WITHコロナ時代の展示会ブースの考え方 #02
では、ここからWITHコロナ時代における展示会ブースの具体的な対策についてお話していこうと思います。この項では、今後再開される展示会ブースがどのように変化するか、どのような変化を考えればいいかについて考えたいと思います。
1.コロナ状況下における展示会ブースに関する「5つの変化」
まず、再開される「リアル展示会」における「展示会ブース」には、これまでと違ってどのような変化があるのかを改めて整理してみましょう。コロナ対策はしないといけない、しかし出展の結果も出さなければいけない。そう考えると、概ね下記の5つの変化があると考えられます。
1つ目は当然ですが、リアルブースにもコロナ対策を施さなければいけない。そして、現在の経済状況の中、これまでのように多額のコストは掛けられない、そういった出展者が増えると予想されます。また、「このコロナの時期に敢えて出展する」ということは当然ながら出展の成果を上げることが何よりも重要になってきます。これまでのように「付き合いで出展する」「慣習なので出展する」「PRのためだけに出展する」ということは少なくなり、「最終的に売上を上げること」を出展企業として社内的にも求められてくるでしょう。4番目の「来場者が少ない」ことも予想されます。主催者としても本当は多くの来場者に会場に来ていただきたいところでしょうが、密を避けるために入場は制限をせざるを得ないでしょうし、そもそもコロナを警戒して、会場に来ない人も増えることでしょう。5番目に記載した「密な対応ができない」ことは、読んだ通りですが、今回開示されたガイドライン(日展協及び大阪観光局)にも、「密な商談・状態は避ける」と明記している通り、会場内で人が密に集まるということは避けなければいけません。これらの5つの変化を考えると、
「集まってはいけない」でも「出展の結果を出さなければいけない」
ということは、展示会、および展示会ブースを計画するものとして、かなり厳しい条件である、と言えます。
2.ポイントの1つは「来場者の動き」「接客の動き」を変えること。
さて。それでは具体的にはどのように考えていけばいいのでしょうか。私自身も現在様々に検討中ですが、まずは「来場者の動き」「接客の動き」を変える必要がある、と考えています。
これまでのブース近辺での動きは上記の左側のような動きでした。ブース付近を歩く来場者は、ブースに掲げられた何らかのキャッチに反応してブースに近づいてきます。そして興味を持つことになればブースに取付き、具体的に商品等を見始めます。そこで出展者のスタッフはお声がけ→質問→商談という流れになります。これが今までの一般的な形。
しかし、これからは「密を避ける」という観点から、対面での接触は最小限にせざるを得ません。そうすると、上図の右側のように「お声がけ」のところが「来場者が一人でじっくりと検討する」ということになる、そうなった方がよいのでは、と考えています。敢えてお声がけをせず「一人でじっくりと検討していただく」ということは、実はコロナ状況下だけでなく、通常時においても「良い効果を出す」と私自身は考えています。これまでの展示会では、来場者がブースを見始めるとすぐにスタッフが声をかける、それによって「実はしっかり見ることができなかった」ということもあったと思います。反面、この「来場者が一人でじっくりと検討する」という形式は、そのようなこれまでの課題点を改善できる、という利点も一方ではあるのです。もちろん、一人で検討をしていると質問をしたくなることもあるはずです。そんな時、密を避ける意味でも「オンラインの活用」が有効になるのです。
3.説明/商談は最小限に。オンラインを有効活用する。
極力、人と人との対面での会話や密な状況は避けなければいけない。そんな状況下では、来場者に対して十分な説明や接客ができる、とは限りません。そのような時にこそオンラインやタブレットを活用するということが今後は求められると考えられます。先程の項の「来場者が一人でじっくりと検討する」という箇所でも、例えば事前に録画しておいた説明動画で解説を行う、という手法も効果があるでしょう。
先日[PHASE]という「出展者のいない展示会」を試験開催しましたが、ここでは出展者に対してZOOMで事前にヒアリングを行い、それを録画したものを会場でループで再生しておきました。
単に商品が展示台の上に置かれているだけよりも、その商品の側で録画した出展者の説明動画が流れているだけでも、説得力は大きくなります。
また、質問したい時にはそのままZOOMでつないで質問をするような仕組みもよいでしょう。要は面と向かい合わなければよいわけなので、展示台ごとにタブレットを置いておく、ということもよいのではと思います。
商談についても、密を避けるために時間は短く、端的に、効率的に行われなければいけません。そのためにも、オンラインを活用して、出展者の会社内にいるスタッフとオンラインで打合せを行う、といった工夫も必要と言えます。
これらのように、WITHコロナ時代の展示会ブースでは、オンラインの活用が「出展成果を出す」上で重要な役割を持っていると言えます。
次回は、さらに展示会ブース計画上でできるコロナ対策の工夫についてお話ししたいと思います。
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