう」という場合には、近くにせず、さらには「仲が悪そうな人」は、会場でのトイレの位置も考慮して、その動線上でも顔を合わせないようにしたり、といった配慮までします。とても細かなことなのですが、そこまですることが最終的な満足度に繋がるのです。

ブース入口には、出展社の位置の案内を掲示。その前には模型を。


事前の検討模型。この模型を活用して、各社の個別ディスプレイ検討会を実施。


壁面グラフィックは、「商品の補足を行う」ように

上記以外にももちろん工夫はあります。例えば、商品をより印象よく見せるために、壁面のグラフィックデザインは当社で行うのですが、壁面に設置する写真は、商品写真ではなく、商品を「補足する」写真を大きく掲載するようにします。
例えば製作している写真、素材の写真、工場の写真等。これにより出展している製品に深みが出るのです。

実際に製作に携わっている方の作業風景を掲示。
富山の風景を入れることで、商品のイメージを高めています。


キャッチコピーは、何を扱っているかをシンプルに

また、キャッチコピーも重要です。何を扱っているのかが分かるように。寄ってみたいと思えるように。瞬間的に認知できるように記載します。
時々、3行くらいに渡る長い文章を書く企業がいますが、それはお勧めしません。ポイントは、「瞬間に読めること」。

はじめに目に入ってほしい言葉は「  」でくくることも効果的。

当社が担当するキャッチコピーは実は私が全て考えています。これは全社の個別指導をする中で、各出展者の皆さんとお話しして決めていくのです。
ちなみに、ギフトショーの場合は、来場者がバイヤーさんですので、「新発売」や「初出展」「新しい」といったキーワードは極力入れるようにしています。バイヤーさんは基本的に他店舗にない商品を探されています。ですので、「これは他にはない商品ですよ」といったメッセージは積極的に伝えるようにするのです。

世界初、といった言葉が使える場合には、積極的に掲示します。
壁面の写真は、商品の補足をするものを選択。キャッチは「どんな商品なのか」を記載。


ただ出展者を並べて商品を置くだけでは基本「成功しない」

自治体の集合ブースは、ただ場所を確保して出展社を効率的に配置するだけではあまり結果は出ません。ブースレイアウトの段階から、各出展社の配置位置まで計算づくで計画してようやく結果が出るものだと感じています。

当社が携わった、石川県ブースも東京都ブースも、かなりの人(バイヤー・来場者)が集まっているのですが、それでも「全社が成功」はなかなか難しいです。来場者が寄ってこないのはそれぞれの出展商品の問題、と言ってしまえばそれまでなのですが、我々側でもできることがまだまだあるはずだ、と思いながら担当しています。石川県ブースも、毎年同じようなレイアウトに見えますが、少しずつ進化しているんです。

次回のギフトショーは?

さて、次回のギフトショーは今年(2024年)9月です。 次回は石川県ブース。そして、今年は福井県も新たに担当。その準備が来月から始まります。是非、次回のギフトショー(まだ先ですが・・)にも皆様お越しください。私も全日会場にいる予定です。

 
■東京都中小企業振興公社、出展募集ページ


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